新卒、転職問わずに就職活動がスムーズに進み、希望する企業から内定をもらう。就職活動中の誰もがそう上手くいくものではありません。
現在、カーディーラーや民間の自動車整備工場では自動車整備士不足や自動車整備士の高齢化が問題となっていますが、自動車整備工場で好条件の求人は志望倍率が高く簡単に就職することはできません。
今回は自動車整備士を目指す人や、他の自動車整備工場への転職を考えている自動車整備士が、失敗しない為の求人状況と求人情報を確認する際の注意点を解説していきます。
自動車整備工場では特定整備(分解整備)を単独で行うことのできない無資格者や3級自動車整備士は需要が低く、求人もほとんどありません。
現状では2級自動車整備士以上の資格を取得している者が在籍していれば自動車整備工場の運営は正常に行われる為、2級自動車整備士以上の資格を取得している者の求人がほとんどですが、次世代カーの時代になり高度な知識と技術力が必要となってきた為、今後は1級自動車整備士の需要が高くなってきます。
自動車整備工場からの求人は自動車整備士を目指す人が通う自動車整備士養成施設の専門学校で行われるのが主となります。
自動車整備士資格は実技試験と学科試験(1級自動車整備士試験は口述試験も有り)の両方に合格する必要がありますが、自動車整備士養成施設の専門学校では修了課程を得ることにより実技試験が免除されます。
自動車整備士資格の試験は通常10月と3月に実施され、自動車整備士養成施設の専門学校に通い修了課程を取得した人は3月の試験を受けることになります。
自動車整備士資格試験の結果発表は4月に行われ(1級自動車整備士資格試験は5月に口述試験有り)、自動車整備工場へは無資格の状態で入社することになります。
自動車整備工場からは自動車整備士資格取得予定者として新卒者への求人が行われます。
採用の方法は自動車整備工場により様々ですが、合否発表までの仮採用で不合格の場合は採用取り消しであったり、合否に関わらず本採用はするが不合格の場合は基本給等の条件変更を行う等の採用条件があります。
カーディーラーでは本採用はしますが、自動車整備士資格試験に不合格だった場合は営業職としての採用となることが多いです。
自動車整備士になるのには自動車整備士資格を取得するのが絶対条件ですが、万が一自動車整備士資格試験に不合格になってしまった時の待遇はよく確認するようにしましょう。
自動車整備工場に入社した後に行われる自動車整備士資格試験に不合格になってしまった場合、どんな採用条件にせよ入社した自動車整備工場に相談をするようにしましょう。
自動車整備士資格試験は実技試験の合格発表と学科試験の合格発表が別々に行われます。資格取得には両方合格する必要がありますが、片方だけ合格した場合は、合格した試験が2年間免除されます。
自動車整備士養成施設の専門学校の修了課程で得られる実技試験免除も2年間免除されます。
自動車整備士資格取得までに2年間の猶予をもらえる自動車整備工場は少ないと思いますが、次回10月開催の自動車整備士資格試験合格を条件に採用条件を変更してもらえる自動車整備工場もあるので、自動車整備士資格試験に不合格になっても諦めず就職先の自動車整備工場と交渉をして自動車整備士を目指して下さい。
自動車整備士の平均年収は400万円前後となっています。しかし、高齢化の進んでいる自動車整備士の平均年齢は30代後半となっており、新卒や入社数年の若手自動車整備士とベテラン自動車整備士の年収の格差が大きくなっています。
平均年収が高いのは40代〜50代の自動車整備士で、平均年収は約530万円となっています。それに対して新卒の平均年収は約220万円となっていています。
平均年収の格差でもわかるように、自動車整備士は経験を積んで一人前の自動車整備士となり、ある程度の収入を得るまでに時間のかかる職業となります。
就職求人サイトや転職サイト等では高収入での自動車整備士の求人が数多く掲載されています。しかし、そのほとんどの求人内容は経験・実績を考慮するという記載があるもので新卒者や若年層の収入はそれほど高くはありません。
高収入を得られる自動車整備士は、自動車検査員としての実務経験者や、自動車メーカー内で行われる自動車メーカー自動車整備士検定1級取得者等となり、自動車整備工場で主力となるベテラン自動車整備士となります。
