自動車整備士は、自動車の点検や修理をする重要な仕事です。しかし近年、そんな自動車整備士の数が減少傾向にあります。
そこで今回は、自動車整備士の人出不足問題について解説すると共に、その需要と年収に関する現状についても紹介します。さらに、これから自動車整備士を目指すメリットについても紹介していきます。
実際に自動車整備士の数が減っているのか、解説していきます。そして、人出不足の原因と言われている内容についても確認していきましょう。
それでは自動車整備士の数が本当に減少しているのか、資料を参考に確認していきましょう。
令和3年1月に日本自動車整備振興会連合会により発表された「自動車特定整備業実態調査結果概要」によれば、整備士の数は以下となっています。
(平成31年度以前は、「自動車分解整備業実態調査」の名称でした)
・2014年度:34万2486人
・2015年度:33万9999人
・2016年度:33万4655人
・2017年度:33万6360人
・2018年度:33万8438人
・2019年度:33万6897人
・2020年度:33万9593人
上記の内容からも分かるように、2014年度から2019年度にかけて、6年で5589人減少しています。2020年度は33万9593人と、やや持ち直していますが、2014年度と比べて減少していることには変わりありません。
自動車整備士の数が減少しているのは、どうやら事実のようです。
自動車整備士の数が減少している背景には、少子高齢化や人口減少といった原因があると言われています。さらに、若者の車離れも原因だとされています。
若者の車離れの原因としては、以下の理由が挙げられます。
1)車に対する価値観が変わった
車に乗ること自体がステータスとして認識されていた時代もありましたが、近年、そうした価値観は薄れています。電車やバスといった交通網を使える都市在住であれば、自動車を持つ意味が感じられないという若者も増えています。
2)経済的理由で自動車の購入をためらう
最近の自動車は、バックモニターやクルーズコントロールなど、高機能搭載モデルがもはや一般的となっています。そのため、軽自動車であっても購入費が200万円を超えるケースも珍しくありません。
そうした価格の高騰に加えて、駐車場代や車検代など、車を所有するためにはどうしても維持費がかかります。経済的な理由から、自動車の購入をためらっている若者は増えています。
そうした少子高齢化や若者の車離れが加速している事情もあり、自動車整備士の数が減っているのです。
自動車整備士の数は減少傾向にあることが分かりましたが、実際の需要と、年収の実態についても解説していきましょう。
自動車整備士の数が減少していますが、その働き口である整備工場はどのような実態なのでしょうか。以下、日本自動車整備振興会連合会による「自動車特定整備業実態調査結果概要」の資料を参考にしながら、解説していきます。
・2014年度:9万2135件
・2015年度:9万2160件
・2016年度:9万2061件
・2017年度:9万2001件
・2018年度:9万1883件
・2019年度:9万1605件
・2020年度:9万1533件
2014年度から2020年度を比較しても、整備工場の数はほとんど横ばい状態であることが分かります。近年、自動車の整備工場では、従業員の高齢化が問題視されています。そのことと考え合わせると、自動車整備士の雇用に関しては、まだまだ高い需要があると言えます。
また、自動車整備士の需要の高さには、現代の自動車の長寿命化も関係しています。
一昔前の自動車と比べても、性能が向上した現代の車は、部品を交換しながら長く乗り続けられる傾向にあります。安全性を保つための点検や部品交換の際には、自動車整備士の手が必要であるため、今後も安定的な需要があるのです。
そして、交通網があまり整備されていないような地方都市において、車はまだまだ必需品です。通勤はもちろん、レジャーや買い物など、あらゆる場面で毎日のように運転をします。基本的に、「一家に一台」というより「一人一台」の世帯が多いため、自動車の需要はとても高いです。
そうした状況からも、自動車整備士の存在が欠かせないということが分かります。
自動車整備士の平均年収は年々上昇しています。
日本自動車整備振興会連合会による「平成30年度版 自動車整備白書」を参考にして、確認していきましょう。
・2014年度:378万円
・2015年度:379万円
・2016年度:383万円
・2017年度:388万円
・2018年度:391万円
2014年度から2018年度にかけて、平均年収がなんと13万円も上がっていることが分かります。また、これはあくまで平均年収であるため、上の役職に就けば、更なる高収入を充分に期待できます。
自動車整備士が年収をアップさせる方法としては、以下が考えられます。
所属企業の経営者や上司に対して、年収アップの交渉を行いましょう。
年収アップの交渉を行う際には、年収アップとなる根拠が無いと難しいため、
これまでに培った経験や勤続年数など年収アップにつながる準備して交渉に臨みましょう。
自動車整備士の場合、現状の業務の延長である整備部署や点検部署の管理職を目指しましょう。
業務の中で経験や知識を深めることで、管理職へ抜擢されることに繋がります。
さらに業務での経験や知識を積むことで、部長や工場長などの上位の役職に付くことが可能となります。
国家資格を取ることで、資格手当が支給されます。
資格手当は会社によって変わるため、一度資格手当の確認をしてみましょう。
3級から1級まである自動車整備士や、特殊整備士のようなタイヤや電気装置などの専門的な資格もあるため、ご自身にあった資格取得を行いましょう。
自動車整備士の給料は、町工場と大手企業では給与に大きな差が出てきます。
そこで、転職をして会社を変えることで、年収アップを狙いましょう。
これまでの経験や資格などでしっかりとアピールすることで、高待遇や役職が付くなどステップアップ転職も可能となります。
