1996年に指定自動車教習所で大型二輪免許の教習を受けられるようになってからバイク人気に火がつき、現在では老若男女問わずにバイクツーリングを楽しむ人が沢山います。
バイク人気に火がついたということはバイクを整備する二輪自動車整備士の需要が上がっているということです。
四輪の自動車同様に251cc以上のバイクには車検があります。自動車整備士にとって車検はメインとなる重要な仕事ですが、二輪自動車整備士は車検以外にも様々な作業をするようになります。
四輪の自動車に比べてバイクは安全性が劣っています。しかも、バイクは趣味で乗っているお客様が大多数を占めるので、お客様の意見に寄り添い正確な整備をすることが二輪自動車整備士に求めらるスキルとなります。
前述したようにバイクは趣味で乗る方が多数います。趣味の世界ですので自分のバイクをカスタムして楽しみたいという人が多いです。
バイクをカスタムする為に純正の部品から社外品に交換をする場合は、取付け位置の加工をしたり、エンジンの調整をしたり、ワイヤーの長さを調整する必要があります。加工や調整作業を怠れば大きな事故につながる可能性があり、最悪の場合お客様の命を奪ってしまうことになります。
バイクのカスタムは、お客様の好みを理解し運転しやすさ等を考えながら、適切な調整をすることが大事となります。
また、カスタム以外でもエンジン・ブレーキ・クラッチ等の部位は動作を確認しながら交換・調整作業が必要となります。
事故を起こしてしまったバイクの修理も二輪自動車整備士の大事な仕事となります。事故の状況をしっかりと把握し、破損具合をよく確認をし、破損部位を特定して修理をすることによってバイクを元の状態に戻すことができます。
バイクは四輪の自動車と違いフレームが細く剛性も弱いです。破損状況をよく確認せずに修理をしてしまうと走行に異常をきたし大きな事故に繋がってしまいます。
また、バイクは走行中の振動によりネジが緩んでしまうということが多々あります。点検・修理の際はネジの緩みがないかを合わせて確認するのも二輪自動車整備士の大事な仕事となります。
生活をするのに欠かせない四輪の自動車に比べてバイクの総走行距離は少なくなる傾向にありますが、走行による部品の消耗は四輪自動車同様に出てきます。
バイクの消耗品としてはエンジンオイル、ギアオイル、ブレーキパッド、タイヤ等があります。どれも交換時期を過ぎた後、交換作業を行わずに走行をしてしまうと故障や事故に繋がってしまいます。お客様に適切なアドバイスをして交換作業をすることで、お客様の命を守り信頼を得ることができます。
また、バイクショップ・整備工場によっては郵便局や新聞屋さん等の仕事でバイクを使う企業や会社を顧客にもっている所もあり、走行距離に応じた適切な点検をして消耗部品を交換する必要があります。
251cc以上のバイクは2年ごとに車検を受ける義務がありますが、排気量に関わらず全てのバイクは12ヶ月ごとに法定点検を実施する義務があります。
現状、12ヶ月法定点検を受けなかったことによる罰則が無いために12ヶ月法定点検を受けない方が多数いますが、12ヶ月法定点検の重要さをお客様に説明をして点検の誘致することも二輪自動車整備士の仕事の1つとなります。
12ヶ月法定点検は点検基準にのっとり動力装置・走行装置・制動装置・灯火装置・車体等の点検整備を行い、必要とあらば部品の交換作業を行います。
バイクの点検整備や車検、カスタム等を行う際には、お客様のご用命やご意見をよく伺わないとお客様の満足いく仕上がりにはなりません。
これは、どの職業でも共通することですがお客様の気持ちに寄り添い5W1H等を上手く使いこなし、細部にわたるお客様の希望や不満、不具合等を聞き出すことでお客様の信頼を得ることができます。
前述したように、バイクは生活に必要な四輪自動車とは違い趣味で乗っている人が多いです。趣味の世界ですので物凄くバイクのことに詳しいお客様が沢山いらっしゃいます。そのお客様の信頼を得るのには、お客様の知識を超える知識を有して接客・アドバイスをする必要があります。趣味で得た知識を上回るのは並大抵の努力ではないですが、その知識を得てこそ二輪自動車整備士のスペシャリストとなれるのです。
二輪(バイク)自動車整備士になるには自動車整備士養成施設の学校に進み二輪自動車整備士の資格を取得するか、二輪自動車整備工場に務めて実務経験を経て二輪自動車整備士の資格を取得するかの2通りとなります。
中学校や高校等を卒業をした後に二輪自動車整備工場に就職をした場合は、1年間の実務経験を経てから3級二輪自動車整備士の資格取得を目指すことになります。また特定の機械科の学校を卒業した後に二輪自動車整備工場に就職をした際は6ヶ月の実務経験を積むことで3級二輪自動車整備士の試験を受けることができるようになります。
