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自動車整備士になるためには英語は必要?英語ができるメリットを紹介

「自動車整備士になりたいけど、英語って必要なの?」——そんな疑問を持っている方は少なくないはずです。結論からいうと、国内の整備工場でふつうに働くだけなら英語は必須ではありません。しかし英語ができると、仕事の幅が驚くほど広がるのも事実。将来のキャリアを考えると、英語力は整備士にとって「あって損なし」どころか、大きな差別化ポイントになりえます。

この記事では、自動車整備士と英語の関係を丁寧に整理しながら、英語力が実際に役立つ場面、英語ができると開けるキャリアの選択肢、そして整備士を目指しながら英語を学ぶ方法まで、まとめて解説します。

日本の自動車整備士はなぜ世界から注目されているのか

タブレットを使って車を点検する整備士

まず前提として知っておきたいのが、日本人整備士の技術力や仕事のクオリティが、世界的に高く評価されているという事実です。

トヨタ・ホンダ・日産・スズキ・マツダをはじめとする日本の自動車メーカーは、世界販売台数ランキングで常に上位に名を連ねています。それだけ世界中に日本車が走っているということは、世界中に「日本車を整備できる整備士」の需要があるということでもあります。

海外の旅行者が日本について語るとき、必ず出てくるのが「街がきれい」「治安がいい」「接客が丁寧」というフレーズです。これは整備の世界でも同様で、日本人整備士の几帳面さや細部へのこだわりは、海外の業界関係者からも「信頼できるプロフェッショナル」として高く評価されています。

整備品質を支える「5S」の文化

日本の職場には「5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)」という考え方が根付いています。多くの整備工場でも、工具の管理や作業スペースの整頓は当然のこととして徹底されています。

一方、海外の整備工場では工具の管理がゆるやかだったり、作業台が散らかったりしているケースも少なくありません。日本の整備士が現地で働くと、仕事の丁寧さ・正確さが一目で伝わるため、現地スタッフや上司から信頼を得やすいという傾向があります。

こうした背景から、海外で活躍したい日本人整備士への需要は今後さらに高まっていくと予測されています。

実は多い!自動車整備士の仕事で英語が必要になる場面

整備士がエンジンを点検している様子

「英語は苦手だから自分には関係ない」と思っている方もいるかもしれませんが、国内の整備現場でも英語と向き合う機会は意外と多くあります。具体的な場面を見ていきましょう。

① 英語の技術マニュアル・サービス資料を読む場面

BMW・メルセデス・ベンツ・アウディ・ポルシェといった輸入車のサービスマニュアルは、英語(またはドイツ語)で書かれているものが大部分です。日本語版が整備されていない最新の技術情報を調べるときには、原文を読みこなす力が必要になります。

さらに、EV(電気自動車)・PHEV・自動運転技術といった最先端分野の情報は、英語で先行して発表されることがほとんどです。いち早くトレンドをキャッチして現場に活かすためにも、英語の読解力は整備士の実力を底上げしてくれます。

② 外国人のお客様・スタッフへの対応

観光地周辺や都市部の整備工場では、外国人のお客様が来店するケースが増えています。旅行中にレンタカーでトラブルが起きた外国人観光客や、日本に長期滞在・在住している外国人が愛車のメンテナンスに持ち込んでくるケースです。

こういったときに英語で状況を確認してスムーズに対応できると、お客様の安心感はまったく違います。「あのお店は英語で話せる整備士がいる」という口コミは、外国人コミュニティの中で強力な集客力を持ちます。

また、技能実習制度・特定技能制度の活用により、整備工場で働く外国人スタッフも年々増えています。国土交通省の資料によると、自動車整備分野での外国人受け入れは2025年以降も拡大傾向にあり、職場内で簡単な英語コミュニケーションが求められる場面も増えてきています。

③ 診断機器・ソフトウェアの操作

近年の自動車整備には、コンピューター診断機やスキャンツールが欠かせません。海外製の機器はインターフェースが英語のみというケースも多く、エラーコードの解読や操作メニューの確認に英語が必要になる場面があります。

