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電気自動車って燃費が良いの?ガソリンとの違いを徹底解説!

近年、ガソリン代がグングン上がっている中で電気自動車に目をつける方も多いのではないでしょうか。

電気自動車にはどんなイメージを持っていますか?

「燃費が良い」「環境に優しい」

などでしょう。

では実際に電気自動車は燃費が良いのでしょうか?またガソリン車と比べるとどのような点が違ってくるのでしょうか?

そのような疑問をこちらの記事では解決していきます。

電気自動車の購入を検討されている方はぜひ最後までご覧ください。

電気自動車の基礎知識

まずは電気自動車を語る上で大切な基礎知識について解説していきます。

エンジンの燃費

エンジン車の場合、「1Lの燃料で何km走ることができるのか」を示したものを「燃費」と言います。

カタログなどには「20km/L」などと記載されていて、この数字が大きいほど走るのに使う燃料が少ない「燃費のいい車」ということになります。 

もちろん、これは定められた走行パターンにおける数値(モード燃費)であり、実際にはこの数値どおりの距離を走行できるとは限りませんが、車を購入する際のひとつの目安となります。

燃費の表記

ガソリン車の場合、燃費は「km/L」(ガソリン1リットルあたりの走行距離)で示されますが、電気自動車の場合は「km/kWh」(電力量1kWhあたりの走行距離)となります。

1kWhは1kWの電力を1時間流した時の電力量のことで、家庭における電気の使用量と同じです。ガソリンと同様、電気自動車も燃費の数値が高いほど良くなります。

また、ガソリンも同じですが、電気も電力会社ごとに料金は異なり、プランごとにkWhあたりの金額がさまざまな形で決められているため、実際の料金に合わせて考える必要があります。

WLTCモード

燃費のカタログ値における測定方法として一般的なのは「WLTCモード」です。

このモードは「世界統一試験サイクル」と呼ばれる、自動車基準調和世界フォーラムで採択された国際的な試験規格のことです。

試験は市街地モード、郊外モード、高速道路モードの3つの環境で実施され、ある程度実環境を模した状況で燃費が測定されます。実際の燃費とはもちろん差異がありますが、走行状況ごとで燃費がイメージでき、ある程度近い数値が出ることから、2018年以降で表記が義務化されました。

ちなみに、燃費のカタログ値としては、日本独自の試験方法である「JC08モード」も公表されていることが多いです。

こちらは2014年から表記が義務化されていましたが、実環境と差異が大きいことから、2020年以降はWLTCモードに置き換わっています。

電気自動車のバッテリー

●バッテリーの寿命
・寿命の定義
バッテリーの寿命は、通常は充放電サイクル数や時間で表されます。一般的に、電気自動車のバッテリーは数千から数万の充放電サイクルを持つことが期待されています。

・バッテリーの劣化
バッテリーは時間と共に劣化し、容量が減少していきます。これにより、充電量が減少し、走行距離も短くなることがあります。バッテリーの劣化率は、使用状況や充放電の頻度、気候条件などに影響されます。

・保証期間
電気自動車メーカーは通常、新車購入時にバッテリーの一定期間の保証を提供します。この期間中にバッテリーが異常な劣化を示した場合、交換や修理が無償で行われることがあります。

●交換費用
・交換時期
バッテリーの寿命が尽きた場合、交換が必要になります。交換時期はバッテリーの劣化率や使用状況によって異なりますが、一般的には5年から10年程度とされています。

・交換費用
バッテリーの交換費用は、車種やバッテリーの容量によって異なります。一般的に、大容量のバッテリーほど高価であり、交換費用もそれに比例します。交換費用には、バッテリーパック自体の価格だけでなく、作業費や部品代も含まれます。

・メーカーのサポート
一部のメーカーは、バッテリー交換に関する特別なプログラムやサービスを提供しています。これには、中古のバッテリーパックの販売やリサイクル、交換費用の割引などが含まれる場合があります。

●考慮すべき点
電気自動車のバッテリー寿命や交換費用は、長期的なコスト面での重要な要素です。購入時にバッテリーの保証や交換に関する情報を確認し、将来的なコストを考慮に入れることが重要です。
バッテリーの交換費用は高額な場合がありますので、購入時に予算に余裕を持たせておくことが望ましいです。
バッテリーの劣化による走行距離の減少は、所有する電気自動車の性能や使用感に影響を与える可能性があるため、適切なメンテナンスや交換時期の管理が重要です。

燃費は良くなるの?