また福利厚生や資格手当など給与以外の部分も違いがあるので、見落としが無いように心掛けましょう。
転職の懸念としては、転職先の会社の雰囲気や会社独自の業務フローなどで転職先の会社に合わないこともあります。
転職を行う際には、条件面や福利厚生・勤務先の雰囲気などしっかりと確認を行いながら転職活動を行いましょう。
自動車整備士として同じ会社に長く勤めても、年収アップには限界があります。
そこで独立開業して、今以上の収入アップを狙うのも手段の1つとなります。
独立のメリットは、やり方次第で年収を大幅にアップさせることができるので、仕事に対するモチベーションを高くして働くことが可能です。
しかし、自動車整備工場の経営は一人ではできません。有資格者が2人以上は必要なため、有資格者を雇うか、共同経営する仲間を探す必要があります。
独立は自動車整備以外での、営業や経理など幅広い業務が発生してしまいますが、軌道に乗ると高収入を得られるチャンスでもあります。
これからの将来に向けて自動車整備士を目指すメリットについて解説していきます。高い需要があり、平均年収が上昇している自動車整備の業界へ進むための参考になりますので、ぜひチェックしてみて下さい。
従来の自動車業界のイメージは、どちらかというと休日が少ないという印象が強い傾向にありました。しかし近年は、働き方改革も手伝って、労働者に寄り添った労働条件へと見直しを図る企業が多くなっています。
自動車整備士においても例外ではありません。整備工場や町工場に所属している場合は、一般のサラリーマンと同じく、平日出勤で、土日祝日は休みという工場が多いです。
また、カーディーラーに所属の自動車整備士であれば、月・火の週休2日制を導入しているディーラーが多く、しっかりと休むことができます。
また最近では、作業服にファンを取り付けている空調服や、冷却パックを身に着けられるアイスベストなど、暑さ対策のアイテムを導入する企業も増えています。夏場の過酷な労働環境からの、飛躍的な改善が図られているのです。
近年は、電気自動車やハイブリッドカーが主流になりつつあります。また、自動運転技術を搭載した自動車の開発も進められ、ますます車の高機能化が加速しています。
そうした状況も手伝い、近い将来、これまでは自動車の運転を敬遠していた人々が自動車を購入することも見込まれます。つまり自動車を保有する人口は、ますます発展の一途を辿ることが予想されるのです。
自動車整備士の需要は、今後も高まり続けるでしょう。
以前の自動車整備士では、職場環境の設備が整っておらず夏は暑く冬は寒い環境の中で働くことが当たり前でした。自動車整備士の多くの従業員は、各国な環境の中で作業を行い続けたため、体を壊して休職・退職になることは珍しくありませんでした。
また当時の自動車整備士は、激務で人手不足から残業が多く辞めてしまう負の連鎖に陥って、長く働き続けるのが難しい環境でした。 最近では自動車整備士の職場環境を改善するため、残業や工場の設備について対策を行う企業が増えてきています。 自動車整備士の負担を軽くするための、整備工場へのクーラー設備の設置や補助機械の導入などの環境改善も進んでいます。 また企業によっては、定時以降は作業を行わないようにシステムの停止機能や、設備にセキュリティをかけて長時間労働抑制する動きが増えつつあります。
このような自動車整備士の待遇を見直すことで、自動車整備士という職種が安定的で長く働くことができる労働環境の向上する動きに、日本の自動車整備士の対する企業意識は変わってきていることがわかります。 企業としてより良い自動車整備士の獲得するために、様々な待遇改善の動きは今後も加速していくと考えられます。
自動車整備士は国家資格として、1級自動車整備士から3級自動車整備士まで、等級別に分かれています。
埼玉県鴻巣市にある関東工大(関東工業自動車大学校)では、そんな自動車整備士の資格取得に向けて、実技を中心としてカリキュラムで学ぶことができます。
関東工大の自動車整備士の試験合格率は以下です。
・二級自動車整備士合格者:97.4%(合格者151名/受験者数153名)
※2019年度3月卒業生実績による
・一級自動車整備士合格者累計:91.9%(合格者数842名/受験者数916名)
国家資格である一級自動車整備士、二級自動車整備士のどちらの資格に関しても、90%超えの高い合格率です。関東工大で学ぶことで、自動車整備士の知識や技能をしっかりと身に着けられることが分かります。
また、正社員としての就職率は、なんと100%です。学生一人に対しての求人は約4社あるので、卒業後の進路に関しても安心です。
就職先企業数は531社もあり、これまで実績のある就職先は以下です。
1)メーカー
トヨタ、日産、マツダ、ホンダ、スバル、ダイハツ、三菱、スズキ、フォルクスワーゲンなど
2)大型自動車系
・関東いすゞ自動車株式会社、三菱ふそうトラック・バス株式会社など
3)その他
・東京海上日動調査サービス株式会社、日立建機日本株式会社、ブリヂストンリテールジャパン株式会社、一般社団法人日本自動車連盟 など
関東工大では、上記以外にも数多くの就職先企業の実績があるので、第一志望へ就職することも決して夢ではありません。
自動車整備士の人出不足問題と、現在の需要についてまとめます。
・自動車整備士の数が年々減少しているのは事実である
・自動車整備士の需要は高まっている
・平均年収は増加しており、労働条件や待遇が改善されている
・自動車の技術発展に伴って、自動車整備士の需要は今後さらに拡大する
自動車整備士の需要が高まっている中、その数は少ないということは、それだけ就職が有利になるということでもあります。
関東工大では、自動車整備士に関する知識や技能を徹底的に身に着けられるので、就職後もスムーズなスタートを切ることができます。
毎週ミニオープンキャンパスを開催しており、在校生が校内を優しく案内してくれます。少しでも気になったという方は、一度相談してみてはいかがでしょうか。