自動車を整備するのに必要な資格は?大型トラックを整備するのに必要な資格?電気自動車を整備するのに必要な資格は?
自動車整備士を目指す人や自動車の整備に興味のある人ならば誰もが答えを知りたいこれらの質問。
でも、不思議に思ったことありませんか?自動車を整備するのに何かしらの資格が必要なのはわかるけど、ユーザー車検って言葉がありますよね?
ユーザー車検は自分で自動車の整備を行って、自分で運輸支局に自動車を持ち込み車検の検査を行うことなのですが、資格の有無は関係ありません。
あれ?それならば資格が無くても自動車整備士になれるの?電気自動車も資格が無くても整備していいの?
今回はそんな疑問を詳しく解説していきます。
自動車整備士資格が無ければ自動車を整備することができないわけではありません。自動車整備士資格が無ければ自動車整備士という職業に就くことができないのです。
ちょっと何を言ってるかわかりませんよね?
例えばですが、理容師免許の無いお母さんが息子の髪を散髪するのは違法じゃないですよね?でも、床屋さんになるには理容師免許が必要ですよね?
自動車整備士も理容師さんと同じです。
自分の自動車を自分で整備してもなんの問題もありません。工具も部品も簡単に手に入るので、自分で整備することも可能です。
ただし、自分で整備を行った自動車に何かしらのトラブルが起きた場合は全て自分で責任を負うことになります。
お母さんが息子の髪を切りすぎて変な髪型になっても誰も責任はとってくれません。それと同様に自分で整備をした自動車は誰も責任を負ってくれません。
自動車整備士資格を取得しても個人でお金をもらって自動車を整備することはできません。
自動車を整備して収益をあげるには運輸局に届け出をして認証もしくは指定の整備工場として事業を行わなければなりません。
個人が知人の自動車を整備してお礼をもらった等で罰せられることはありませんが(収益なので税金は申告してください)、断続的な収益を得た場合は罰せられます。
自動車整備工場の運営は自動車整備士資格を取得している者が在籍していることが絶対条件となっています。
認証の自動車整備工場では業務に関わる者の4分の1以上、指定の自動車整備工場では業務に関わる者の3分の1以上が自動車整備士資格を取得していなければなりません。
自動車整備工場で働く自動車整備士になるために自動車整備士資格を取得するって言ってるのに、ほとんどの人が資格を取得してなくても自動車整備工場の運営が行えるのは変じゃないの?
確かに自動車整備工場の仕事は全員が自動車整備士資格を取得している必要はありません。しかし、無資格者が単独で行える作業はオイル交換やタイヤ交換等の軽微な消耗品の交換に限られてしまいます。
自動車整備工場では走る・曲がる・止まるに関わる重要な部位の特定整備(分解整備)を主な仕事としています。
現場でメインとなる仕事を単独で行うことができない無資格者を雇う自動車整備工場はほとんどありません。
更に言ってしまうと、無資格の人が自分の愛車を整備してるのとか怖くないですか?無資格の人が整備しても、自動車整備士資格を取得している人が整備しても同じ料金なら自動車整備士資格を取得している人に整備してもらいたくないですか?
カーディーラーや民間の自動車整備工場では皆様がそう思うことを事前に把握しています。ですので、自動車整備士資格を取得していなければ自動車整備工場に就職することはほぼ無理となっています。
自動車整備士資格には1~3級の自動車整備士資格と、特殊整備士のタイヤ整備士・車体整備士・電気装置整備士があります。
この中で電気自動車を整備するのに必要な資格はどれだと思いますか?電気装置整備士?それっぽいですよね?
正解はどの資格も要りません。前述したように無資格でも自動車整備工場で働くことができます。無資格者は単独では特定整備(分解整備)を行うことができませんが、有資格者が指導・検査を行えば特定整備(分解整備)を行うことができます。
自動車工場内で単独で特定整備(分解整備)を行うには1級もしくは2級自動車整備士資格が必要となります。
動力源が電気なのか燃料なのかの違いだけで電気自動車も普通の自動車と一緒です。自動車整備工場ではどんな自動車であれ、単独で特定整備(分解整備)を行える1級もしくは2級自動車整備士を求めます。
電気自動車の整備に電気装置整備士はなんの関係ないのか?
