KANTO Industrial College

自動車整備士になるには大学は必須?必要な資格や学費について解説

自動車整備士になるためには、大学に必ずしも行かなければならないという訳ではありません。

専門学校に通ったり、現場で必須スキルを取得して自動車整備士になることもできます。

ただ大学でしっかり学んでから、自動車整備士になろうとしている方もいるはずです。

そんな方のためにこの記事では

・大学の選び方

・大学でかかる費用

・自動車整備士になるための資格

について解説しています。

最後までご覧ください。

自動車整備士とは

そもそも自動車整備士とは車の修理や点検をおこなう職業です。トラブル時など緊急を要する際に整備をおこなったり、特に不具合がなくても定期的に点検をすることによって車が安全に走れるようにしています。

自動車整備士になるためには大学は必須?

自動車整備士になるためには、大学への進学は必須なのか気になっている方も多いのではないでしょうか?

知らずに就職してしまうと、進学組よりも自動車整備士になるのが遅くなってしまいます。

その理由についても下記で解説しておりますので、参考にしてください。

大学に行かないと自動車整備士になれないの?

大学に行かないと自動車整備士になれないのか?

結論はそんなことはありません。

大学だけじゃなく、専門学校でも学ぶことができますし、現場で経験を積んでから自動車整備士になる方法もあります。

ただ大学や専門学校に進学して、各種整備士養成課程を受講した方が現場で実務経験を積んだ人よりも早く、自動車整備士の受験資格を得ることができ、実務試験も免除になるというメリットもあります。

試験の対策や、就職にも有利なのは圧倒的に進学です。

大事な部分なので覚えておきましょう。

大学の学費

では大学に進学した場合、学費はどれほどかかるのか説明していきます。

国立大学
(4年間)
私立大学
(4年間)
公立短期大学
(2年間)
私立短期大学
(2年間)
費用約250万円約400万円〜550万円約100万円約200万円

あくまでも目安ではありますが、学費はこれだけかかります。

経済的に学費を支払うのが困難な方は、奨学金制度を検討しましょう。

大学で学べること

自動車整備士になるためには、資格が必要です。

大学では自動車整備士になるために必要なスキルや知識を、4年間を通して学ぶことができます。

卒業後の就職率も100%の大学が多く存在します。

就職後も困らないように、幹部候補を目指して学ぶカリキュラムもあります。

中でも「一種養成施設」という全国に200校近くしか存在しない学校では、1級整備士試験や2級整備士試験の受験資格が得られます。

実務経験を培えるように、実際の車を使って実技演習を行っている学校もあります。

卒業後は即戦力として、働けるような課程を築き上げてくれるでしょう。

大学に行くメリット

自動車整備士になるために、大学に行くメリットは

・人脈が広がる

・実務試験が免除

・学歴を得ることができる

などがあげられます。

詳しく解説していきます。

人脈が広がる

人脈は最強の武器になります。世の中を見渡すと、成功しているほとんどの人が人脈が広いです。困ったときに助けてくれたり、頼れる存在にもなります。大学時代に築き上げた人脈は一生ものになるに違いありません。

決して1匹オオカミにならずに、積極的にいろんな人とコミュニケーションをとっていきましょう。

実務試験が免除

実務試験が免除されるので、受験資格を得るまでのスピードが、自動車系、工業系の学校に進学していなかった人よりも圧倒的に早いです。

自動車整備士になるためには3級自動整備士から1級自動整備士まであります。

それぞれ受験資格があるので、ご確認ください。

・3級自動車整備士
未経験の方=現場での経験を1年以上
機械工業系を卒業の方=現場での経験を6ヶ月以上
自動車整備士専攻の学校を卒業=免除

・2級自動車整備士
未経験の方=3級取得後に現場での経験を3年以上
機械工学科等の高校や整備士3級課程の高校・専門学校等卒業の方=3級取得後現場での経験を2年以上
機械工学科等卒業の方(大学、専門学校など)=3級取得後現場での経験を1年6ヶ月以上
自動車整備系の専門学校、認定大学等を卒業の方=免除

