自動車整備士になった後、一生同じ職場で働くと限ったものではありません。
キャリアアップを図るため、あるいは整備士の経験を活かして次の職に進むためなど、転機は繰り返し訪れます。
そうした際に、転機を乗り切るどんな求人が存在するものでしょうか。
整備士人生の節目ごとの、求人について見てみます。
・カーディーラー整備士になりやすい
・他の進路もある
自動車大学校等の自動車整備士専門学校を卒業後、すぐに2級以上の整備士資格を取得して社会に出る人も多くいます。
この場合は、専門学校に新卒求人が多数来ます。
自動車大学校卒業後の進路の特徴として、過半数がメーカー系の新車カーディーラーに就職するということが挙げられます。
整備業界で人気の高いディーラー整備士への就職口が多い点は、自動車大学校のメリットのひとつといえるでしょう。
ただ、それ以外の進路の人も少数派ながらいます。自動車メーカーの研究開発や、カーショップ、モータースポーツ関係等です。
いずれにしても多くの卒業生が、整備士の資格を直接または間接的に活かし、クルマ関係の仕事に就職していきます。
整備技術は学校で学んだのでこれで十分と考える人も、最終的にどんな道に進むにしても整備実務をマスターしておいたほうがいいと思う人もいてさまざまですが、自分の信じる道を進むのが一番です。
・未経験でも整備工場に採用してもらえて資格も得られる
・派遣もある
・3年勤めれば3級整備士の受験資格が得られる
自動車整備業界で働いているのは、学校で整備士資格を得てからキャリアをスタートする人だけではありません。
未経験で業界に飛び込む人も多くいます。他業種を経験したのちに整備士になる人もいます。
自動車整備士は慢性的に人材不足の傾向が続いているため、未経験者でも採用されることは多いものです。
ただし、自動車メーカー系カーディーラーの整備士については、未経験者が入社可能な求人は多くありません。未経験者はおおむね、一般の自動車整備工場からのスタートとなります。
派遣でもよければ、さらにチャンスは増えます。
普通科の高校卒の人でも、整備工場で3年勤務すれば、整備士業界のスタートラインである3級自動車整備士の受験資格が得られます。
この点、労働条件的に合わない職場であっても、我慢のし甲斐があるわけです。資格が取れれば転職もしやすくなります。
3級整備士資格に合格し、さらに経験を積んで受験資格を得て、2級まで合格すれば、整備業界では大手を振って仕事ができます。
・整備士を続ける転職なら、メーカー系新車ディーラーが人気
・輸入車、中古車ディーラーにも整備の仕事がある
・バス、タクシー会社や空港の特殊車両整備士等さまざまな仕事がある
自動車整備士としてキャリアを積んでいきながら、さらにいい条件で働きたくなることもあります。
整備工場で経験を積んだ人なら、比較的好条件のディーラー整備士が気になるでしょう。
輸入車ディーラー、中古車ディーラー等の整備士求人もあります。
そして、ディーラー整備士をしている人であっても転職したくなることは普通にあります。
労働時間が長い、異動が意に沿わないなどの不満も転職の理由となります。
整備士を続けたいのなら、バス会社やタクシー会社の整備士という道があります。
珍しいところでは、全国の空港における特殊車両整備士があります。地元を離れても構わない人ならば、比較的採用されやすいでしょう。
整備士の転職の場合、整備士資格が必要なことが多いです。キャリアが長いのに資格がないとなると、整備士としての転職はしづらくなります。
・整備士経験は、機械の整備やクルマ関連に活きる
・メーカー技術職もある
・保険会社のアジャスターは人気
整備士のまま次のステップを目指すのではなく、完全に業種を変える転職をしたい人もいます(転業)。
クルマや整備と一切関係ない職種に移る人もいますが、千差万別なのでいちがいにはいえません。
整備士経験をフルに活かしつつ、次の仕事にスムーズに移るにあたってどんな求人があるのか見ていきます。
大きく分けて、整備士経験が活きるものと、クルマ好きが活きるものとに分かれます。
まず、自動車整備士の資格と経験とをストレートに評価したうえで採用してもらえる求人です。
次のものがあります。
・自動車メーカーの技術職
・機械・重機のエンジニア
自動車メーカーの技術職は狭き門です。
転職で入社できるチャンスは少ないでしょうが、求人がまったくないわけではありません。1級自動車整備士資格があるとさらに有利でしょう。
機械エンジニアは、機会の一種であるクルマの整備を他の機械に移し替えただけなので、自動車整備士にはなじみやすい仕事です。
クルマと工業用機器と、構造はもちろんまるで違うのですが、「点検と、問題点の発見、解決」というステップが本質的に変わるわけではありません。
クルマ好きではる前に、機械が好きという人には向いているでしょう。
気を付けたいのは、顧客対応が非常に多く、これが仕事のメインだということです。黙々と機械いじりをしていたい人には向きません。
カーディーラーの整備士の中には、人事異動で営業やフロントに回る人も多くいます。
希望しての場合も、そうでない場合もありますが、この実態からも言えるのは、整備士経験が他の職種で活きることです。
整備のことをよく知っている人は、クルマの顧客にとても信用があるわけです。
会社の人事異動でなくても、自ら職種を変えることができるのが転職という手段です。自らクルマの営業に回るのもいいでしょう。
他にも、カー用品店やレンタカー会社のスタッフ等でも経験は活きます。
クルマの整備から、運転するほうに職種を変える人もいます。
クルマがとことん好きという人ならば、それほど不思議な商売替えではありません。
タクシー運転手やトラックドライバー等、数多くの仕事が存在します。
これらは整備業務とイコールではないものの、営業車両に常に携わるわけなので、整備知識がある人は重宝されます。
損害保険会社にはアジャスターという職種があります。職種であり、日本損害保険協会の資格制度でもあります。
自動車事故の調査をし保険適用のサポートをする専門職で、整備士経験者の転業先として高い人気を誇っています。
自動車では大事故も多く、裁判になることも珍しくはありませんが、アジャスターは裁判所に意見を提出することもある重要な仕事です。
アジャスターになるには法律の知識だけでなく、クルマの知識が不可欠です。自動車整備士の経験がフルに活かせる高度な仕事なわけです。
アジャスターは、損害保険会社で募集していて、求人も目にするはずです。
将来的には、雇用関係でなくフリーのアジャスターとして一本立ちすることもできます。
自動車整備士として経験を積んでいくたび、環境を変えることは可能です。
そのための求人も絶えずあります。
整備士を一生続けていくのもよし、整備士資格と経験を活かして別の職種に移るのもいいでしょう。
同じ転職をするなら、前向きなものでありたいですね。
とにかく、懸命に仕事をしている人なら転機においても道が開けます。