外国人に『あなたの知っている日本の企業は?』と質問をするとトヨタ、ソニー、任天堂等の回答が多く返って来ます。
日本を代表する自動車メーカーであるトヨタ自動車は2020年、2021年と新車販売台数世界一であり、国内のシェアでも遂に50%を越えました。
そんなトヨタ自動車の自動車整備士は他の自動車メーカーの自動車整備士と違いがあるのか?今回はトヨタ自動車の整備士について詳しく解説していきます。
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将来、トヨタ自動車に自動車整備士として就職を希望している人は、自分がトヨタ自動車に入社してどのような仕事をしたいのかハッキリとした目的を持つようにしましょう。
ただ単に自動車整備士になりたい、自動車整備士になるなら1番有名なトヨタ自動車へ入社するみたいな動機では就職活動で苦労するようになってしまいます。
お客様でも勘違いしている人が多いのですが、トヨタのメーカーとディーラーは別会社です。 一部、トヨタ自動車直営のディーラーもありますが、基本的には別会社だということを覚えておいてください。
更に、トヨタの自動車販売店もそれぞれ別会社となっています。
トヨタ自動車では販売店としてトヨタ・トヨペット・トヨタカローラ・ネッツトヨタの4チャネルとレクサスを展開しています。
◯◯トヨタ、◯◯トヨペット(◯◯は都道府県名や都市名)等、皆さんの住まいの近くにもトヨタの販売店があると思いますが、販売店の違いの他に都道府県名や都市名が違っても別会社となります。
販売店のチラシや営業マンの名刺を確認してもらうとわかると思いますが、◯◯トヨタ株式会社や◯◯トヨペット株式会社等、それぞれ1つの会社となっています。
中にはトヨタ・トヨペットの2チャネルをグループ会社として経営をしている販売店もありますが、基本的には別会社です。
前述で何回もディーラーは別会社だと言いましたが、就職活動をする際にはこれが非常に大事になってきます。
同じトヨタの作業着を着てトヨタの自動車を中心に整備を行っていても、それぞれ別会社なので給料や仕事のやり方等まったく別物となっています。
就職面接の際に必ず質問される志望動機も『トヨタ車が好きだから』では志望動機として捉えてもらえません。
自分が就職をしようとしている販売店がどのような経営方針で運営を行っていて、どこに魅力を感じたのかを明確にするようにしましょう。
トヨタのメーカーで自動車整備士として入社するのはかなり難しいです。
自動車整備士資格を取得していればメーカー内でも研究開発や組立工への就職は有利になりますが、自動車整備士としてメーカーに入社するのは非常に狭き門となっています。
メーカーの自動車整備士はトヨタの作業着を着ている全ての自動車整備士のトップに立てる人材でなければ採用されません。
トヨタのディーラーに就職をした自動車整備士は、点検や車検等のお客様のアフターケアをすることが主な仕事となります。
お客様に直接自動車の販売を行っていないメーカーの自動車整備士の仕事は、ディーラーより依頼のあった原因追及の難しい故障修理車の故障探求やレアケースの故障修理車の故障探求を行うことです。
依頼のあったディーラーに出向き故障探求を行いレポートを作成し、レポートを元に同型車で同じ故障が発生する可能性を調べあげて必要によりリコール等の対策を行う。メーカーで働く自動車整備士はトヨタ車の整備に関するスペシャリストなのです。
また、トヨタのディーラーに入社した自動車整備士はトヨタ技術検定試験を受けることによりステップアップをしていきますが、その試験の準備を行うのもメーカーの自動車整備士の大事な仕事の1つとなります。
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自動車整備士としてトヨタのディーラーに入社をすると、整備をする自動車の8割程がトヨタ車となります。同じように日産のディーラーに入社した人は日産車に、ホンダのディーラーに入社した人はホンダ車に触れる機会が多くなります。
同じ自動車整備士として同じ整備の仕事をしているのにトヨタの整備士は他メーカの整備士や民間の自動車整備工場の整備士より一目をおかれています。
では、何故トヨタの整備士は一目をおかれるのでしょうか?その理由について詳しく解説していきます。
