自動車の板金塗装業は自動車整備工場同様に、お客様のカーライフをサポートするとても重要な職業です。
事故にあった自動車を元の状態に戻すのには、外見だけを修理すれば良いわけではなく、事故の衝撃の波及状態を調べたり、骨格の損傷具合を調べるなど高い技術力と知識が必要となります。
自動車板金塗装工として将来を見据えたプロフェッショナルになるには多くの資格の取得が必要となってきます。
自動車を修理する職業に就くにあたり自動車整備士の資格だけを持っていれば良いというわけではありません。
会社や自動車整備工場、板金塗装工場などそれぞれに運営に必要な資格や就職活動をする際に優位になれる資格があります。もちろん、資格を取得することで評価も上がり賃金アップと共に自身のスキルアップもしていくことでしょう。
自動車の板金塗装の仕事は『板金』と『塗装』に分かれていて、『板金』は傷や凹みのある部位の部品を交換したり、叩いたり、引っ張ったり、削ったりした後にパテを用いて修復を行います。『塗装』は必要な塗料を調合して修理部や交換前の部品を塗る仕事となります。
ほとんどの板金塗装工場では『板金』部門と『塗装』部門に分かれているために、お互いに連携を取りながら仕事を進めていくこととなります。
一般的な板金塗装の流れをまとめました。
1、板金作業
車体に付いた傷の深さ、大きさなどの確認、表面または裏面から対応が可能かも含めて確認します。ハンマーなどの専用工具を使用して板金作業を始めます。車体の凹んだ箇所を表面に引き出します。
2、下地作業
凹みの引き出し作業が完了したら、必要箇所の塗装面を剥がしパテで埋め込み作業を行います。 ここでは、車体の傷を滑らかにするために研磨紙などを用いて研磨作業を行い、慎重に表面を滑らかにします。
3、塗装作業
パテを埋め込んだ部分に下地塗料を塗り、乾燥するまで待ちます。 乾燥後に車体のカラーと同じ色になるように、塗料を調色を行います。 塗装を行う際は塗装箇所周りにマスキングを行い、塗装に取り掛かります。 車体の傷部分の塗装後は、仕上げ磨きとしてコンパウンドで磨き最終調整を行います。
自動車板金塗装工場で工員として働いていく上で、必ず取得しなければいけない資格は特にありません。
自動車整備工場に比べて自動板金塗装工場の方が無資格での就職はしやすいのですが、高い技術力と知識を求められる自動車板金塗装工場での仕事は大変厳しいものとなります。また、自動車板金塗装の世界では一人前になるのに10年掛かると言われており、何の知識もないまま自動車板金塗装の世界に入った場合は更に多くのキャリアを積むようになってしまいます。
板金塗装の主な就職先は、自動車板金工場です。自動車板金工場はどの地域にも数多く存在し、求人も出されているため、就職すること自体は難しくはないでしょう。
板金塗装を行うためには資格は必要ないこともありますが、専門技術が必要であるため、工学系の学歴や職歴があれば、就職は有利になるでしょう。
自動車の保有台数は伸びてきていますが、交通事故の発生件数は減少傾向にあります。その理由は自動車の性能向上のためです。一方で塗装工場で働いている人の数は増えているので、将来性は乏しいかもしれません。
板金塗装と自動車整備士の違いは、大きく分けて2つあります。
1、資格について まずは資格について、まとめました。 板金塗装に関しては必須な資格はありません。
しかし、板金塗装の作業の中には車体の分解を行って整備をする業務もあるため、2級整備士以上の自動車整備士資格を取得しておく業務の幅が広がると考えられます。
板金塗装をメインとした業務では、実務経験が重要視されるケースが多いためしっかりと実務経験を積むことが重要となります。
2、作業内容について 作業内容について、板金塗装と自動車整備士の違いをまとめました。
・板金塗装の業務は、主に車のドアやボンネットなどのキズやへこみ、劣化についての修復
・塗装を担当 ・自動車整備士の業務はは、自動車のエンジンやライトなどの電子制御系や内部についての整備・点検を担当
上記の内容から、板金塗装は「見える部分」で自動車整備士は「見えない部分」を担当する形となります。
自動車板金塗装工場に就職をし、仕事をしていく上で取得をしておくと、仕事の役に立ち、仕事の幅が広がる資格があります。
これから紹介する資格は自動車板金塗装工場に就職をする際にも有利になる資格ですので、自動車板金塗装工場に就職希望する方は、ぜひ取得を目指して下さい。
国家資格となる自動車整備士の資格で1級・2級・3級と分かれて、自動車の基本的な構造・仕組みが学べます。
自動車板金塗装修理をする際にエンジンの脱着やブレーキの脱着等、分解整備に関わる作業をすることもある為に、分解整備を行える国家2級自動車整備士以上の資格を取得するのが好ましいです。
自動車整備工場に併設されている自動車板金塗装工場やカーディーラの自社板金塗装工場に就職を希望する場合は、入社条件が国家2級自動車整備士以上のところがほとんどなので、ぜひとも取得しておきたい資格となります。
国家資格の特殊整備士である車体整備士は自動車のフレームやボディー部分に関する専門的な知識と技能を持ち合わせており、それを駆使して点検・修理・整備を行います。自動車の板金塗装業に関わる資格で一番深い関係にある資格となります。
自動車の板金塗装は無資格でも出来るのですが、自身の技術力と知識力の向上やお客様の信頼を得るためには取得しておきたい資格となります。