自動車整備士の求人に限らず、求人の給与欄にみなし残業代を含むという言葉が掲載されています。
みなし残業代は企業が把握しきれない残業時間分の残業代をあらかじめ給与にプラスして支払うというシステムです。
みなし残業代は残業してもしなくても給与にプラスして支払われるのですが、みなし残業代制度を設けている企業で残業が無いということは間違いなくありません。
自動車整備工場の仕事は緊急の故障車や事故車等の入庫が頻繁にあるために、1日の仕事が段取りどおりに進むことはほぼ無く毎日少なからず残業が発生します。
みなし残業代を設定している企業の給与は高額に見えますが、みなし残業代の設定している残業時間以上の残業をするようになるのでプライベートを大事にしたい人は注意が必要です。
自動車整備工場は2級自動車整備士資格を保有している自動車整備士が在籍していれば運営ができてしまいます。
その為、2002年までは1級自動車整備士と2級自動車整備士の差別化が難しく1級自動車整備士資格試験は開催されませんでした。
現在では次世代カーの電子制御装置の整備に必要な特定整備主任者に1級自動車整備士は無条件で選任できるので1級自動車整備士の需要が高くなってます。
1級自動車整備士と2級自動車整備士の新卒入社時の給与の差は年収で10万円前後となっています。
月収だと数千円から1万円程度の差となり、それほどの差は無いように感じてしまいますが、自動車整備工場で働いてから取得できる資格の取得時に優位に立つことができます。
自動車メーカーのディーラーに入社した場合、自動車メーカーの設けている技術検定試験に合格することによってスキルアップや昇給をしていきます。
自動車メーカーの1級技術検定は国家資格の1級自動車整備士資格試験より難しいと言われてます。自動車メーカー1級技術検定を取得することによりその自動車メーカーの整備のスペシャリストとなり企業内での待遇も変わってきます。
自動車メーカー技術検定は新卒の国家2級自動車整備士資格取得者で技術検定4級相当、国家1級自動車整備士資格取得者で技術検定3級相当となり、国家1級自動車整備士資格取得者の方がより早く技術検定1級試験に挑戦することができます。
自動車整備士養成施設の専門学校では2年制の2級自動車整備士コースと、4年制の1級自動車整備士コースにわかれていて修了課程を取得することで自動車整備士資格試験の実技試験が免除となります。
4年間という長い期間専門学校に通うことにはなりますが、今後の需要や就職活動に有利な1級自動車整備士コースを選ぶことをオススメします。
同じ自動車整備工場に同期として1級自動車整備士と2級自動車整備士が入社した場合、1級自動車整備士の方が給与面等で優遇されます。
しかし、同期として専門学校に入学して同じ自動車整備工場に入社した場合、2年制で資格を取得して先に入社をしている2級自動車整備士の方が、2年後に入社する1級自動車整備士より技術力は高くなります。
技術力は仕事をすることによって得るものが多く、2年間でかなりの差がついてしまいます。
その差を最小限に留めるのには実技実習の多い自動車整備士養成施設の専門学校を選ぶ必要があります。
関東工業自動車大学校では実技実習を中心としたカリキュラムが組まれており、年間の授業の8割以上が実技実習となっています。
自動車整備士になる為には自動車整備士資格が必須条件となっています。しかし、自動車整備士資格を取得したからといって1人前の自動車整備士になれるわけではありません。
求人を出している自動車整備工場の多くは、即戦力となる自動車整備士を求めています。即戦力となる自動車整備士は厚待遇で迎え入れてくれます。
新卒時に好条件の就職先を探すのも重要なことですが、自動車整備工場に入社した後にどれだけ仕事をこなし、自動車整備工場の中心人物となれるかがもっと重要です。
入社した自動車整備工場で仕事の中心人物となれない人は、違う自動車整備工場に転職しても即戦力として認められず厚待遇では迎え入れてもらえません。
自動車整備士が好条件の就職先を求めるには自分の技術力・知識力を養うこと。これ以外にはありません。