特に輸入車専門ディーラーや外資系メーカーの認定店では、こうした状況が日常的に発生します。英語を読める整備士は、こうした現場でより高い評価を得やすくなります。

④ メーカー海外研修や技術セミナーへの参加

大手ディーラーや輸入車メーカーの認定サービスネットワークでは、本国(ドイツ・アメリカ・日本の海外拠点など)で開催される技術研修に参加する機会があります。こういった研修では当然、英語でのコミュニケーションが求められます。

「英語が話せる整備士」は、こうした海外研修の候補に挙がりやすく、スキルアップのチャンスを掴みやすい立場になれます。

英語ができると広がる自動車整備士のキャリアパス

自動車整備士が工場前に立つ様子

英語力を持っている整備士には、国内だけにとどまらない多彩なキャリアの道が開けています。代表的な選択肢を紹介します。

① 日系自動車メーカー・部品メーカーの海外拠点

トヨタ・ホンダ・日産・デンソーなどは、北米・欧州・東南アジア・中東・アフリカなど世界各地に生産拠点や販売ネットワークを持っています。こういった企業の海外拠点では、日本人整備士・技術指導者(テクニカルトレーナー)の求人が定期的に出ています。

必要条件は、日本の整備士資格(1級・2級)と実務経験、それに加えて英語での業務連絡ができる語学力です。北米・オーストラリアなどの先進国では、日本と同等以上の給与水準を得られるケースも多く、海外生活を楽しみながらキャリアを築きたい方には魅力的な選択肢です。

② 輸入車ディーラー・外資系企業

国内の輸入車正規ディーラー(BMWジャパン・メルセデス・ベンツ日本・フォルクスワーゲングループジャパンなど)では、本国からの技術情報を英語で受け取りながら働くことが求められます。本国での研修参加機会が多く、英語力がある整備士はキャリアアップにおいて有利な立場に立てます。

給与水準も国産車ディーラーと比べて高めに設定されていることが多く、整備士としての市場価値を高めたい方には狙い目の職場環境といえます。

③ JICA青年海外協力隊・技術支援活動

国際協力機構(JICA)が実施する青年海外協力隊には「自動車整備」分野があり、アフリカ・東南アジア・中南米などの発展途上国に技術者として派遣される機会があります。現地の整備士・メカニックに技術を教える役割で、事前に語学研修が行われるため、英語力に自信がなくても挑戦しやすい環境が整っています。

活動を通じて得られる経験は技術面だけにとどまらず、異文化理解やコミュニケーション力、リーダーシップの向上にもつながります。帰国後は「海外で技術指導をした整備士」として、業界内での存在感が大きく増します。

④ ワーキングホリデーで海外の整備工場を経験

オーストラリア・カナダ・ニュージーランドなどのワーキングホリデー協定国では、現地の整備工場で働きながら英語を習得するという方法があります。現地での実務経験は帰国後の転職・就職でプラス評価になることが多く、「海外で整備の仕事をしてきた」という経歴は、採用担当者に強い印象を与えます。

ただし、現地の認定資格(オーストラリアならCertificate IIIなど)が求められる場合もあるため、事前の調査が重要です。

自動車整備士が英語を勉強するメリット一覧

パソコンで英語を学ぶ様子

英語を身につけることで得られる主なメリットをまとめると、以下のようになります。

  • 最新の技術情報をいち早く得られる:EVや自動運転技術など、英語で先行発信される情報を直接読みこなせる
  • 外国人顧客・スタッフとのコミュニケーションが円滑になる:インバウンド増加・外国人雇用拡大に対応できる整備士として重宝される
  • 海外就職・海外勤務のチャンスが広がる:日系メーカー海外拠点、輸入車ディーラー、JICAなど選択肢が一気に増える
  • 給与・年収アップにつながりやすい:英語力がプラスアルファの付加価値として評価され、昇進・昇給に直結することがある
  • ほかの整備士との差別化になる:同じ技術力なら「英語も話せる整備士」の方が採用・昇進で有利になる場面が増えている

整備士を目指しながら英語を学ぶ方法

参考書を読む学生のイメージ

「整備の勉強だけでも大変なのに英語まで手が回らない」という声もよく聞きます。確かに英語は短期間でペラペラになるものではありませんが、日々のちょっとした習慣で確実に力はついていきます。整備士の勉強と無理なく両立できる学習法を紹介します。

