現在の働き方として自身のスキルアップの為に転職を複数回行い、年収面や環境面でより好条件の職場を求めることは珍しくなくなりました。
自動車整備士も例外ではなく、自動車関連企業への転職や営業職への転向等、好条件の職場を求める人が多くなってきています。
中には自動車産業に関係のない他業種に転職をする人もいますし、逆に他業種から自動車整備士に転職をしたいと考える方もいると思います。
今回は自動車整備士が有利となる転職先や自動車整備士に転職する方法を解説していきます。

自動車整備士として培ってきた国家資格や技術スキルは、整備現場だけでなく実に幅広い場所で武器になります。転職先を大まかに分類すると、「同業の自動車整備工場・板金工場」「カーディーラーや部品メーカーなどの自動車関連企業」「専門学校講師・ガソリンスタンドなど資格を活かせる職種」「ディーラーでの営業職」「自動車とは無関係の異業種」の5パターンが代表的です。
自動車の構造・電子制御・故障診断に関する深い専門知識は、他業種ではなかなか身につかない希少なスキルです。そのスキルをどの職場でどう活かすかによって、年収や働き方の自由度が大きく変わってきます。自分が何を優先したいのか(収入・休日・スキルアップ・職場環境など)を明確にしたうえで転職先を選ぶことが、後悔しない転職への第一歩です。
なお、自動車整備士の世界ではヘッドハンティングによる転職はほぼ起こりません。関連する企業から「人手が足りないので手伝ってほしい」という声がかかることはありますが、それが必ずしも好条件の転職につながるとは限りません。自分の意志でしっかりと転職活動を進めることが、理想のキャリアを手に入れるための近道です。

どの職業でも転職をする際には関連企業からの誘いを受けたり、知人の紹介を受けたり、ハローワークや転職サイトを利用して好条件の職場を探したりします。
自動車整備士も転職をする際には同様の行動を行い、自身の求める条件にあった職場を探すようになります。
近年では整備士専門の転職サイト(カーワク・整備士ドットコムなど)も充実しており、業界に精通したアドバイザーのサポートを受けながら転職活動を進めることができます。ハローワークや一般の転職エージェントと並行して活用することで、より多くの選択肢の中から自分に合った職場を見つけやすくなります。
転職活動を始める前に「給与・休日・残業時間・職場環境・将来のキャリアパス」のうち自分が最も優先したい条件を3つに絞っておくと、求人を比較する際の判断が明確になります。条件が漠然としたまま転職活動を進めると、入社後に「思っていた職場と違う」というミスマッチが生じやすくなるので注意が必要です。

自動車整備士の転職先として1番多いのが
、自分の働いている自動車整備工場とは別の自動車整備工場です。
カーディーラーは土・日・祝日はお客様が多く来店する為、休業中になることはありません。家庭の事情等により土・日・祝日が休業日となる民間の自動車整備工場にカーディーラーから転職する自動車整備士が多いです。
また、自動車整備工場によっては運営面の問題から整備主任者や自動車検査員を任命する人数が決まっていて、資格を取得していても手当てが貰えない状況になっているので手当ての貰える自動車整備工場に転職する自動車整備士も多いです。
自動車整備工場から別の自動車整備工場への転職は自動車整備士資格を活かしたキャリアアップに繋がる転職となります。
また、自動車整備士資格を活かして自動車整備工場から自動車板金工場へ転職する自動車整備士も多いです。

自動車整備工場で仕事をしていると自動車電装品メーカーの人やタイヤメーカーの人、部分卸売業の人、損害保険の人達等と仕事上の付き合いをしていくことになります。
仕事上の付き合いとはいえ、お互いの仕事の悩み等を話し合ったりするので、転職の誘いをされることがあります。
自動車整備工場に関連する企業は自動車の知識が必要となり、自動車整備士が転職すれば活躍できる場はあるのですが条件面についてはよく話し合う必要があります。

自動車整備工場や自動車整備工場に関係する仕事以外にも、自動車整備士養成施設の専門学校の講師やガソリンスタンドのスタッフ等、自動車整備士資格を活かせる仕事があります。
自動車整備士養成施設の専門学校の講師は自動車に関する知識が必要なのは勿論のことですが、自動車整備士として得た経験を生徒に教えることで次世代の優秀な自動車整備士を育成することができます。
ガソリンスタンドのスタッフはタイヤ交換やオイル類の交換を行うので自動車整備士の経験が役にたちます。また、近年では国から自動車整備工場の認証や指定を受けて車検や点検作業を行うガソリンスタンドが増えてきているのでガソリンスタンドのスタッフ兼自動車整備士として活躍することができます。

新車・中古車を販売しているカーディーラーでは自動車整備士から営業職へと転向することがあります。
職場は変わらないので転職とはニュアンスが変わってしまうのですが、自ら望んで営業職になったり、本部指示により営業職になることがあります。
カーディーラーでは自動車整備士で入社して営業職になってから店長になる人が数多くいます。
カーディーラーの自動車整備工場内の仕事と営業職の仕事の両方を監督する立場の店長は両方の仕事の流れを把握しなければなりません。
営業職から自動車整備士に転向するのには自動車整備士資格を取得しなければいけないので、仕事の効率が良かったり、後輩育成が上手だったり、自動車整備工場全体のマネジメントができる自動車整備士は将来の店長候補として本部より営業職への転向の辞令がおりることがあります。

