自動車整備の業界は、資格がなくても就職できます。
とはいえ、クルマの進化とともに整備の責任も増大する中、整備士資格の重要性は増しています。
自動車整備士の頂点資格、1級自動車整備士について解説します。
1級自動車整備士といえば、整備業界のエキスパートです。
とはいえ自動車整備士の仕事内容自体、資格の級によって大きく変わるわけではありません。
1級と2級の資格保持者の日ごろの実務内容を比べれば、おおむね同じです。
ただしこれからは電気自動車等の新たなクルマが増えていくため、1級保持者に独自に期待される仕事が増えていくはずです。
詳しく見てみましょう。
1級自動車整備士の仕事は、あらゆるクルマの整備点検を行うことです。
特に既存のクルマと仕組みの異なる、電気自動車や水素自動車等の整備において、独自性が活かせます。
最近のクルマは電子制御部分も大きな比重を占めますが、これもすべて1級整備士の業務範囲です。
1級保持者にはさらに環境問題といった、新しい知識も求められます。
地球温暖化が進む中、クルマはどうあるべきかといった、今までにない視点も期待されているのです。
多くの自動車整備士が保持している2級自動車整備士資格は、「ガソリン」「ジーゼル」「シャシ」「二輪」に細かく分かれています。
3級は2級の下位資格であり、2級と同様の細分類がなされています。
1級にはこのような区分はありません。
ガソリン車、ディーゼル車も問いません。さらに電気自動車や燃料電池自動車など、特殊なクルマも担当できます。
すべてを一人で見られるわけで、1級こそ整備責任者にふさわしい資格です。
以下の記事も参考にしてみてください。
1級自動車整備士の資格を得ると、自動車整備のエキスパートとして、次のような業種に転職や異動が可能です。
・自動車メーカー
・自動車部品メーカー
・カーディーラー
・車検整備工場
最新のクルマに関する専門家として、さらに整備技術のコンサルティング等の分野にもチャレンジできるでしょう。
他人に整備を教える、専門学校の教員といった道も目指せます。
自動車整備士としては、1級保持者にできない業務はありません。
「大型」と「二輪」に関しては独自に1級が存在しますが、現状大型と二輪の試験が実施されていないため、事実上業務に制限はないことになります。
自動車整備士としては1級が頂点ですが、業界にはさらに上位というべき「自動車検査員」の資格があります。
国に代わって民間車検場で車検を行ために必須の資格です。検査員は、準公務員の位置づけにあります。
自動車整備とは角度が異なり、整備が法令に適合しているかを確認する仕事です。
1級を取得していても検査員業務はできません。
なお、検査員の受験資格を得るために1級自動車整備士が必要という関係にもありません。「シャシ」を除く2級資格保持者も、検査員資格を受験できます。
どんな業界のどんな資格でも、1級を取得するのは大変です。
自動車整備士1級の場合、難易度は高いものの、実務のために不可欠という位置づけではありません。
とはいえ、自動車整備のエキスパートであり、環境問題にも造形が深いのが1級保持者です。資格取得の意義は相当に大きなものがあるはずです。
1級自動車整備士の資格は、学科(筆記と口述)、それから実技で構成されています。
口述についてはおおむね合格しているので、学科と実技に注力する必要があります。
合格率は半分に満たない年が多く、難易度はかなり高いといえます。
1級ができてからの歴史が浅く、過去問だけでは対策が立てづらいという理由があります。
合格率等は後述します。
自動車整備士1級にも種類があります。
ですが、現状実施されているのは「1級小型自動車整備士」のみです。
実質的に1種類だけということですが、試験の実施されていない資格についても、参考までに見ておきましょう。
現在実施されている唯一の1級自動車整備士資格が、小型自動車整備士です。
「小型」は定員10人未満の普通自動車や軽自動車を指します。
2級とは異なり、ガソリン車、ディーゼル車といった区別はありません。
1級の試験自体、長らく実施されておらず、2002年になって始まりました。歴史はまだ長くありません。
このため、試験の傾向も見抜きづらくなっています。