・1級自動車整備士
自動車整備系(1級整備士課程)以外の学校を卒業した方=2級(シャシ以外)取得後、現場での経験を3年以上

※一級小型自動車整備士を受験するためには、二級ガソリン自動車または二級ジーゼル自動車もしくは両方を取得する必要あり。

このように、比べてみると一目瞭然です。

自動車整備士をしている方は、基本的に2級自動車整備士まで目指す方がほとんどです。

理由としては、3級の場合だとオイル交換などの簡単作業をすることができません。

いわゆる一般的な整備をするには、2級以上を取得する必要があるわけです。

給料の観点からみても早く働き始めることで、お金は早くもらえますが資格取得に時間がかかるので、いずれ進学組に追い抜かれてしまうという流れになっています。

学歴を得ることができる

大学に進学することで学歴を得ることができます。学歴があれば給与面や就職率なども変わってきます。4年大学を卒業した場合と高卒で働き始めた場合ではスキルや知識に差があるからです。

もしも自動車整備士をやめて他の道へ進む際も、大学を出ているだけで転職活動が有利に働きます。

学歴の特権を生かしていきましょう。

大学に行くデメリット

これまでメリットをお伝えしてきましたが、デメリットについても解説していきます。

学費が高い

進学する際にかかる費用は数百万単位なので、ここで立ち止まってしまうご家庭も多いです。入学テストにもお金がかかってしまいますし、志望している学校が県外にあるのなら1人暮らしの費用もかさばります。

ただ今の時代、奨学金制度を利用する方がほとんどです。

結果的に生涯年収や役職を上まで上げていきやすいのは大卒の方が確率は高いです。

学部と学科の選び方

大学で自動車整備を学ぶ際に選ぶべき学科は以下のとおりです。

・車体整備工学専攻科

・工学部機械工学科

・理工学部 機械工学科

・自動車工学科

・自動車工業学科

・交通機械工学科

などがあります。

また自動車整備士の試験を受けるためには、国土交通大臣が「自動車整備士養成施設」として指定している大学・短期大学の学部・学科でなくてはなりません。

こちらから確認ができるので、必ず目を通しておきましょう。

https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk9_000004.html

整備士向けの技術とトレンド

自動車技術は急速に進化しており、整備士には常に最新の技術とトレンドに適応する必要があります。以下に、自動車技術の進化と整備士に必要なスキルについて説明します。

●電動車とハイブリッド車の整備
電動車(EV)とハイブリッド車(HEV)は環境に優しい選択肢として普及しており、整備士はこれらの車両を整備できるスキルが必要です。高電圧のバッテリー、モーター、充電システムの取り扱いやトラブルシューティングが求められます。

●データ分析と診断技術
現代の自動車は多くのセンサーやコンピューターシステムを搭載しており、データ分析と診断技術が不可欠です。整備士は複雑な故障の原因を特定し、ソフトウェアのアップデートを行う能力が求められます。

●セーフティテクノロジー
自動運転技術、衝突回避システム、運転支援システムなどのセーフティテクノロジーは自動車に組み込まれています。整備士はこれらのシステムの校正や修理に関する専門知識を持つ必要があります。

●軽量化と燃費向上
自動車メーカーは燃費向上と環境への配慮のために車両を軽量化しています。整備士は新しい材料とテクノロジーに適応し、軽量化された部品の取り扱いと交換を行う必要があります。

●コネクテッドカー技術
コネクテッドカー技術は車両がインターネットに接続し、遠隔から監視および制御できるようにするものです。整備士はこれらのシステムに関する知識を持ち、トラブルシューティングを行う必要があります。