自動車整備士の年収は全国の就労者の平均年収より約60万円ほど低く、収入を増やす為に自動車整備士以外の業種へと転職してしまう自動車整備士もいます。
自動車整備工場では自動車整備士の高齢化と人員不足が問題となっています。カーディーラーを中心に給与額を上げて問題解決をする動きをしていますが、それでも全国の就労者の平均年収には届かないため、見切りを付けて他業種へ転職してしまう自動車整備士も多数います。
他業種への転職先として多く選ばれるのは、物流・建設・製造業・IT・保険営業などです。整備士として培った「論理的なトラブルシューティング能力」「安全に対する高い意識」「手先の器用さ」は、業種を問わず現場で評価されやすいスキルです。自動車の知識を直接活かせなくても、これまでの仕事で鍛えた力は必ず新しい職場で生きてきます。
他業種への転職では最初から大幅な年収アップを期待するのが難しいこともありますが、スキルを積み上げながらキャリアチェンジすることで、長期的には安定した収入を得られる可能性があります。転職前に業界・企業研究をしっかり行い、将来のキャリアイメージを具体的に描いておくことが大切です。

自動車産業以外の企業に就職をしてから自動車整備士に転職するのはかなり難しいです。
自動車整備士になるのには国家資格の自動車整備士資格が必要で、無資格者の中途採用を行っている自動車整備工場はほぼありません。
「どうしても自動車整備士になりたい」という強い気持ちがあるなら、まず「今の仕事を辞めて専門学校に通うのか、働きながら夜間や週末に学べる方法があるのか」を検討することから始めましょう。現在は働きながら通える夜間コースや、最短2年で2級資格を取得できる効率的なカリキュラムを設けている専門学校もあります。家族の理解を得ながら、現実的なプランを立てることが第一歩です。

年齢にもよりますが自動車整備士資格を取得しても自動車整備士への転職は非常に難しいです。
自動車整備工場で求めている人材は2級自動車整備士以上の資格を取得している人です。2級自動車整備士資格を取得するには最短で2年を要します。
20代前半で前職を退職し、2年間自動車整備士養成施設の学校に通い資格を取得することで新卒扱いで採用してくれる自動車整備工場があるかもしれません。
しかし、自動車整備工場が中途採用で求めるのは自動車整備士資格を取得していて自動車整備士経験のある即戦力となる人物です。20代後半以降の年齢で実務経験のない人を採用することはほぼありません。
他業種から自動車整備士に転職をするのは難しいですが、自動車が好きでどうしても自動車整備士になりたいという人は、専門学校に通った後に中途採用してもらえる自動車整備工場を探してから自動車整備士資格を取得するようにしましょう。

自動車整備士資格は無資格者でも自動車整備工場で実務経験を積むことで受験資格が与えられます。
ですが、前述したように中途採用で無資格者を受け入れる自動車整備工場はほぼないので、転職目的で自動車整備士資格の取得を目指す人は自動車整備士養成施設の専門学校に通うのがベストです。
ほとんどの自動車整備士養成施設の専門学校では2年制の2級自動車整備士コースと4年生の1級自動車整備士コースを設けています。
転職目的で自動車整備士資格を取得するには2年制の2級自動車整備士コースを選ぶことをオススメします。

1級自動車整備士コースでは自動車の高度な故障診断や次世代カーの電子制御システムの知識を得ることができます。
次世代カーの時代になり1級自動車整備士の需要が高くなってきていますが、現在の自動車整備工場では2級自動車整備士が在籍していればほぼ全ての業務が行えるので、転職目的で自動車整備士資格の取得を目指す場合は資格取得までの年数が少ない2級自動車整備士コースを選ぶのがベストです。
転職目的の資格取得だと年齢の関係や転職先の自動車整備工場の都合を考えると、1級自動車整備士資格を取得するために4年間という時間を費やすのはあまりにも長すぎます。
1級自動車整備士資格は2級自動車整備士資格を取得後に自動車整備工場で3年の実務経験を積むことで受験資格を得ることができます。
自動車整備士養成施設の専門学校に通うより1年遠回りしてしまいますが、自動車整備士に転職する人は2級自動車整備士資格を取得して実務経験を得ながら勉強をして、1級自動車整備士資格を取得するのが理想のかたちとなります。

自動車整備士資格を取得できる自動車整備士養成施設の専門学校は数多く存在しています。
前述したように自動車整備工場では中途採用に即戦力となる人物を求めています。即戦力となる自動車整備士は自動車の知識はもちろんのこと、実務経験がどれだけあるのかによって差がつきます。
自動車の知識は自宅等での自習によっても得ることができますが、実務経験は自動車の整備をしなければ得ることができません。
関東工業自動車大学校では1年間の授業のうち8割が実技研修となっていて、実技研修を中心に自動車の知識を養っていくので、卒業後に自動車整備工場の即戦力となることができます。自動車整備士への転職を目指す人は関東工業自動車大学校に通い、即戦力となる自動車整備士を目指しましょう!