1級大型自動車整備士は、大型自動車の整備に対する最上級資格です。ただし実施されたことがありません。
大型自動車については、現在2級が現在の最上級資格となっています。
1級二輪自動車整備士は、二輪自動車に対する最上級資格ですが、大型と同じく実施されたことがありません。
二輪自動車についても、2級が最上級資格です。
1級自動車整備士について、興味が湧きましたでしょうか。
整備士全体のわずか3%と、狭き門であるこの資格の取得方法についてご案内します。
1旧自動車整備士資格を得るためには、試験に合格することが必要です。
ただし、誰でも受験できるわけではありません。
次の条件が求められます。
・専門学校等の1級整備士養成課程卒業
・2級自動車整備士資格(シャシ整備士除く)を得たのちの実務経験3年以上
自動車専門学校等には4年間の1級整備士養成課程があり、これを修了していれば、実務経験3年の要件は免除されます。
高校を卒業して専門学校で学び、1級を取得してから社会に出ることができるわけです。
専門学校の過程では、まず2級(二輪、シャシ資格を除く)を取得したのち、さらに1級の養成課程を修了している必要があります。
なお専門学校の過程であっても、1級整備士は難関です。学校にもよりますが、合格率は6~9割程度です。
専門学校の2級養成課程は、2年間で修了です。
2級整備士の資格を取得して整備工場等に就職し、3年の実務経験を踏まえると、1級の受験資格が得られます。
ただもちろん、3年の実務経験だけで簡単に合格できるような試験ではありません。
1級自動車整備士試験は、三段構えとなっています。
大きく分けると、「学科試験」と「実技試験」です。
学科試験はさらに、「筆記」と「口述」に分かれます。口述試験は筆記試験の合格者のみ受けられます。
このうち、対策はもっぱら筆記についてする必要があります。
筆記試験はクルマのあらゆる側面について出題されます。
自動車の構造、点検修理等の方法、機械工具、燃料の油脂、図面それから法律です。
クルマと、クルマの整備について、知らないことがない状態にしなければなりません。
学科試験の合格者だけが実技試験に進めます。実際に工具を使って整備を行う必要があります。
使用する車両と工具については、事前に公表されます。
2021年8月に実施される実技試験では、「ニッサン デイズ」を用い、外部診断器は「使用しない」となっています。
2020年8月の実技試験では「ホンダ フィット」を用い、外部診断器は「日立HDM-3000」でした。
当日は出題を読んで、その解答を実技と記入とで行います。
1級自動車整備士は整備士の頂点といえますが、どれだけ難しいのでしょうか。
難易度自体は人によりますが、合格率などの指標は公表されています。
2021年6月現在、最新の1級自動車整備士試験の合格率から見てみます。日程的に実技が未実施のため、学科のみの結果です。
2021年3月21日実施の自動車整備技能登録試験(令和2年度第2回)の学科合格率は次の通りです。
カッコ内は前年のものです。
・筆記試験・・・61.1%(52.7%)
・口述試験・・・99.2%(96.4%)
1級は年1回、「第2回」しか実施されません。
筆記試験は6割以上の正解が求められており、さらに範囲ごとの基準点が設けられています。
学科のみで60%台の合格率とは、なかなか厳しい門に見えますが、それでもこの年は比較的高い合格率でした。
年度によってはさらに厳しいことがあり、たとえば2017年(平成20年度第2回)はわずか22.4%でした。
合格率が5割を超える年は珍しいほうです。
例年、学科合格者に対して8月に実技が行われます。
2020年実施の実技試験において、合格率は73.8%でした。これはあくまでも学科合格者のみの数字です。
7割が合格したというと意外に高い合格率のようですが、その前年は実に19.9%でした。この年も、極端に低かったというわけではありません。
1級自動車整備士は、非常に狭き門だといえます。
最終合格率は、高かった年でも5割に満たない数字です。
これは政策によるものと思われます。1級の権威をしっかり確保し、名実に恥じない専門人材を作る意向があるようです。
1級自動車整備士の資格を取得することには、以下のようなメリットがあります。
