手に職を付けようと思ったとき、職種によっては資格が必須となります。
自動車整備の仕事にも、一生ものの資格「自動車整備士」があります。
自動車整備士の受験資格や、どれだけ勉強すれば取得できるのかについてお伝えします。
自動車整備士の資格は、1級から3級の各級、それから特殊整備士に分かれています。
最終的には、2級までは目指したいところです。2級があると、整備業界ではどこでも、責任者まで務まります。
級ごとに受験資格を確認します。
3級は、自動車整備士のスタートといえる資格です。
次の4種類に分かれています。
種別ごとの、受験資格の違いはありません。
将来2級を受ける際に、資格の条件に差が付くこともありません。
3級自動車整備士の場合、卒業した学科に関係なく、整備士としての実務経験だけで受験資格を得られます。
・誰でも・・・「1年」の整備士(見習工)の実務経験があればOK
整備工場等で整備業務に従事している人なら、この実務経験だけで受験資格が得られるわけです。
この1年という実務経験は、高校・大学・専門学校で機械工学を学んだ人の場合、期間が軽減されます。
・機械工学系の卒業者・・・「6か月」の整備士経験でOK
・自動車科・自動車整備科の卒業者・・・実務経験不要
・3級自動車整備士養成課程卒業者・・・実務経験不要、さらに実技試験免除
2級は自動車整備業界の、かつての最高等級です。
3級と同じく4種類に分かれますが、受験資格についてはさらに2種類に分かれます。
「2級ガソリン」「2級ジーゼル」「2級二輪」の受験資格が同一なので、まずこれから確認します。
・3級資格取得者・・・3級合格後「3年」の実務経験があればOK
この3年の実務経験が、高校・専門学校・大学で学んだ分野によって軽減されます。
・機械工学系の卒業者・・・3級合格後「1年6か月」の実務経験でOK
・自動車科・自動車整備科の卒業者・・・3級合格後「2年」の実務経験でOK
3級と異なり、自動車整備系より機械工学を学んだ人のほうが優遇されています。
それから、次の人です。
・2級自動車整備士養成課程の卒業者・・・実務経験不要、実技試験免除
2級自動車整備士養成課程とは、専修学校である「自動車大学校」にあるコースです。
自動車大学校の2年過程に通う人は、卒業と同時に2級自動車整備士を取得し、この方面に進む人が多いです。
2級の残るひとつ、「2級シャシ」の受験資格も確認します。
・3級資格取得者・・・3級合格後「2年」の実務経験があればOK
・3級資格取得で機械工学系(大学、専門学校)の卒業者・・・3級合格後「1年」の実務経験でOK
・3級資格取得で機械工学系・自動車整備系(高校)の卒業者・・・3級合格後「1年6か月」の実務経験でOK
・2級自動車整備士養成課程の卒業者・・・実務経験不要、実技試験免除
2級シャシ整備士は必要な実務経験が若干軽減されているので、これを最初に取得できます。
ただし、2級シャシについてのみ、1級へのステップアップの道がありません。
1級を取得する場合、「ガソリン」「ジーゼル」または「二輪」の2級を取得する必要があります。
最後に最高資格の1級です。
1級には3種類ありますが、うち2種類は実施されたことがなく、実質「一級小型自動車整備士」のみです。
1級の受験資格はシンプルです。
・2級(ガソリン・ジーゼル・二輪)資格取得後「3年」の実務経験
・一種養成施設修了者は実務経験不要、実技試験免除
2級と同じく、自動車大学校の卒業で、同時に1級が得られます。
ただし1級コースの場合、4年通う必要があります。
特殊整備士は、自動車整備のオプション的な資格で、専門整備を担当します。
現在実施されているのは「自動車電気装置整備士」「自動車車体整備士」の2種類です。
受験資格は次の通りです。
・誰でも・・・「2年」の整備士(見習工)経験があればOK
・機械工学(大学・専門学校)卒業者・・・「1年6か月」の経験があればOK
・2級自動車整備士養成課程の卒業者・・・実務経験不要、実技試験免除
自動車整備士試験の内容を見てみます。
基本的には実技試験と学科試験(ペーパー)の両方があります。
ペーパー試験を免除される人はいません。
自動車整備士各級の試験を受ける際、基本的に実務経験が求められます。
ただし高校、専門学校、大学の機械工学出身者の場合は短縮されるのは、見てきたとおりです。