四輪の自動車整備工場に比べて二輪自動車整備工場は無資格者でも就職はしやすいのですが、無資格者は作業できる範囲が狭くバイクの重要な部位の分解整備を単独で行うことが出来ないので整備工場内ではサポート役という立場となります。
二輪自動車整備工場で働きながら並行して学業に専念をして資格を取得するのはかなり大変で厳しい道のりとなります。
二輪自動車整備士を目指す人にとって最もポピュラーなのが自動車整備士養成施設の学校に通うことです。
自動車整備士養成施設の学校で二輪自動車整備士を目指す場合は、2級自動車整備士科の二輪自動車整備士コースであったり単独で2級二輪自動車整備士科のある学校に入学をして資格の取得を目指します。
自動車整備士養成施設の学校によって二輪自動車整備士科や二輪自動車整備士コースが無い所もあるので、二輪自動車整備士を目指す人は事前に資料を請求をしたり体験入学をしてから学校を選ぶようにしましょう。
また、3級二輪自動車整備士は分解整備が単独で行えないので二輪自動車整備工場からの求人も少なく需要が低い為、ほとんどの学校が2年制で2級二輪自動車整備士の資格を取得できる二輪自動車整備士科や二輪自動車整備士コースとなっております。
前述したように仕事をしながらの独学はかなり険しい道のりとなり、プライベートな時間を全て勉強に注ぎ込み、資格取得の為の試験に臨むようになります。
自動車整備士養成施設の学校では実技講習で各部品の名称や構造を学び、座学では資格取得の為の試験対策まで学べます。もちろん学生なのでプライベートも充実しています。
しかも、独学で資格を取得する為には実技試験と学科試験の両方に合格しなければいけないのですが、自動車整備士養成施設の学校では修了課程を貰うことで実技試験の免除となるので学科試験のみ合格すれば晴れて二輪自動車整備士となれます。
(出典元 日本二輪普及協会)
二輪自動車整備士は1級・2級・3級二輪自動車整備士の3つにわかれています。それぞれの級によって作業できる範囲が異なってきます。
3級二輪自動車整備士の試験は実技試験と学科試験にわかれており、実技試験では工具や計測機器の使い方・初歩的な点検や調整・基本工作等を行い、学科試験では工具や計測機器の使い方・基本的な二輪自動車の構造や役割・油脂類関係・法令の問題が出題されます。
3級二輪自動車整備士はバイクの基本的な点検・調整作業やオイル交換やタイヤ交換等の消耗品の交換を行うことができますが、走る・曲がる・止まるの保安基準に関わる重要な部位の分解作業を単独で行うことが出来ません。
2級二輪自動車整備士の試験も実技試験と学科試験にわかれています。実技試験では3級二輪自動車整備士の試験の内容に加え、より高度な点検・修理・調整・検査に関わる問題が出題されます。学科試験も実技試験同様に3級二輪自動車整備士の試験の内容に加え、更に複雑な構造やバイクの仕組みに関する問題や図面を用いた問題、計算問題等が出題されます。
2級二輪自動車整備士の資格を取得すると基本的な点検・調整作業に加え、走る・曲がる・止まるの保安基準に関わる重要な部位の分解作業を行うことが出来るようになります。
また、無資格者や3級二輪自動車整備士が分解整備を行う際は、監督・指示をして検査を行う役目を負います。
1級二輪自動車整備士は資格上存在はしているのですが、現在2級二輪自動車整備士が在籍していれば二輪自動車整備工場の運営が行えてしまうことや、2級二輪自動車整備士との格差を設けられない等の理由により試験が実施されたことは1度もありません。
1級小型自動車整備士の試験も同様に長い間実施されていなかったのですが、近年、次世代自動車の登場により2級自動車整備士との格差を設けれるようになったことから、2002年より試験が実施されるようになりました。バイクをEV車等の登場により新たな整備知識が必要となる為に近々試験が行われるようになるかもしれません。
前述したようにバイクは趣味で乗っている方が多数を占めています。お客様に信頼される二輪自動車整備士になるにはお客様より詳しい知識・技術を身につける必要があります。それには誰よりもバイクが好きな二輪自動車整備士のスペシャリストを目指すことが大事となります。
好きなことを職業とするのは時として辛くなることもありますが、そこを乗り越えてこそ二輪自動車整備士のスペシャリストとなれるのです。
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