KANTO Industrial College

自動車整備士に将来性はある?現在の需要と今後求められる整備士の技術とは

世界で初めて蒸気で走る自動車キュニョーの砲車が1769年に誕生して以来、電池・ガソリン・ディーゼルを動力源とする自動車が登場し、現在では次世代カーが主流となり、遂に空飛ぶ車までも登場するようになりました。

当然のことながら、自動車整備士に求められるスキルも時代と共に変化し、高度な技術や知識を求められるようになってきました。

自動車整備士の現状

(出典元 クラッチ求人)

現在、カーディーラーや自動車部品の量販店等が店舗を年々増やし利益を上げていっています。その一方で自動車整備工場では自動車整備士の高齢化・人員不足問題が深刻化しています。

整備士の人手不足問題

自動車整備工場を運営するにあたり、地方運輸局長より指定された指定工場では工員の数が4人以上、認証を得た認証工場では工員の数が2人以上必要となります。

自動車整備士不足が深刻化している自動車整備工場が増えているため、最低人数の工員での運営をしている自動車整備工場が増えてきています。店舗を多く持つカーディーラー等も例外ではなく、最低人数の工員で運営をしている店舗が増えてきています。また、店舗の運営を保つために、通勤範囲外手当てを出して、自動車整備士に通勤範囲外の店舗への移動を命じるカーディーラー等も増えてきています。

整備士不足の原因とは

高スペックなパソコンやスマートフォンは必要だけれども高スペックな自動車は必要無い、ゲームアプリに課金はするが自動車を購入するのは勿体ない等の若者の自動車離れは、自動車産業全体に大きなダメージを与えています。

自動車に興味の無い若者が増えると共に、自動車整備士を目指す若者が減ってしまったので、自動車整備士の人数も年々減少していき整備士不足という深刻な事態に陥ってしまいました。

サラリーマンの平均年収497万円に対して自動車整備士の平均年収は391万円と大きな差があり、月収にすると7万円もの差がついてしまいます。自動車整備士として自動車整備工場に入社をしても、自動車整備士はお客様の都合に合わせて仕事をするので、残業や休日出勤をすることが多々あり、仕事量と賃金が合わないという理由で他業種に転職をしてしまう人が増えていることも整備士不足の要因の一つになっています。

近年、自動車整備士の平均年収は上り続けていますが、自動車整備士の平均年齢も上がっているため、一概に賃金が増えたと言える状況にはありません。しかし、整備士不足を解消する為には賃金アップが必須なので、自動車整備士の初任給も上がっていくとみられています。

自動車整備士の将来性

(出典元 株式会社 ダイバージェンス)

自動車整備士の高齢化・人員不足の影響を受けて適正な運営をしていくことが困難になり、小規模企業、零細企業の自動車整備工場を中心に自動車整備工場を閉鎖してしまう企業が年々増加しています。

(全国の認証・指定自動車整備工場事業所数の年間推移)

(出典元 一般社団法人日本自動車整備振興会連合会)

自動車整備工場の数は減少しているが、生活をしていく上で必要不可欠な自動車の保有台数は緩やかではありますが増加しています。

(出典元 モーターファン)

自動整備士の需要と求人状況について

令和2年4月より電子制御装置の整備に関する自動車特定整備制度が始まったことにより、

自動車特定整備事業の認証に必要な電子制御装置整備主任者に、国家1級自動車整備士は無条件で選任することができるので、国家1級自動車整備士の需要が高くなってきています。

求人状況においても国家1級自動車が優遇される傾向にありますが、自動車整備士不足が深刻なために、自動車整備工場で主力となる国家2級自動車整備士にも多くの求人が出されています。特にカーディーラーでは最低人数の工員で運営をしている店舗が多く、自動車整備士不足を解消する為に大勢の新卒自動車整備士を採用する傾向にあります。

自動車技術の進展に伴う整備士の仕事の変化

次世代カーが台頭する時代になり、電子制御装置に関する自動車特定整備制度の施行もされました。

これまでの走る・曲がる・止まるに関する分解を要する自動車の整備に加え、次世代カーの特徴を掴んだ整備をすることが自動車整備士に求められます。次世代カーの整備ではこれまでの工具に加え、パソコンや故障診断器の使用が必須となる為、自動車の構造以外の知識を蓄える必要があります。