それでは本題である燃費について解説していきます。

結論、状況によって変わってきますが多くの場合で燃費は良くなるでしょう。

ガソリン車の燃費

前提として、ガソリン車の燃費を計算しましょう。

まず、燃費に優れているハイブリッド車、プリウスの燃費はカタログ値で27.2km/Lです(WLTCモード)。

石油1L=150円とすると、1km走行あたりの燃費は約5.5円となります(石油1L=100円の場合は約3.7円)。

一方、ガソリン車のアルファードの場合、燃費はカタログ値で10.8km/Lです。石油1L=150円とすると、1km走行あたりの燃費は約13.9円となります(石油1L=100円の場合は約9.26円)。

つまり、ごく一部の例外を除き、ガソリン車の燃費は走行距離1kmあたり5円以上となり、10円を超えることも珍しくないことが分かります。

電気自動車の燃費

それでは、電気自動車の場合の燃費を計算していきましょう。

まずは家庭用電源で充電した場合の料金から計算します。

夜間料金なら1km走行あたり3円程度

まず、家庭用電気料金は電力会社ごとに複数のプランがありますが、夜間充電が基本となることを想定し、夜間の電気料金が安くなるプランで計算します。

例えば、東京電力であれば「夜トク8」プランがあり、23時~7時の間の電力使用は1kWhあたりの電気料金が21.16円となっています。

このプランで夜間に充電を行った場合、電気自動車の燃費が7km/kWhだとすると、1km走行あたりの燃費は約3円となります。

つまり、夜間料金を使って電気自動車を充電した場合、ハイブリッド車よりも燃費は安くなることが分かります。

昼間料金でも1km走行あたり5円未満

一方、「夜トク8」プランで日中に充電を行った場合、1kWhあたりの電気料金は32.74円です。

電気自動車の燃費が7km/kWhの場合、1km走行あたりの燃費は約4.6円となります。

夜間料金と比べるとコストは高くなりますが、それでもガソリン車よりは燃費が十分に良いことが分かります。

急速充電の燃費

このように、家庭用電源で充電した場合は燃費が良くなることがわかりましたが、急速充電を行った場合はどうでしょうか。

月額料金に注意

まず大前提として、急速充電を使う場合は、各種サービスの一つに入会し、入会金・月会費を支払って認証カードを入手する必要があります。サービスごとに月会費と急速充電の料金は変わるので注意しましょう。

例えば、所有する車種を問わず入会できる「e-Mobility Power」なら、月会費3800円、急速充電15円/分となります。

また、トヨタの電気自動車を保有している場合は「EV・PEV充電サポート」により月会費無料、急速充電15円/分となるなど、メーカーごとにお得なサービスが展開されているので、契約前に確認しておきましょう。

急速充電は1km走行あたり3円程度

それでは、急速充電を行う場合の料金を確認していきます。

急速充電は1分ごとの料金で掲載されており、サービスによって変わるものの、多くの場合、料金は15円/分が一般的です。

急速充電の充電量は20~50kWの出力が主流であり、今後は50kW以上の出力も普及することが想定されています。

50kW出力の急速充電器を使った場合、1分あたりで0.83kWの充電できるので、電気自動車の燃費を7km/kWhとすると、1km走行あたりの燃費は約2.6円となります。