●継続的な学習と認定
自動車整備士は新しい技術とトレンドに適応するために継続的な学習と認定プログラムに参加する必要があります。自動車メーカーや業界団体が提供するトレーニングプログラムを受講することが重要です。

大学でこれらのトピックに関する授業や研究プロジェクトに参加することで、整備士としての専門知識を深めることができます。また、自動車整備業界の変化を追跡し、新技術に適応する姿勢を持つことも大切です。整備士としてのスキルを継続的に向上させることが、成功につながる要因となります。

自動車整備士になる方法

自動車整備士の資格を取得するためには、国土交通省が実施する「自動車整備士技能検定試験(検定試験)」の学科試験と実技試験の両方に合格する必要があります。

大学に行かないで自動車整備士になる方法

工業高校や大学の機械科を卒業した場合は、6ヵ月以上の実務経験で3級自動車整備士の試験を受ける資格が得られます。また、全く機械科などを専攻していない方は、卒業後に整備工場などで1年以上の実務経験を積めば、3級自動車整備士の試験を受ける資格が得られます。

実務経験については下記のとおりです。

・3級自動車整備士
未経験の方=現場での経験を1年以上
機械工業系を卒業の方=現場での経験を6ヶ月以上
自動車整備士専攻の学校を卒業=免除

・2級自動車整備士
未経験の方=3級取得後に現場での経験を3年以上
機械工学科等の高校や整備士3級課程の高校・専門学校等卒業の方=3級取得後現場での経験を2年以上
機械工学科等卒業の方(大学、専門学校など)=3級取得後現場での経験を1年6ヶ月以上
自動車整備系の専門学校、認定大学等を卒業の方=免除

・1級自動車整備士
自動車整備系(1級整備士課程)以外の学校を卒業した方=2級(シャシ以外)取得後、現場での経験を3年以上

※一級小型自動車整備士を受験するためには、二級ガソリン自動車または二級ジーゼル自動車もしくは両方を取得する必要あり。

自動車整備士になるために必要な資格は?試験の内容についても徹底解説!

一級自動車整備士試験

一級自動車整備士試験は、以下の2つに分かれています。

・一級大型自動車整備士試験

・一級小型自動車整備士試験

このうち、一級大型自動車整備士試験は、現在行われておりません。

一級大型自動車整備士試験でもらえる国家資格は、主に大型トラックの整備資格ですが、昨今の物流業の発達により大型トラックの需要は高まっており、今後試験は復活するものと思われます。

二級自動車整備士試験

二級自動車整備士試験は、以下の4つに分かれています。

・二級ガソリン自動車整備士試験

・二級ジーゼル自動車整備士試験

・二級自動車シャシ整備士試験

・二級二輪自動車整備士試験

一番人気は二級ガソリン自動車整備士試験で、この資格があれば普通自動車・軽自動車のほとんどの整備をすることができます。

三級自動車整備士試験

三級自動車整備士試験は、以下の4つに分かれています。

・三級ガソリン自動車整備士試験

・三級ジーゼル自動車整備士試験

・三級自動車シャシ整備士試験

・三級二輪自動車整備士試験

二級と中身は同じですね。

しかし、三級だけでは、ごく基本的な整備しかできないのが実情です。

特殊整備士試験

特殊自動車整備士試験は、以下の2つに分かれています。

・自動車電気装置整備士

・自動車車体整備士

それぞれ、バッテリーなどの電気装置部分や、ボディなどの車体部分を専門とする資格です。

自動車整備士になるためには必須ではないですが、持っているとお客様に安心感を与えられたり、一部の就職先でかなり有利になったりします。

まとめ

自動車整備士になるには、進学を選択した方がさまざまな恩恵を受けられることは分かっていただけたかと思います。

特に実務経験の免除や、スキルや知識を学ぶことができる環境に身を置くことは非常に大切です。

ただ、学費が高いのがデメリットとしてあるので奨学金などを検討しながら慎重に将来のことは考えていきましょう。