転職は新しい環境で仕事をするので自身のスキルアップやキャリアアップを強く望んで仕事に取り組まなければなりません。どんな職種のどんな企業でも楽をして収入を得ることはできません。
転職をするにあたって自分が職場にどんな条件を求めているのかを明確にして、その条件に見合う仕事をする必要があります。
転職先では必要に応じて資格の取得を求められます。求められた要求を全てこなすことによって自分の求める職場環境となります。転職して成功だったか失敗だったかは自身の力とやる気に左右されます。
特に自動車整備士の場合、資格の有無・グレードが給与や待遇に直結するため、転職のタイミングで資格を1つ上のレベルに引き上げることを意識するとよいでしょう。2級自動車整備士を持っているなら1級を目指す、整備主任者や自動車検査員の資格を取得するなど、キャリアアップに直結する資格取得を転職活動と並行して進めることで、交渉力が大きく高まります。
転職は単なる「職場の移動」ではなく、自分のキャリアを能動的に設計する機会です。現状に不満があるなら、まずは今の自分のスキルと市場価値を冷静に棚卸しして、どの転職先が最もフィットするかを考えるところから始めてみましょう。

「転職で年収が上がるのか」は、整備士が転職を考えるうえで最も気になるポイントでしょう。結論からいうと、転職先の種類と持っている資格によって、年収は大きく変わります。
日本自動車整備振興会連合会の調査によると、2024年度の自動車整備士の平均年収は約426万円で、12年連続の上昇となっています。ただし職場の種類によって大きな差があり、民間整備工場の平均が約385万円であるのに対し、カーディーラーでは約490万円と、同じ資格・スキルを持っていても年収に約100万円の差が生じています。
現在民間整備工場で働いている整備士がディーラーに転職するだけで、年収が100万円近く上がるケースは珍しくありません。「今より条件の良い職場に移りたい」と思っているなら、まずディーラー系への転職を検討してみる価値があります。
転職時の年収交渉において、持っている資格のグレードは大きなアドバンテージになります。1級自動車整備士を取得すると、資格手当として月2万〜5万円(年間24万〜60万円)の増収が期待でき、昇格による基本給アップも加わると年収の差は一層大きくなります。
特に、EV・ハイブリッド車対応の「電気自動車整備士」や「電子制御装置整備士」といった新しい資格は、2025年以降の転職市場でますます評価される傾向にあります。転職を考えているなら、資格取得と転職活動を並行して進めることが年収アップへの近道です。
自動車整備士の有効求人倍率は、全産業平均の4倍以上で推移しており、慢性的な人手不足が続いています。これは転職者にとって有利な状況を意味しています。「辞めたら次の職場が見つかるか不安」という心配は、整備士に関しては比較的小さいと言えるでしょう。
求人数が多いということは、条件交渉の余地もあるということです。1社だけに絞らず、複数の求人に応募しながら条件を比較する姿勢が、転職成功のカギになります。整備士専門の転職サイト(カーワク・整備士ドットコムなど)を活用すると、一般の求人サイトには載っていない案件も見つけやすくなります。

ただ転職するだけでなく、年収アップや働きやすい環境を手に入れるために、押さえておきたいポイントを整理します。
「今の職場が嫌だから」という後ろ向きな理由は、面接でマイナス評価につながりやすい。「スキルをさらに伸ばしたい」「EV整備に挑戦したい」「より多くの車種に関わりたい」など、前向きな動機を言語化しておくことで、面接での印象が大きく変わります。
転職活動と資格取得を同時並行できれば理想ですが、難しい場合は「資格取得後に転職」という順番が得策です。面接時に「〇月に2級整備士の試験を受ける予定です」と伝えるだけでも、意欲を示すことができます。
電気自動車(EV)・プラグインハイブリッド・先進運転支援システム(ADAS)に関する整備スキルは、2025年以降の転職市場でどのディーラー・整備工場でも求められる知識です。現職で学ぶ機会があれば積極的に取り組み、転職時のアピール材料にしましょう。「EV・ハイブリッド対応の整備経験あり」という一言は、採用担当者の目を引きます。
以上の3つのポイントを押さえて転職活動に臨むことで、単に「職場を変えるだけの転職」ではなく、自分の市場価値を高める転職が実現しやすくなります。自動車整備士は慢性的な人手不足が続く「売り手市場」ですから、しっかりと準備をすれば好条件の転職は決して難しくありません。焦らず、しかし着実に一歩を踏み出してみてください。
今回は自動車整備士の転職事情について、転職先の種類・転職方法・年収の実態・成功のポイントまで幅広く解説しました。改めて要点を整理します。
転職は自分のキャリアを能動的に設計する大きなチャンスです。今の職場に不満があるなら、まず自分のスキルと市場価値を棚卸しして、どの転職先が最もフィットするかを考えてみてください。もし他業種から自動車整備士を目指しているなら、実技中心のカリキュラムで即戦力を育てる関東工業自動車大学校への入学を、ぜひ一度検討してみてください。