さらに自動車大学校の卒業生であれば、実務経験不要で受けられるだけでなく、実技試験も免除されます。
運転免許証を取る際、教習所に通うことで実技試験が免除されるのを思い起こせば、理解しやすいでしょう。
試験は学科(ペーパー試験)が先にあり、こちらに合格した人のみ実技試験(免除されていない場合)に進みます。
3級整備士の学科試験は、「自動車の構造」「点検と修理の基礎」等に関し4択で出題されます。
年度により異なりますが合格率は6割から8割程度です。
実技試験も初歩的な、修理・分解そして組立に関する課題が出されます。
2級整備士も学科と実技に分かれますが、この級の受験者の場合、実技試験免除者が圧倒的に多くを占めます。
3級からステップアップしていく人は、受験者の少ない実技試験を突破する必要があります。
学科は、整備や分解修理に関する内容が4択で出題されます。
基本的な問題ではあるものの、対策していないと手も足も出ないかもしれません。
整備に対する深い知見が必要な問題です。
1級自動車整備士は、2級からステップアップする人にとっては極めて難関の資格です。
2級(シャシ整備士以外)合格後3年の実務経験があれば受験資格が得られます。
1級の学科では、「電子制御」「水素自動車」「自動運転」「地球温暖化対策」などについても出題されます。
もちろん、検査や工具、図面などについても熟知していることが大前提です。
1級の場合、「口述」試験もありますが、これは恐れるほどではありません。
特殊整備士(自動車電気装置整備士・自動車車体整備士)については、専門性が高い試験内容となっています。
ただし学科も実技も、それぞれの分野で現に専門性の高い仕事をしている人にとっては、決して難しいものではありません。
資格取得のためには勉強が必要です。
どのぐらい時間が必要かは、一概には言えません。とくに整備士の試験を受ける人は、千差万別です。
問題の難易度もありますが、過去にどれだけ勉強をしてきたかの、経験の差が大きくなります。
3級は学科試験と実技試験でできています。
実技試験については、日ごろの業務の中で、問題意識を持ってしっかり身に付けていかないとなりません。
学科のほうについて言うと、極めて基礎的な問題ばかりで、決して難しくはありません。2週間ほど集中してテキストを読み込んで、受かる人もいるでしょう。
ただし、試験勉強に慣れていない人にはそうではないはずです。慣れていない人は、半年前など早めに始め、しっかり理解しながら進めていく必要があります。
3級の場合、実技試験のほうが難しいものです。見習整備士を仕事で続ける中で、しっかりスキルを身に着けていきましょう。
2級も、学科と実技です。
自動車大学校等で2年学んできた人にとっては、2級の学科試験は決して難関ではありません。ただ、3級からステップアップの人にとっては、決して易しくありません。
過去問を徹底的に潰すには、最低でも3か月程度は準備したいところです。
そして、難しいといっても整備実務に関連する問題ばかりです。勉強すれば必ず実務にも返ってきます。
実技はかなりの難関で、学科に通ってもここで落ちる人が多くいます。こちらはやはり、実務の中で身に付けていくしかないでしょう。
1級は、学科と口述、実技です。
口述で落ちる人は少ないですが、学科も実技も難しい試験です。
1級の場合、世間と比較しても難関の資格であることを理解して、日ごろから意識づけを替えていく必要があります。
忙しい実務の中で、かなり真剣な学習が望まれます。最低でも3か月、できれば半年から1年は準備に掛けるべきでしょう。
筆記と口述に合格した後の、実技試験は難関です。ただし実践をこなしている整備士であれば、実務を大きく超えるレベルということはありません。
特殊整備士のうち車体整備士については、実務と試験とが直結する度合が高いです。
鈑金・塗装に関する実務知識をきちんと持っている人なら、テキストでの勉強は、確認程度で大丈夫と思われます。
過去問を潰しておけば安心です。
電気装置整備士については、もう少し書物で得る知識が必要です。
自動車整備士の受験資格と、試験内容をまとめました。
自動車整備の専門学校に通わなくても資格を得られますが、その場合3級から順にステップアップしていくことになります。
そして、実務経験が受験にあたって必要です。実務の中身を常によく考え、仕事について深掘りしている人ならば、必ず先に進めるでしょう。