自動車関連の英語コンテンツを見る

YouTubeには、海外の整備士が実際の修理・整備作業を英語で解説しているチャンネルが数多くあります。engine(エンジン)・transmission(トランスミッション)・brake(ブレーキ)・suspension(サスペンション)といった整備で使う専門用語を、映像と一緒に繰り返し聞くことで、業務に直結するボキャブラリーが自然に身につきます。

楽しみながら学べる上に、「仕事で使う英語」に絞った学習になるため、教科書的な英語より習得が早いと感じる整備士も多いです。

英語の整備マニュアルを少しずつ読む習慣をつける

輸入車のサービスマニュアルや、海外メーカーのテクニカルドキュメントを調べてみる習慣をつけると、実務に役立つ技術英語が自然に定着してきます。最初は辞書を引きながらで構いません。技術系の英文は同じ単語・フレーズが繰り返し登場するため、慣れると驚くほどスムーズに読めるようになります。

英会話アプリを日常に組み込む

スキマ時間に使える英会話アプリ(Duolingo・DMM英会話・スタディサプリENGLISH・Speakなど)を活用するのも効果的です。通学・通勤の電車内や昼休み、就寝前の15〜30分を英語学習に充てる習慣をつけると、半年後・1年後に確実な変化が生まれます。

「完璧に話せるようになってから使う」と思っていると、いつまでも話せません。まずは簡単なフレーズから実際に使ってみるのが上達の近道です。

専門学校時代に基礎英語力をしっかり固める

自動車整備の専門学校に通っている間は、整備技術の習得に集中しながらも、基礎的な英語力を磨く絶好のタイミングです。特に、英語の読み書き(マニュアルを読む)と基本的な会話力(外国人対応ができる)を意識して学んでおくと、就職後のスタートダッシュに差が出ます。

英語力より先に「整備士の資格」が絶対条件

ヘルメットをかぶった女性技術者が機器を点検

ここまで英語の重要性をお伝えしてきましたが、整備士としての根幹はあくまで整備技術と国家資格です。英語はあくまで「プラスアルファの武器」であり、1級・2級・3級の整備士資格の取得と現場での実務経験があってこそ、英語力が活きてきます。

整備士資格を効率よく取得するためのルートは大きく2つです。1つは実務経験を積みながら受験する方法、もう1つは自動車整備士の養成施設(専門学校)に通う方法です。専門学校ルートは、実技・学科をバランスよく学べるカリキュラムが整っており、短期間で資格取得を目指せるのが大きなメリットです。

関東工業自動車大学校で整備士への第一歩を

専門学校のキャンパスを歩く学生たち

関東工業自動車大学校は、1・2級の自動車整備士国家資格の取得を目指せる専門学校です。実習中心のカリキュラムと、業界と密接に連携した就職サポートが特徴で、卒業生は国内外の自動車メーカー・ディーラー・整備工場など幅広い職場で活躍しています。

「将来は英語を活かして輸入車ディーラーで働きたい」「いつか海外でも整備の仕事をしてみたい」——そんな夢を持っている方こそ、まずは確かな整備技術と資格を手に入れることが最初のステップです。学校説明会や資料請求はいつでもお気軽にお問い合わせください。

自動車整備士に求められる英語レベルはどのくらい?

ノートに書きながら勉強する様子

「どのくらいの英語力があれば整備士として役に立つの?」という疑問もよく聞かれます。正直なところ、求められるレベルは目指すキャリアによって大きく異なります。

国内整備工場(外国人顧客・マニュアル対応)のケース

国内の工場で外国人のお客様に対応したり、英語のマニュアルを読んだりするだけなら、英検3級〜準2級程度(中学〜高校基礎レベル)の英語力でも十分に実用になります。「車に問題がある場所」「何が壊れているか」「修理にどのくらいかかるか」——これらを簡単な英語で説明できれば、日常業務ではほとんど困りません。

英語が母国語でない外国人のお客様も多く、お互いに完璧な英語でなくても、身振り手振りや簡単な単語でコミュニケーションが成立するケースは多いです。「上手く話さなければ」とプレッシャーを感じすぎず、まずは積極的に使ってみることが大切です。

輸入車ディーラー・外資系企業のケース

輸入車ディーラーや外資系メーカーの認定店で働く場合、英語の技術文書を読む機会が増えます。技術英語は一般的な英語と異なり、専門用語が多い反面、表現がパターン化されているため、慣れると意外と読みやすくなります。目安としては英検2級〜準1級程度(TOEIC 500〜700点台)が一つの指標になります。