前述したようにトヨタ車は国内自動車の約50%をシェアしています。シェア率が高いということはただ単にトヨタ車が売れているということだけではなく、自動車の多種多様な故障車をトヨタの整備士は数多く修理していることになります。
お客様の自動車を点検して事故や故障を未然に防ぐのは自動車整備士にとって非常に大事な仕事ですが、自動車整備士は原因追及の難しい故障車の修理をどれだけ行ったかにより実力差がつきます。
この経験値は自動車を多く販売し、国内の自動車保有台数の半分を占めているトヨタでのみ得られるものとなります。
トヨタの整備士はトヨタ技術検定試験に合格することでキャリアアップをしていきます。
通常、国家2級自動車整備士資格を保有してディーラーに入社した場合はトヨタ技術検定4級扱い、国家1級自動車整備士資格を保有してディーラーに入社した場合はトヨタ技術検定3級扱いからスタートします。(トヨタ自動車大学校は在籍時にトヨタ技術検定を受けているので入社時に1級繰り上げされる)
国家2級自動車整備士資格を取得した者で、トヨタ技術検定1級を取得するまでに最短でも5年の経験を積む必要があり、知識や技術が不足していると試験に合格することができません。
トヨタ技術検定1級試験に合格するのは非常に困難で、複数回挑戦してやっと合格できるレベルとなっています。
トヨタ技術検定1級を取得している者はディーラーの店舗に数人程度しか在籍しておらず、仕事の中心となる特別な存在です。
トヨタ技術検定1級取得は狭き門で、これまではトヨタ技術検定1級取得者は特別な存在でしたが、近年では門を広げてトヨタ技術検定1級を取得することにより仕事のモチベーションを上げさせようとする考え方になってきたので、合格率は高くなってきています。
トヨタ技術検定1級を取得しやすくする代わりに現在はトヨタ技術検定1級以上の存在となるトップクルー制度を設けています。トップクルーになっている自動車整備士は各ディーラー(販売店の会社)で数名しか存在せず、ディーラー(販売店の会社)内では神様的な存在となります。
自動車整備士として仕事をしていくと、トヨタの自動車整備士の経験値の高さやトヨタ技術検定1級取得の凄さが自然とわかるようになってきます。
トヨタ技術検定1級取得者が、給与面や休暇面、経営方針が自分に合わない等の理由により他の自動車工場に転職をする場合は、かなりの厚待遇で迎え入れてもらえます。
また、転職サイト等に登録した際には驚くような厚待遇のオファーがくることもあります。
トヨタの整備士の年収は高いのか安いのか?答えは残念ながらわかりません。何故なら前述したように販売店であるディーラーはそれぞれ別会社だからです。
会社が違うので当然、給料やボーナス、手当等全てが違います。同じ都道府県であっても販売店が違えば別会社となるので年収も違います。
また、トヨタ自動車メーカーの全体の職種の平均年収は約850万円となっていますが、ディーラーでは店長クラスでも年収850万円に届くのは難しいので、いかにメーカーに就職することが難しいかがわかるかと思います。
これはトヨタのディーラーに勤める自動車整備士あるあるなのですが、春闘の時にベア(給料のベースアップ)何%とか、ボーナス時期にトヨタの平均ボーナスが何万円とかいうニュースが流れますが、ディーラーには一切関係ありません。もちろん、お客様からは『トヨタはいっぱいボーナスが出たみたいだな』みたいなことを言われますがメーカーほどのボーナスを貰えることはありません。
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今回はトヨタの整備士について説明をしてきましたが、他のメーカーの整備士がダメだというわけではありません。
トヨタを追い抜くんだという精神はトヨタの整備士と同等の厳しさがあります。
自動車整備士として就職するのに何処がダメだとか何処がいいと判断するのは自分です。もし、トヨタの整備士になりたいと思うのであれば、トヨタの看板を掲げていても別会社だということを良く理解して自分の条件に合う会社を選ぶようにしましょう。
トヨタ車が好きでトヨタに自動車整備士として就職を望むのであれば、トヨタ技術検定1級の取得、そしてトップクルーを目指して神様扱いされる自動車整備士になれるように頑張りましょう。
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