1級自動車整備士は、最新の自動車技術や高度な整備スキルを習得することが求められます。これにより、2級や3級自動車整備士では対応できない複雑な修理やメンテナンスが行えるようになり、業務範囲が広がります。
1級自動車整備士の資格を持つことで、管理職や技術指導員、教育機関での講師など、キャリアの幅が広がります。また、ディーラーや大手整備工場では、1級自動車整備士の資格を持つことが昇進の条件となる場合もあります。
1級自動車整備士の資格を取得することで、給与が増加するケースが多くあります。高度な技術や知識を持つことで、より高い給与を得られるだけでなく、資格手当などの特別な待遇が受けられることもあります。
難易度が高い1級自動車整備士の資格を取得すること自体が、大きな達成感をもたらします。また、資格を持つことで、自信を持って仕事に取り組むことができ、自己成長を実感することができます。
1級自動車整備士の資格を取得することには多くのメリットがありますが、いくつかのデメリットや注意すべき点もあります。
1級自動車整備士の資格は、非常に難易度が高いです。資格取得には高度な知識と技術が求められ、学科試験や実技試験も厳しい内容となっています。このため、合格するために長期間の勉強やトレーニングが必要となり、時間的コストが大きくなります。
1級自動車整備士の資格取得には、教育機関への通学費用、教材費、試験の受験料などが必要です。これらの費用が高額になる場合もあり、経済的な負担が大きくなることがあります。
1級自動車整備士の資格を取得しても、すぐに高収入が得られるわけではありません。職場や地域によっては、資格を持っていても給与や待遇が思ったほど向上しない場合があります。実績や経験が重要視されることもあり、資格だけでは十分でないことがあります。
1級自動車整備士として働くと、高度な技術や知識が求められるため、業務上の責任も増加します。ミスが許されない状況や、複雑なトラブルに対応しなければならないことがあり、精神的なプレッシャーが大きくなる可能性があります。
1級自動車整備士は、業界内でも高い資格ですが、同時に競争も激しくなります。資格を持っているだけでは、他の有資格者との競争に勝つのは難しく、さらに高い専門性や経験が求められることがあります。
自動車整備士の最難関、1級自動車整備士について見てきました。
現在唯一実施されている1級小型自動車整備士資格は合格率が低く、取得には入念な準備が必要です。
最新かつ最高峰のクルマの知識も求められます。
実技試験はとりわけ難関です。
確実に取得したいと考えるなら、専門学校に4年通うのが最もいいでしょう。
2級整備士からステップアップしたいのなら、常日頃から最新の整備を身に着け、どんな課題にでも確実に正解を出せるようにしておきましょう。
もちろん机の上の勉強も必須です。
クルマが好きな人なら、関東工業自動車大学校(愛称・KANTO)で、車体整備士を目指してみませんか。
KANTOは、埼玉県鴻巣市の専門学校です。
スクールバスが出るJR北鴻巣駅までは、大宮駅から25分です。
川越、久喜など埼玉県各地からも、スクールバスが運行されています。
KANTOの特徴は、徹底した実技教育にあります。
自動車整備は、机の上の学問よりも、少しでも現物に触れることが大事です。
KANTOの場合、週に3日は、1日中実技を学べます。
専門学校も数ありますが、学んだ知識、得た資格が就職に活かせる学校だけではありません。
KANTOなら資格取得率100%を誇るだけでなく、自動車整備関連の就職先に圧倒的な強みがあります。
第一志望への就職率は、実に98.86%です。
カーディーラーや自動車保険会社をはじめ、就職先も多岐に渡ります。
学校で学ぶにあたっては、雰囲気を知ることも重要です。
KANTOでは毎週、オープンキャンパス(またはミニオープンキャンパス)を実施しています。
オープンキャンパスは、1月、8月と12月を除いて月1~2回土曜日です。それ以外の土曜日にも、ミニオープンキャンパスがあり、在学生が校内を案内してくれます。
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