電子制御装置の故障診断を行う際には、目視点検・触手点検・計測器を用いての点検だけでは故障部位の発見が難しく、故障発生時の詳しい状況が必要になる為、お客様から詳しい情報を聞き出す接客スキルも必要となってきます。

これからの自動車整備士に求められる技術

現代の自動車の故障修理を行う際は故障診断機器の使用が必須となっており、これからの自動車整備士は故障診断機器の正しい使用方法と正しいデータの見方を覚える必要があります。また、次世代カーではブレーキ液の交換を故障診断機器を使用してブレーキのアクチュエーターを作動させながら行うことがあるので、故障診断機器の使用方法は必ず覚えるようにしましょう。

故障診断機器は部品単位での故障を発見することは出来ず、故障系統を発見しているだけですので、頭の中で故障系統のどの部位で故障が起きているのかということを構築しながら故障修理をする能力が必要となります。また、従来の自動車に比べて次世代カーでは電気回路が複雑化しているため、電気回路をしっかりと理解する必要があります。

接客業務においてはインターネットが普及したこともあり、殆どの企業でカスタマーサービスに力を入れています。自動車整備士も例外ではなく、お客様に丁寧でわかりやすい説明、適切なアドバイス、入庫前の確認、入庫後の調子伺い等の接客スキルを身に付けていくこととなります。また、お客様より故障のご用命を伺うときには、故障診断時同様に頭の中で故障部位の構築をしながらお客様様から必要な情報を聞き出す為に高い知識力が必要となります。

将来も活躍できる自動車整備士になるには

昔から『若いうちの努力は買ってでもしろ。』と言いますが、まさに自動車整備士もその通りで若いうちにどれだけの知識と技術を習得したかによって将来は変わってきます。年々増えていく自動車の新機構は元々の知識がないと理解するのが難しく、知識がないまま新機構をあやふやな状態で理解してしまうと、次々と出てくる新機構を全く理解できないようになってしまい2流・3流自動車整備士となってしまいます。

次世代自動車の知識と整備スキルを目指す

次世代カーではこれまでのガソリン・ディーゼル燃料を主体とした動力源と異なり電気が動力源となっているものが多く、電気回路を理解しなければ自動車を整備することが難しくなってきます。もちろん、電気回路を理解しただけで自動車整備士になれるわけではないので、基本的な自動車の構造も合わせて覚えていくことになります。また今後、水素自動車のシェアが伸びてくる可能性もあるので柔軟に対応出来るようにしておきましょう。

一級・二級自動車整備士の資格取得は専門学校がおすすめ

自動車整備工場では分解整備をすることができない無資格者や3級自動車整備士を雇うことはほとんどなく、自動車整備工場に入社してから分解整備をすることのできる2級自動車整備士の資格を取得することが難しくなっています。

自動車整備工場に入社する為の一番の近道は、自動車整備士育成の専門学校に入学をして1級・2級自動車整備士の資格を取得することです。

自動車整備士育成の専門学校では、1級自動車整備士コースは4年制、2級自動車整備士コースは2年制となっており所定の課程を修了することで認定試験の実技免除を受けることができます。

関東工業自動車大学校では関東最大級の実習場で毎日実習が行われていて、自分の車を乗り入れての整備もできる為、楽しみながら自動車について学ぶことができます。また、第一希望の企業への就職率も98%以上となっています。

自動車整備士現状と将来性についてのまとめ

自動車整備士の高齢化・人員不足が深刻化しているということは、若い自動車整備士を求めているということです。

自動車工場に入社した後に賃金が安いや休みが少ない等の問題にぶつかると思いますが、自動車整備士が不足しているってことは賃金交渉できるチャンスだし、自動車整備工場の仕事の効率も若い力があれば上げることができます。

空飛ぶ自動車のテスト走行も始まり自動車産業も新しい道へと歩もうとしている為、自動車に興味を持つ若者も増えるかもしれません。それに伴い自動車整備士も人気の職業になる日が来るかもしれません。期待をして今後の自動車産業を見守っていきましょう。