このように、急速充電を使った場合でも、燃費はガソリン車よりも良くなることが分かります。

急速充電は電池の寿命を縮めるリスクがあり多用は推奨できませんが、一定の頻度で使うなら、月会費を含めても燃料費は安くなるでしょう。

電気自動車がガソリン車よりもお得な理由

電気自動車がガソリン車よりもお得な理由にはさまざまあります。

電気料金はさほど変動しない

電気料金は契約している電気会社にもよりますが、そこまで激しい変動が頻繁に起こる訳ではありません。

ガソリンであれば原油国の情勢や経済制裁などの影響で、大きく需給量に差が出てしまうため、値段も激しく変動するケースが多いですよね。

しかし電気料金に関しては、多少の動きこそあったものの、平均的な価格が大きく変動するようなことは稀です。

ガソリンよりも値動きが少なく、燃料価格が左右されにくいのも大きなメリットと言えるでしょう。

メンテナンスがガソリン車に比べると少ない

ガソリン車はエンジンによって動いているため、当然定期的にエンジンオイルを交換したりする必要があります。

また基本的に部品数もガソリン車の方が、電気自動車と比較して圧倒的に多いので、不具合があった時の交換ヶ所が多いのも特徴的。

メンテナンスにかかる費用は、タイヤやワイパーくらいであるという点でも、電気自動車は非常に優れていると言えます。

環境への貢献

電気自動車はゼロエミッション車両であり、大気汚染や温室効果ガスの排出を削減します。一部の地域では環境への貢献に対する課金免除や優遇措置を提供しており、これにより所有者はさらにお得に利用できます。

騒音の低減

電気自動車は通常、静かで騒音が少ないとされています。これにより、都市部などで騒音規制に適合しやすく、騒音による罰金や制限が少なくなる可能性があり、経済的にも利点があります。

リサイクルと二次利用

電気自動車のバッテリーは終了した後も再利用可能で、エネルギーストレージなど他の用途に利用できます。これにより、バッテリーのリサイクルによる追加の収益やコスト節約が期待されます。

燃費を抑える方法

では電気自動車はどのようにして燃費を抑えていけば良いのでしょうか。

下記で詳しく解説してきます。

エアコンの設定

まずは暖房の設定温度をできるだけ下げることが効果的です。設定温度を下げれば暖房に使うエネルギーも減るため、燃料消費を根本的に抑えられます。

「エコモード」をONにすると、コンピュータ側が燃費が良くなるように自動制御してくれます。

さらにエアコンを「AUTO」にすると、室外/室内温度をモニタリングして、冷暖房の効き、風量、風向きなどを自動調整し、効率よく設定温度に近づけてくれます。

「内気循環モード」をONにすると、車内の温まった空気のみを循環させ、効率よく車内を暖めることができます。

注意点として、使用し続けると車室内の二酸化炭素(CO2)濃度が高まり、眠くなることがあります。

内気循環モードを利用する場合、30分に1度程度「外気導入モード」に切り替え、車内の換気を行うことが望ましいです。

急加速や急ブレーキは極力避ける

こちらはガソリン車でも同様ですが、燃費を抑えるのであれば、急加速や急ブレーキなどの多用も避けましょう。

速度が上がるほど空気抵抗が大きくなるので、燃費が悪化する要因となります。

また、電気自動車はブレーキ時にエネルギーの回生を行い電力として回収しますが、急ブレーキを使うと回生効率が一気に悪化するため、エネルギーを無駄に消費してしまいます。

タイヤの空気圧が低いなど、車体の状態も無視できない影響があるので、燃費の良い運転方法を理解しメンテナンスを欠かさずに行っておくことが重要です。

冬はシートヒーターを活用しよう

寒冷地仕様の車などでは、「シートヒーター」が標準装備されている車種もあります。

シートヒーターを使えば、一般的に暖房よりも燃費に影響しにくくなります。

また暖房に比べて、体をすぐに温めることができ、エアコンの暖房のように暖気が天井に溜まり、頭や顔ばかり熱くなってしまうこともありません。

「さほど寒くない日は暖房は使わずシートヒーターで凌ぐ」、「暖房の設定温度をできるだけ下げ、シートヒーターを併用する」など、バランスの良い使い方をすることで燃費削減を狙えます。

まとめ

電気自動車は多くの場合で節約につながることがわかりました。

電気自動車の購入を検討している方は、これらの知識を生かしてガソリン車との比較をした上で、電気自動車の購入に移りましょう。

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