100%関係の無い資格ではありませんが、特に必要な資格ではありません。そもそも、特殊整備士は特定整備(分解整備)を単独で行うことができません。
何度も言いますが自動車整備工場で求め要るのは単独で特定整備(分解整備)を行える1級もしくは2級自動車整備士を求めています。
電気装置整備士が特定整備(分解整備)を行うのには無資格者同様に1級もしくは2級自動車整備士の指導・検査が必要となります。1人で行える特定整備(分解整備)を実質2人で行うようになってしまうので、自動車整備工場は利益をあげづらくなってしまいます。
実は、平成14年まで2級自動車整備士と1級自動車整備士の資格の差別化が難しい為に1級自動車整備士資格の試験は実施されていませんでした。
電気自動車を含めた次世代カーの普及により、知識に差をつけられるようになった為に1級自動車整備士資格試験は平成14年に初めて実施されました。
では、電気装置整備士資格試験の試験も1級自動車整備士資格試験と同時に実施されるようになったのかといえば、そうではありません。
自動車には走る・曲がる・止まる以外にエアコンやカーステレオ、ナビゲーションシステム等の運転を快適にする補器類が沢山搭載されています。その補器類はほぼ電気を利用して作動をしています。
電気装置整備士はそういった電気装置の修理を目的につくられた資格です。
電気装置のプロフェッショナルになるための資格ですが、電気自動車の整備に直接影響のある資格ではありません。
前述したように現在最上位となっている1級自動車整備士資格は、次世代カーの整備を目的として試験が実施されるようになりました。
これから自動車整備士を目指すのであれば1級自動車整備士資格の取得を目指すのがベストとなっています。
また、自動車メーカーのディーラーに自動車整備士として入社をしたら、各メーカーが実施しているディーラー技術認定級を取得することで次世代カーの整備に対する知識や技術を得ることができます。
この種類の自動車を整備するのに必要な資格とは?という言葉をよく目にしますが、整備できる自動車の種類は自動車整備士資格ではなく、自動車整備工場がどの種類の自動車を整備するかの申請を行っているかによって変わります。
電気自動車等の次世代カーの電子制御システムの特定整備(分解整備)を行うのには、自動車整備工場が特定認証工場である必要があります。
電気自動車を整備するために1級自動車整備士資格を取得してから自動車整備工場に入社しても、自動車整備工場が特定認証工場の資格を取得していなければ定年まで働いても電気自動車を整備することはありません。あったとしても、タイヤ交換やワイパーラバーの交換等の消耗品の交換作業のみとなります。
前述したように無資格者でも自動車整備工場で働くことは可能ですが、自動車整備工場が無資格者を雇うことはほぼありません。
カーディーラーであれば特定認証工場の申請を確実に行っているので1級自動車整備士資格取得者への求人を多く出します。
大型トラック等の大型車を整備できる資格を取得している自動車整備工場は、現在までに1級大型自動車整備士資格試験が実施されていないので、大型自動車の動力源である軽油エンジンの整備が行える2級ディーゼル整備士を求めています。
この自動車の整備に必要な資格というよりは、この自動車の整備を行っている自動車整備工場が求めている資格は?ということを意識して資格を取得することが大事です。
今回、自動車の整備を行うのに必要な資格は無いとうことを聞いて自動車整備士に興味のある方は拍子抜けしてしまったかもしれません。
しかし、自動車整備士と名乗ることができるのは自動車整備士資格を取得している者だけです。自動車整備士資格を取得していなければ自動車整備工場で働くことも難しいです。
大型トラックであれ電気自動車であれハイブリッド車であれ全部タイヤのついている走る自動車です。
取得すべき資格を選ぶのは難しいことではありません。自分が進もうとしている自動車整備の最上位の自動車整備士資格を取得すればいいだけです。
資格を取得して現場で仕事を通じて技術力と知識力を身につければ立派な自動車整備士になれます。