KANTO Industrial College

自動車整備士に向いている人はどんな人? クルマが好きなら整備士の適性がある?

小さい頃からクルマやメカニックが大好きで、将来は自動車整備士になりたいと思う方もいるでしょう。

現在別の仕事をしているが、整備士に転職したいと思う方もいるはずです。

ところで目指す前に重要なのが、自分に仕事の適性があるかないかの判断です。

どんな仕事もそうですが、特に専門職の場合、この見極めが重要です。

自動車整備士に向いている人、向いていない人を分けていきます。

自動車整備士に向いていそうだが、向かない人

最初に、整備士志望者にありがちな、大きな勘違いを取り除いておきましょう。

整備士が向きそうで、決して向いているといえない人の例です。

・他人とのコミュニケーションが好きでない

・他人にどう見られるかを気にせず、他人に関心がない

・クルマいじりが興味の最優先で、それ以外は興味がない

「整備士はコツコツやればいいもので、コツコツこなしていけばコミュニケーション能力など問題でない」

このように思っている人は、整備士にはまったく向いていません。

整備士は、顧客の具体的な困りごとについて、どう解決するか筋道を立てる必要があります。

クルマの専門家としての見地から、わかりやすい言葉で整備の状況、見通しを伝えないとならないのです。つまり、コンサルタントです。

「部品やオイル交換したほうがいい」と打診するためには、顧客に判断してもらう材料をきちんと出さなければなりません。

さらに、顧客の要望を的確に聞き取ることも求められます。勝手な理解はトラブルのもとです。

カーディーラー勤務の整備士の場合、営業職に配置換えになることがよくあります。これは、クルマの専門知識を持った営業担当に、存在感と必要性があるためです。

ですが営業にならずに整備の仕事を続ける場合も、まったく同じことです。整備士も日頃から、顧客とどうコミュニケーションを図るかという視点が欠かせません。

コミュニケーションが不得意の人は整備士を目指すべきではない?

クルマが好きで仕方ないのに人とのコミュニケーションが得意でない、そんな人もいます。

そのような人は、適性がないので整備士になるべきではないでしょうか。

少し視点を変えてみましょう。

他人との円滑なコミュニケーションは、実はあらゆる職種において求められることです。職場の人間関係も常に重要です。

整備士を避けたとしても、適切な職種がすぐ見つかるものではありません。

それならば、不得手なコミュニケーション能力のほうを改善してみたらどうでしょう。そうすれば整備士の道も開けるかもしれません。

コミュニケーションは間違いなく必要ですが、「豊富で、見ず知らずの人と常に途切れない会話ができる」そんなレベルの高いスキルのことではありません。

それよりもずっと重要性が高いのは、顧客の要望をしっかり聞いて、作業に落とし込むスキルです。

整備士のステップアップ先にある営業職を見てみても、トップセールスマンが弁舌に長けた人だとは限りません。むしろ朴訥だったりします。

聞く力を伸ばせば、話下手でも決してマイナスにはならないのです。

コミュニケーション下手の整備士志望者は、このことをぜひ押さえておいてください。

自動車整備士の適性を考える

自動車整備士には、このような資質を持った人が向いています。

・クルマ好き

・勉強熱心

・細かい作業が得意

・問題解決に向けた思考力を持っている

それぞれ見ていきましょう。

クルマは好きなほうがいい

自動車整備は、1年中クルマを触る仕事です。

仕事なので辛いこともあるかもしれませんが、仕事の対象は、嫌なものより好きなもののほうが間違いなくいいでしょう。

さらにメカニック好きであれば言うことはありません。

またクルマとメカニック好きのほうが、最新の車種とその特性を勉強しやすいはずです。

最近車種は電気系統、安全系統がどんどん進化していくので付いていくのが大変ですが、好きな人なら大丈夫です。

次々新しいクルマが出てくるのに喜びを感じられるような人は向いています。

勉強熱心であること

自動車整備士は国家資格です。

自動車整備士として勤務を続けるためには、2級資格まで持っておくことが求められます。

3級では、補助業務しかできません。

2級自動車整備士は決して易しい試験ではないので、仕事をしながら勉強にも励むことが求められます。

専門学校を卒業し、2級資格を持って整備士を始めた人は、この点についてはとても楽だと思われます。ですが、もう勉強しなくていいのかというと、そんなことはありません。

クルマが大変速いスピードで進化し続けているためです。整備の方法論も徐々に変わっていきます。

最新のテクノロジーについていかないと、適切な整備はできません。常に最新知識を更新していく熱心さが求められます。

細かい作業が得意であること

小さな頃から機械いじりをしていたような人は、整備士の適性が高いといえます。

手先の器用さは、整備士にはずっと必要な資質です。

もともとあまり器用でない状態から苦労して技術を身につける人もいるため絶対ではないですが、不器用よりは器用なほうが間違いなく向いています。

また整備士は、手先が器用な女性にも向いている仕事です。メカニックに興味がなかった女性は、隠れた適性に気づいていない可能性があります。

手芸が得意な女性など、資質がありそうです。

かつての整備士は力仕事の要素も高かったのですが、最新機器を導入しているディーラー整備工場などでは、力仕事に対する女性の不利益は減る傾向にあります。

クルマの作業は、狭いところに手が入る、小さい人のほうが有利なことも多く、この点も女性に向いています。

問題解決に向けた思考能力があること

どんな仕事にもいえることですが、ゴールを設定してそこに向けて問題を解決していくことが求められます。

自動車整備の場合に当てはめます。

原因不明の故障があるとします。その原因をどう見つけ、どう具体的に解消していって、最終的に元通りに走らせるのが仕事です。

漠然と作業をしているだけでは解消しません。

自動車整備士に明らかに向かない人

最後に、明らかに向いていない人を上げておきます。

・体力がまったくない人

・汚れるのが嫌な人

・皮膚が極めて弱い人

たとえクルマが好きだとしても、このような人にはつらい仕事でしょう。

整備士にとって、設備の改良により力仕事は徐々に減っていく傾向にあります。それでもデスクワークではないので、体力に不安がある人には向きません。

またオイルで汚れやすい仕事のため、潔癖症の人にも向きません。

今後EVが主流になっていくと、整備士もあまり汚れない仕事に変わっていくかもしれませんが、まだ先のことでしょう。

そして、オイル汚れを落としたり、洗車したりする以上、皮膚が繊細な人も向いていません。

適性があるなら自動車整備士を目指してみよう

自動車整備士の適性について見てきました。

手先の器用さは重要ですが、意外と幅広い層から目指せる仕事でもあります。

これから環境がよくなっていくであろう整備士、チャンスです。

あらゆる仕事に共通することですが、顧客や職場でのコミュニケーションはくれぐれも大事にしましょう。