自動車メーカーやカーディーラーによっては、メーカーごとの車体整備士試験を行っているところもあります。
国家資格である塗装技能士は木工塗装作業・建築塗装作業・金属塗装作業・噴霧塗装作業・鋼橋塗装作業に分かれており、それぞれ1級・2級・3級に分かれています。自動車板金塗装に関するものは金属塗装作業の資格となります。
車体整備資格同様に自身の技術力と知識力の向上やお客様の信頼を得るためには取得しておきたい資格となります。
塗装技能士も各メーカーやカーディーラーによって、メーカーごとの塗装技能士試験を行っているところがあります。
国家資格である溶接技能士ですが、複数種類あるうちのガス溶接技能士とアーク溶接技能士は自動車板金塗装作業を行う上では必要性の高い資格となっております。
溶断・溶接・加熱の作業は自動車板金塗装作業内で頻繫に行われる作業となります。溶接技能士の資格を持っていないとこれらの作業ができないので、他の従業員の負担も増えるし自身の自動車板金塗装工としてのスキルアップも出来なくなってしまいます。
講習を受けて修了試験に合格することで取得をすることができるので、他の資格に比べると難易度は低いです。
国家資格である有機溶剤作業主任者は有機溶接剤を使った作業を安全に進めるために監督・指揮を行い、労働安全衛生上の労働者の衛生を確保します。
自動車板金塗装ではウレタン塗料に使うシンナーが有機溶剤にあたり有機溶剤作業主任者がいないと塗料を作ることが出来なくなってしまいます。現在、多くの自動車板金塗装工場でシンナーを使用するウレタン塗料が使われていますが、環境への配慮からシンナーを使わない水性塗料に切り替えを行う動きがあります。
有機溶剤作業主任者も溶接技能士同様に講習を受けて修了試験に合格することで資格を取得することができるので、難易度はそれほど高くはありません。
第4類危険物(ガソリンや灯油が該当)の乙種資格(通称乙4)は危険物取扱者の資格の中で最も人気です。タンクローリーの運転をする場合、石油メーカー、化学メーカー等で働く場合等様々な所で必要となる資格となっており、ガソリンスタンドでアルバイトをする場合にも乙4を持っていると時給が上がるなどのメリットがあります。
板金塗装では、微妙な色の違いを見抜いて塗料を調合しなければいけません。カラーコーディネーターの資格があると、色の知識が身につき、感覚が養われるので、塗装業務において役に立つ可能性があります。
カラーコーディネーターの資格は、カラーコーディネーター検定や色彩検定など数種類あります。
板金塗装は、車を修復する仕事です。以下のような人たちが板金塗装の仕事に向いています。
板金塗装に限らず、自動車整備士関連の仕事は車が好きな人が向いています。
板金塗装の仕事では細かな作業が必要になるため、手先が器用である人には向いています。
板金塗装は無資格でもなることができます。その分、実務経験が大切です。向上心を持ち、しっかりと仕事に取り組むことができる人が向いています。
自動車板金塗装に関係する国家資格の中には実務経験を積まなければ取得出来ない資格があります。上記で紹介した資格の中では自動車整備士資格・自動車車体整備士資格・塗装技能士が該当します。
無資格でも自動車板金塗装工となるのは可能ですが、仕事をしながらの国家資格取得はプライベートの時間を全て勉強にあてるなど過酷なものとなります。また、自動車板金塗装工場の求人募集は有資格者が条件となっているところがほとんどなので、資格を取得してから就職活動をするのが望ましいです。
自動車板金塗装に関する資格を取得して自動車板金塗装工場に就職をする一番の近道は自動車整備士養成施設の専門学校に入学することです。
自動車整備士養成施設の専門学校では実習や座学を行いながら資格の取得を目指せます。専門学校の修了課程で実技免除となるので資格の取得も容易となります。
(関東工業自動車大学校の授業時間割)
関東工業自動車大学校では実習をメインとした授業を行っています。自動車板金塗装の世界では高い技術力と知識力の他に経験力も必要となります。一人前になるのに10年かかるといわれる自動車板金塗装業で、多くの実習をしながら資格を取得出来るというのは大きな経験となります。
自動車板金塗装業は一人前になるのに10年かかると言いましたが、スポーツ界や芸能界などの一部の特殊な職業を除いてルーキーがいきなり大活躍出来る職業はありません。どんな職業であれ経験を積んで一人前になっていくのです。
無資格でも作業出来る自動車板金塗装業で、資格の有る無しでは技術力と知識力、経験力全てにおいて大きな差が出ます。もちろん、資格を取得しただけで満足してしまってはなんの意味もありません。取得出来る資格は積極的に取得をして自身のスキルアップをして技術力と知識力を磨きながら、誰もが認める一流の自動車板金塗装工を目指しましょう。
関東工業自動車大学校では、オープンキャンパスや施設見学会など、さまざまな催しを毎週実施しています。 毎週土曜日に開催されているミニオープンキャンパスでは、在校生がキャンパスを案内するため、入学した際のイメージを掴むことができます。 LINEで気軽にやり取りすることもできるので、少しでも気になった方は一度相談してみてはいかがでしょうか。 見学予約やオープンキャンパスの申し込みはこちらから。