自動車整備士の職場の中でも、カーディーラー勤務の整備士は人気です。
実際のところ、就職のハードルはどれぐらい高いでしょうか。特に、自動車整備の専門学校の生徒の就職先としてはどうでしょうか。
特に人気の高い、トヨタ系のディーラーに就職できるかどうかも併せて見てみます。
自動車メーカーは、大学生の就職先として常に人気を集めています。
自動車整備の専門学校に通う場合でも、4年通って1級整備士資格を取得する場合なら、メーカーで研究開発職に就ける可能性はあります。
ただ、大部分の整備士が働くのは自動車メーカーではありません。
メーカー傘下の自動車販売業者、いわゆるカーディーラーです。
メーカーの傘下ですが、別法人(別会社)です。
整備士の職場であるカーディーラーについて、まず確認します。
クルマの業界におけるカーディーラーの位置づけから見てみましょう。
一例として、Honda Carsというカーディーラーが全国にあります。
ここではホンダのクルマを販売しています。そして販売を担当する営業担当者だけでなく、新車や顧客に販売したクルマの整備を担当する自動車整備士も働いています。
Honda Carsを運営するのは、クルマの大手メーカー、本田技研工業ではありません。
各地にある販売会社です。東京のHonda Carsだと、「株式会社ホンダカーズ東京」や、「株式会社ホンダカーズ東京中央」「株式会社ホンダカーズ東京西」等の販売会社が運営しています。
これらの会社は本田技研工業の全額子会社ではありますが、ホンダ本体ではなく別会社です。
ホンダの自動車整備士になるということはつまり、このHonda Cars運営会社のどれかに就職するということになります。
全国にHonda Carsの運営会社があって、そのすべてが本田技研工業の子会社とは限りません。資本関係のない会社が運営するHonda Carsもあります。
なおHonda Carsは、Hondaディーラーでは現在唯一のブランドとなっていますが、かつては「プリモ」「クリオ」「ベルノ」とHondaディーラーにもブランドがあり、それぞれのカーディーラーでは販売車種が異なっていました。
現在では、トヨタが同じ目的に沿ったディーラー再編を実施しています。
Honda Carsを例に取りましたが、どのメーカー系列のカーディーラーも同様の仕組みです。輸入車のディーラーも同様です。
さて、同じHonda Carsで働いていても経営はそれぞれ別であるため、給与や待遇は異なります。
そして、基本的に他社への転勤や異動というものはありません。
自動車メーカーからディーラーへ出向でやってきてクルマを売る人は多くいますが、逆(カーディーラーに採用され、自動車メーカーに出向)はほぼありません。
自動車整備士の職場としては、町の整備工場(民間車検場)やガソリンスタンド、カー用品店等もあります。
人気を集めるカーディーラーの整備士にはどのような特徴があるでしょうか。
一般的には次の通りです。
・給与は比較的良い(整備業界以外と比べても低くはない)
・販売店のため、土日祝日も稼働
・顧客の要望に応えるため、残業は比較的多い
・機械設備は充実しており、真夏・真冬の環境も比較的よい
・メーカーの研修を多く受けられるため、最新のクルマの知識が得られる
・販売している車種以外のクルマを整備することはほぼない
・正規部品を必ず使える
整備士といっても、顧客あっての商売ですが、特にカーディーラーは販売が主です。
顧客に合わせて整備の中身も変わってくるわけです。
それから、整備士にとどまらず、会社組織としてのカーディーラーをさらに見てみましょう。
・人事制度が明確で、出世すると責任と給与が着実に上がっていく
・整備士のまま勤務し続けることは少なく、営業に異動となることが多い
・整備責任者やフロントマンに進む道もある
機械とクルマが大好きで、ずっと整備をしていたいという人もいるでしょう。
ですが、誰でも体力は徐々に落ちてきます。そうしたときに営業に転身できる道があるのはディーラー勤務のメリットです。
営業を苦手に思う人もいるかもしれません。
ですが、整備士経験者に求められているのは口のうまさでクルマを買ってもらうことではありません。クルマの専門家として、顧客にきちんと説明ができることが重要なのです。
整備士専門学校を出て、どうすればメーカー系のディーラー整備士になれるでしょうか。
カーディーラーは、営業職も整備職も、新卒の採用が主になっています。
そして、自動車大学校等の整備専門学校においても、カーディーラーへの就職を実績としてアピールしています。
自動車大学校により実績に差はあるものの、多い学校でほぼ100%、少ない学校でも80%程度の卒業生が、カーディーラーに就職しています。
国内大手だけでなく、輸入車ディーラーや中古車ディーラーに行く卒業生もいます。
つまり、専門学校で頑張っている人なら、真面目に課題をこなし、技能を身に着け、さらに自動車整備士2級合格確実の状態になっていれば、カーディーラーに行ける可能性が大です。
新卒メインの採用設計になっているカーディーラーですが、全国にディーラー運営会社はあり、中には中途採用を実施している会社もあります。
大前提として、自動車整備士の2級資格を持っていることは必要です。このことは、専門学校に通わなかった人にとっては実務経験も意味します。
専門学校以外で資格を取得した人、あるいは専門学校に通ったのにディーラーに就職できなかった人も、特にまだ年齢が若いうちならカーディーラーへの就職は不可能ではありません。
場合によっては、紹介予定派遣という場合もあります。
仕事に問題がなければ正社員になれますから、この方法もいいでしょう。
国内メーカーごとに、カーディーラーもあります。
最も人気が高いディーラーは、トヨタ系です。
世界に誇る日本メーカーのトヨタは、ディーラー整備士にとっても好待遇となっています。
トヨタ系のディーラーに行くための方法を考えてみます。
トヨタ系に最も強い学校は、トヨタ系の自動車大学校ですが、それでも卒業生のすべてがトヨタ系に進めるわけではありません。
逆に、日産系の学校から、トヨタ系に入れないわけでもありません。
どこの専門学校に通うにしても、絶対的な方法はないわけです。
トヨタ系に限りませんが、新卒を自分の希望に合わせて有利に進めるためには、やはり日ごろの活動が最優先となります。
成績を常に高く保っておくこと、そしてチームワークに強みを発揮することでしょう。
日ごろからこれを心掛ける以外に近道はありません。
先にホンダのディーラー再編の例を挙げましたが、トヨタディーラーも再編中です。
「トヨタ」「トヨペット」「カローラ」「ネッツ」などを統合し、次々「トヨタモビリティ」のブランドに変わっています。
トヨタモビリティでは全車種を販売するので、整備士にとってもかかわるクルマの種類が増えていくでしょう。
ディーラーを運営する会社も統合されていますが、それでも全国に多数の会社が残り続けます。
見てきました通りカーディーラーは、やはり整備士の職場としてはおすすめです。
ディーラー整備士になるためには、自動車整備の専門学校に通うのが近道です。
そして希望のディーラーに就職するためには、日ごろから作業・課題に真剣に取り組んでいきましょう。
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