高校生の進路は一生の問題です。
手に職を付けるため、専門学校を目指す人も多いものです。
この点自動車整備の業界にも、自動車大学校などの専門学校があります。
高校卒業後、こちらへの進学を検討している人とそのご家族も多いでしょう。
自動車整備専門学校に行くことで人生をどう切り開けるか、ご案内します。
自動車整備専門学校の通学期間の主流は、「2年」と「4年」です。
全期間の費用の概算から見てみます。
・2年・・・180万円~220万円程度
・4年・・・450万円~500万円程度
通う年数に合わせ、効果は次の通り違います。
・2年・・・卒業時、2級自動車整備士資格が高い確率で取得できる
・4年・・・卒業時、1級自動車整備士資格が高い確率で取得できる
それぞれの資格の、業界での位置づけも見ておきましょう。上記に出てこない3級にも触れておきます。
・3級・・・整備の補助業務
・2級・・・整備工場におけるほぼすべての整備ができて、責任のある業務にも就ける
・1級・・・環境問題、安全設備等を熟知し、メーカーの開発業務にも携われる最高資格
専門学校に通うことで、2級・1級という業界で必須の資格を卒業後すぐに得られるわけです。
大きな意味のあることがおわかりでしょう。
手に職を付けて社会に出たい場合は2年で2級、もっと大きな目標を見出したい場合は4年での1級取得をおすすめします。
2級も1級も、整備士として働きながら独学で合格するルートはあるものの、なかなか困難です。
学校に行く以上は、今後の人生において必要と思われる資格を見据え確実に取得しましょう。
高い確率で、整備業界で必須の資格が得られるのは、自動車整備専門学校の大きなメリットです。
それ以外にもメリットは多数あるので、併せて見ていきましょう。
整備士専門学校では、整備実務を徹底して教え込んでくれます。
机上の学問ではない実務を教えてくれるため、卒業後もスムーズに仕事に入っていけます。
この点、学び直しが必要な多くの業界と異なります。整備業界では、整備実務と専門学校で教わる中身が直結しています。
もちろん卒業後も覚えていかなければならないことが多数あるのは当然ですが、少なくとも最低限のスキルを持った即戦力として就職することができます。
高校卒業後見習工として整備工場に勤務する方法もありますが、職場独自のやり方を覚えていく必要があるため、資格試験を見据えた際にはこの点が不利に働くこともあるわけです。
整備士資格の取得は、自動車整備業界では必要不可欠です。
資格がないと働けないわけではないものの、一生見習工として過ごすわけにはいきません。
ところで、資格を得る方法は、専門学校に行くだけではありません。
高校卒業して見習工として整備工場に勤め、実務をこなしながら仕事を覚えて、整備士資格を取得していくこともできます。
ただし高校の普通科を出ている場合、見習工として勤めて1年の実務経験を経て、ようやく3級自動車整備士試験が受けられます。
3級に合格後、さらに(普通科卒なら)2年の実務経験を積んだうえ、ようやく2級が受験できます。
最速で受験をしても、(試験から合格発表、登録までのタイムラグも考慮すると)2級まで手が届くまでに4年以上は掛かります。
そして、特に2級の試験は難関です。特に難関の実務試験を免除してもらうためには、仕事の合間に講習会(有料)にも参加しなければなりません。
2年間学校に行くことが、回り道に見えていかにスピーディかつ確実か、この例を見ればおわかりいただけるでしょう。
しかも学校を出れば、無資格の見習工よりは給与面でも優遇されています。
どの分野であっても専門学校を選ぶにあたっては、就職率が重要です。
この点整備士専門学校においては、2級以上の資格取得が前提になっているため、求人に困ることはありません。
カーディーラーなど人気の求人もあります。
もちろん確実に希望通りの職場に行けるわけではないものの、学校は出たものの仕事がないという危険性はかなり低いといえます。
整備士の仕事を一生ものと決めたとして、将来のことはわかりません。
整備士経験を活かせる別の仕事もあります。たとえば損保会社のアジャスター(事故調査と保険金見積もりをする人)です。
進路に悩んだとき、相談できる仲間や恩師がいるのは幸せなことでしょう。
なかなか、仕事の相談相手を後から作ることはできません。
手先が器用、メカが好き、コツコツやるのが好きなどさまざまな理由で整備士を目指す若者がいます。
ところで、業界自体の先行きはどうでしょうか。この心配もあると思います。
業界の将来性について見てみます。
整備業界および、その仕事の対象であるクルマ自体の未来については、心配があるかもしれません。
次の通り、いろいろ不安材料が考えられます。
・最近のクルマは、最初から事故を起こさないように進化しているので、「事故を起こさないための自動車整備」が残るか
・電気系統を多く持ったクルマが増えていて、従来のエンジンまわりを見る整備士の需要があるか
・クルマを持つ生活自体が減っていて、整備の仕事も減るのでは
・上記に加え、現在も決して待遇のいい職場ではないのではないか
これらの疑問を持つのはとても大事なことです。
疑問がすべて事実とまではいえませんが、整備業界の構造が大きく変わっていくという見解は、間違っていません。
不安も踏まえた上で、整備士の将来性は次に見てみます。
エコカー、サポカーの充実で、自動車整備の仕事が大きく様変わりしていくであろうことは間違いありません。
ハイブリッド車ならばエンジンは持っていますが、さらに電気自動車が主になってくると、エンジン回り自体、整備点検がなくなっていく可能性もあります。
それでも、整備士の仕事はなくなりません。むしろますます高度化していくことが予想されます。
エンジン車が全廃されることも当面は考えられず、そうするとエンジン、モーター、電気系統、安全設備と、整備点検の種類と箇所が増えこそすれ、減ってはいくことはありません。
整備士の仕事は大きなチャンスに溢れているのです。
もちろん、新しいことを覚えられない整備士にとっては、そうではないでしょう。なにごとも努力次第です。
クルマの進化により、コツコツと細かいところを見ていくという需要は減る可能性もあります。
ですが仕事というものは、作業だけで成り立っているのではありません。
整備士の仕事が性質を変えていくことは間違いないでしょうが、それは仕事が高度化することにもつながります。
自動車整備士は、現在でもコンサルタントの側面を有しています。この部分がいっそう拡大していくと思われます。
一般のクルマ所有者だけがコンサルティングの相手ではありません。クルマの開発段階で適切なアドバイスをすることも求められていくでしょう。
この点においては、むしろ業界には明るい未来が待っています。
収入も上がっていくものと予想されます。
技術の進歩に伴い自動車整備業界は今後大きく変容していくと思われますが、整備の仕事はなくなりませんし、さらに高度化していくと推測されます。
自動車が好きなら、ぜひ専門学校から整備士を目指しましょう。
2級整備士以上として業界でスタートできるのも大きな魅力ですね。