自動車整備士の給与は近年上昇し続けています。
慢性的な人手不足も続いているため整備士の需要も大きく、将来は有望と考えられています。
とはいえ一方で、コロナによる社会の激変もありました。
将来有望かどうかを考える前に、今現在生活費が足りなくて困っている整備士も多いのではないでしょうか。
輸入を増やすとなると、考えられるのが副業です。整備士にとっての副業を考えます。
副業を考えなしに始めると思わぬ落とし穴があります。さらに、会社に黙っている場合に問題になります。
世間の副業の現状とともに、注意点を合わせて確認します。
多くの会社では副業禁止規定が設けられています。整備工場やディーラーなど、整備業界でも同様です。
確かに、就業時間後の夜中に別の仕事をやり過ぎて、本業に支障が出るようではいただけません。
また、危険を伴う作業もある以上、万全の体調であることが求められています。
とはいえ時代も変わってきました。
最近では会社と従業員とも、家族のような関係がなくなり、ドライになってきたことも背景にあります。
業務に支障が出ない限りは副業を認めることが増えていますし、モデル就業規則からも副業禁止規定が消えています。
特に、今まで多かった残業が減り、収入が減ったような状況においては、副業が認められる可能性が高くなるでしょう。
ただし、副業開始の前に届け出を求める会社もあります。
副業をするとして、どのぐらい稼ぎたいでしょうか。
副業での収入(正確には必要経費を引いた額、つまり所得)が、年間で20万円以下であれば、収入の申告先がないため特に何もする必要はありません。
年間20万円を超える副業の場合は、確定申告が必要です。
雇われることなく自営でやる副業の場合はもちろんですが、アルバイト等で給与をもらっているケースもあります。
アルバイトで20万円以上の収入を得て(所得ではないので注意)、そちらで年末調整をされない場合に、確定申告が必要です。
いずれの場合でも、確定申告をするとその額が翌年の住民税に反映されます。
本業の経理や給与計算担当者に、「不自然に住民税が高い」と気づかれることがあります。副業分が合算されているからです。
実際のところ従業員個別の住民税を気にする担当者は少ないのですが、気になる人は、副業分の住民税を会社の給与から引いてもらわず(特別徴収)、自分で申告する(普通徴収)にすれば大丈夫です。
確定申告する際、住民税の申告について「給与から差引き」ではなく「自分で納付」に印を付けるだけでこうなります。
世間が副業解禁に舵を切る中、取り残されてはいけないと焦っている人もいるでしょう。
副業を始めるのはもちろんその人の自由です。
ただ、本当に副業が目的でしょうか?
整備士が副業を始める前に、考えておくべきこともあります。
手っ取り早くお金を増やそうとすると、考えられるのが投資です。
暗号資産(仮想通貨)やFXなど、最近はメニュー豊富です。
ただ、どんな投資も必ず手数料を取られます。手数料無料の場合でも、スプレッド(買値と売値との差額)が実質手数料となっています。
手数料がある限り、勝ち負けは半々に分かれません。負ける人のほうが多くなるのが自然なことは、わきまえておきましょう。
勉強しても勝てると限らないのに、気軽に参加して勝てる保証はありません。
整備業界で、比較的まだ残業が多いのがカーディーラーです。
残業手当があるだけでなく、給与体系がいいのが特徴です。
お金が足りないと感じるのなら、思い切って転職を考えるのも一つの方法です。
残業が多くなれば、副業はできないでしょうし、する気も起らなくなるでしょう。
今まであった残業が減り、収入も減ったときに手持ち無沙汰に感じる人もいるでしょう。
ただ、残業込みの収入で生活が成り立っていたのだとすれば、本来出ない状態が本来に戻っただけかもしれません。
本来の収入で生活できるように設計しなおすほうが正解かもしれません。
余った時間は、勉強や趣味に使うのもいいでしょう。
特に自動車整備士の場合、2級整備士資格を取得することが求められます。まだ取得していないのなら、副業よりまずこちらを優先すべきでしょう。
また、2級の上には1級資格もあります。1級は高度過ぎて実務の範囲を超えてしまっているという評価もあるものの、勉強してみれば新たな世界が広がるはずです。
人間、仕事のためだけに生きているわけではありません。長い人生、趣味を充実させておくのもいいものです。
「趣味を充実させようとしたらお金がいる」という人もいるでしょうが、コレクションやギャンブル、ゴルフのようにお金のかかる趣味ばかりではありません。
ひとつの例ですが、図書館で本を借りてくるだけなら元手はほとんどかかりません。
そして趣味も実益につながることがあります。
ブログを書くなどして、他人に趣味を伝えてみるのもいいものです。
自ら文章を書いて集客するすべを覚えれば、これは広告収入を得るなど、副業に発展することがあるのです。
お金が足りないと右往左往するのではなく、ちょっと視野を広げることで結果的に充実した人生が送れる可能性があるということも知っておきましょう。
誰でも始めやすい副業の種類を見てみましょう。
「始めやすい」であって、「儲けやすい」「稼ぎやすい」ではないので念のため。
ダブルワークは手っ取り早い副業になります。
ただ体力勝負の整備士をしながら、もうひとつ職場を持つのは大変です。
深夜のコンビニなど雇ってもらいやすいものですが、本業に差し障りがあると元も子もないので慎重にしましょう。
趣味を充実させながら、お小遣いを稼ぐ方法です。
整備業界について書くのもいいでしょう。
最初は驚くほどアクセスがないでしょうが、文章力が向上し、内容が面白ければ集客ができるようになります。
集客ができるようになると、アフィリエイト広告で収入が得られるようになります。
ただ成功例はごく一部なので、あまり期待せず趣味寄りでスタートをお勧めします。
経験が積み重なるにつれて、可能性が広がるのがいいところです。
ポイントサイトを活用して、サービス利用で特典(報酬)を得るのがポイ活です。
多くの場合、手間をかけた割(アンケート等)には収益を上げるほどのポイントは得られないものですが、サイト経由のクレジットカード作成などこの方面に詳しくなると、月5,000円~1万円程度は報酬を得られる可能性があります。
先に投資系は難しいことを述べましたが、ポイントサイトで投資口座を作り、最低限の投資だけして利益を得る方法もあります。
ただ、やり込むといずれ手を出す案件がなくなっていくので、副業として持続可能かどうかは微妙です。
ヤフオク、メルカリ等により、一般人も不特定多数の人に商品を販売することが容易になっています。
商品を安く仕入れて、高く売れば差額が収益になります(背取り)。
商品を並んで定価で仕入れ、プレミアを付けて売る転売ヤーと呼ばれる人たちもいます。
誰でも始められるのはメリットですが、トラブル対策をはじめ手間はそこそこかかります。
また、商品の保管場所も必要です。
お金が足りないから副業しようと考えたときは、本当にそれが必要なのか、他に生活を充実させる手段がないかも検討しましょう。
できれば、整備士としての将来に役立てたいものですね。