海外勤務・JICA派遣のケース

海外の工場で現地スタッフと働く場合や、JICAの活動で技術指導をおこなう場合は、日常会話レベル以上の英語力が求められます。TOEIC 600点以上、あるいは日常的な英会話ができるレベルが目安です。ただし、JICAは採用時に語学研修があるため、現時点での英語力が多少低くても挑戦できます。

いずれにしても、「完璧な英語力がなければ意味がない」ということはありません。使える英語を少しずつ積み重ねていくことが、整備士としての可能性を広げてくれます。

EV・電動化時代に英語力はさらに重要になる

整備士がエンジンルームを整備している様子

自動車業界は今、電動化(EV・HEV・PHEV・FCEVなど)・自動運転・コネクテッドカーという大きな転換期を迎えています。こうした最先端技術の情報は英語でいち早く発信されており、整備士が新技術に対応するためにも、英語は今後ますます重要なツールになっていきます。

たとえばテスラ・BYD・リビアンといった欧米・中国系のEVメーカーは、整備に関するドキュメントや技術サポートを英語(または現地語)で提供しています。日本語版の翻訳が追いつかない段階から英語の情報にアクセスできる整備士は、現場で大きなアドバンテージを持てます。

また、高電圧バッテリーや電動モーターの整備には特殊な資格が必要になりますが、海外のトレーニングプログラムに参加する機会も増えています。英語ができると、こうした海外発の研修に参加できる可能性が広がります。

自動車業界の「電動化」「グローバル化」という2つのトレンドが交差する今こそ、整備士として英語に取り組み始めるベストタイミングかもしれません。

よくある質問(Q&A)

疑問を持ちながら考える人のシルエット

Q. 英語が苦手でも自動車整備士になれますか?

A. はい、問題ありません。国内の整備工場で働く上では英語は必須ではなく、整備士資格と技術力がまず求められます。英語は「できれば有利」という位置づけです。苦手意識があっても、まずは整備の勉強に集中しながら、少しずつ英語にも触れていけば十分です。

Q. 海外で整備士として働くには、どんな資格が必要ですか?

A. 国によって異なりますが、日本の自動車整備士資格(1級・2級)は「日本の職業資格を持つ技術者」として評価されることが多く、海外就職の際のアピールポイントになります。ただし、現地の認定資格(オーストラリアのCertificate IIIなど)の取得を求める工場もあるため、事前に就労先の条件を確認しておくことが大切です。

Q. 専門学校在学中に英語を学ぶ時間はありますか?

A. 整備の専門学校は実習が多く、確かに忙しい日々が続きます。ただ、スキマ時間(通学中・昼休み・就寝前)に英会話アプリや動画学習を取り入れることで、無理なく基礎を積み上げることができます。在学中に少しでも英語に慣れておくと、就職後に大きな差として現れてきます。

まとめ:自動車整備士と英語の関係

自信満々に立つ自動車整備士

この記事のポイントをまとめます。

  • 国内の整備工場では英語は必須ではないが、あると明らかにキャリアの幅が広がる
  • 英語が役立つ具体的な場面は「技術マニュアルの読解」「外国人顧客対応」「診断機器の操作」「海外研修参加」など多岐にわたる
  • 英語力があると、日系メーカーの海外拠点・輸入車ディーラー・JICA・ワーキングホリデーなど多彩なキャリアが選べる
  • 英語学習は「自動車関連コンテンツを見る」「英語マニュアルを読む習慣をつける」「英会話アプリを活用する」などで無理なく続けられる
  • 英語はあくまでプラスアルファ。整備士としての技術・資格取得が最優先

整備士としての実力をしっかり磨きながら英語もできるようになると、国内でも海外でも通用する、真の「グローバル整備士」として活躍できる舞台が整います。まずは整備士資格の取得を目標に、着実に一歩ずつ進んでいきましょう。

自動車整備士という職業は、これからも社会になくてはならない仕事です。電動化・コネクテッド化が進んでも、「クルマを安全に走らせ続ける」という整備士の使命は変わりません。そこに英語という武器を加えることで、あなたのキャリアはより自由に、より豊かになっていきます。焦らず、着実に。まずは整備士としての第一歩を踏み出してみましょう。