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カーディーラーと民間整備工場の自動車整備士の1日の仕事の流れについて詳しく解説!

テレビドラマや映画の中で出てくる自動車整備士は、朝はタバコを吸いながらおしゃべりをして上司から『仕事始めるぞ』って言われてから仕事を始める。お昼になれば上司に『昼飯だぞ』って言われて車の下から寝台に乗って顔を出して返事をする。

実はこのシーンって実際の自動車工場ではあまり見かけないシーンなんです。

どんな職業でもドラマや映画とは違うよという話はよく耳にしますが、自動車整備士の仕事も同様にドラマや映画とは違います。

そもそも、上司に『仕事始めるぞ』って言われるまで動かない社会人は少ないですし、時間管理をできない自動車整備士は自動車整備工場内で『仕事ができない人』として扱われてしまいます。

では、実際に自動車整備士の1日の仕事の流れはどのようなものなのか詳しく解説していきます。

自動車整備工場によって変わる1日の仕事の流れと変わらない1日の仕事の流れ

(出典元 FreePik)

自動車整備工場の1日の仕事の流れはカーディーラーと民間の自動車整備工場で違ってきますし、自動車整備工場が認証工場か指定工場かによっても違ってきます。

とはいえ、自動車整備士は自動車整備工場に勤務する会社員ですので、一般の会社員と同様の行動も行います。

1日の始まりは整理・整頓・清潔・清掃の4Sから始まる!

自動車整備工場は工場という名前がついていますが、お客様が来店する普通のお店です。

皆さんは店先が汚いお店で買い物をしますか?お店の中が埃だらけのお店で買い物をしますか?トイレが汚いお店をどう思いますか?嫌ですよね。汚いお店には行きたくないですよね。

自動車整備士の朝は手分けをしてお店の至るところを掃除することから始まります。お店の開店前におよそ30分程度ですが、営業日は毎日掃除から1日が始まります。

朝からタバコを吸ったり、ジュースを飲んでゆっくりすることはありません。そもそも、お店の掃除の時間も勤務時間に含まれているので、ゆっくりすることはありません。

朝礼・昼礼・終礼を行い仕事の段取りを行う

どんな企業でも朝礼は行われているイメージはつくと思いますが、自動車整備工場では朝礼の他に昼休み後の昼礼、業務終了の定時前に終礼を行うところが多いです。

自動車の整備を行うのに、ある程度の定型作業時間は決まっていますが、実際の作業の進行状態を他の人が判断するのは困難になります。

昼礼、終礼共に工場長やサービスマネージャーが個別に仕事の進行状況を確認して、午後からの仕事の指示や残業の指示を行います。当たり前のことですが大きく進行状況が遅れている人は注意されます。

指定整備工場と認証整備工場での仕事の流れの違い

自動車整備工場は陸運局より指定を受けた整備工場と認証を受けた整備工場にわかれています。

指定整備工場と認証整備工場では必要な設備の違いや必要な自動車整備士の人数の違いがありますが、1番大きな違いは指定整備工場は自工場内で車検の検査を行うことができて、認証整備工場は車検の車両を陸運支局に持ち込んで検査を行わなければならないことです。

認証整備工場で働く自動車整備士は1日の仕事の流れの中で陸運支局に車両を持ち込む時間が必要となります。

陸運支局は各都道府県の主要都市に設置されているので、主要都市から離れた市町村の自動車整備工場では車両の輸送だけに1時間以上かかってしまいます。

繁忙期には自動車整備工場と陸運支局の往復を繰り返すだけで1日が終わってしまう日もあります。

指定整備工場では役割分担が決まっている

自工場内で車検の検査を行える指定整備工場では役割分担が明確になっているところが多いです。

始業と共に工員が預かっている車検の車両の受け入れ検査の準備を行い、整備主任者や自動車検査員が受け入れ検査を行います。

受け入れ検査を行った人は車検の見積りを作成してお客様に連絡をします。お客様の了解を得ないと車検の作業を行うことができないので、工員は了解を得られるまでの間に次の車検の車両の受け入れ準備や点検等を行います。

午後から整備主任者や工員は午前中に引き続き作業を行いますが、自動車検査員は車検の検査業務を行うので整備作業を行うことはほとんどありません。

また、新入社員の工員も車検・点検の納車準備で洗車を行うので午後からは整備作業に関わる時間が少なくなります。

カーディーラーでは分単位で1日の仕事の流れを管理している!

(出典元 テックストック)

カーディーラーは仕事の無駄をいかに無くして利益をあげられるかということに力を注いでいます。

カーディーラーで働く自動車整備士はパソコンで管理されている工程管理表に作業チップを貼り付けて仕事の管理を行います。

工程管理表は社内でオンラインとなっているため、本部や他店舗からも確認できるようになっています。

カスタマーサポートセンターや営業職の人は、お客様から点検・車検等の予約を確保できた時点で工程管理表の空いているところに隙間なく点検・車検の作業チップを貼り付けていきます。

カーディーラーの自動車整備士は仕事の流れを自己管理する

カーディーラーの自動車整備士は自分の工程管理表に貼られている作業チップを作業前に作業中表示にさせて、作業が終わり次第作業チップを終了表示にさせます。

作業チップを作動させないで作業を行うとお客様の車両が未入庫表示されるために本部や店長、工場長より確認され指導を受けます。

また、予定時間内に作業が終了しない場合、次のお客様の車両が入庫してしまうために早めに上司とコミュニケーションを取り段取りを立て直す必要があります。

カーディーラーでは2人体制や3人体制で作業を行う

カーディーラーでは作業効率を上げる為にお客様に来店していただき、お客様が待っている間に車検や点検を終わらせます。

車検は自動車検査員を含む3人体制で検査と同時進行で車検作業を行い、1時間ほどでお客様に納車します。車検をスムーズに行うためにお客様に直接交換部品を提示しながらの見積り作成を行います。

また、法定点検も2人体制で行い短時間で作業を終わらせてお客様の回転率をあげています。

エンジンオーバーホールや高難度の修理はベテラン自動車整備士が専属で行う!

カーディーラーでは車検や点検を複数人で行いますが、長時間のかかるエンジンのオーバーホールや高難度の修理はベテランの自動車整備士が作業することが多いです。

自動車検査員は車検整備を行っているために自動車検査員に次ぐベテラン自動車整備士が作業を行うことが多いです。

基本的には作業が終わるまで付きっきりで作業を行うのですが、車検や点検作業を行っている人にイレギュラーが起きた時はサポートとして車検や点検の手伝いをします。

自動車整備士の仕事は自動車の整備だけじゃない!

(出典元 写真素材 プロフォト)

自動車整備士の1日の仕事は工場内を片付けて『お疲れ様でした』で終わるイメージがあると思いますが、これは間違ったイメージです。

自動車整備工場内の片付けが終わった後、自動車整備士は車検や点検で入庫してくれたお客様にお礼と車検・点検後の調子伺いの電話をかけます。

電話かけ以外にも後日使う部品の発注や次の日の仕事の段取りを確認して準備が終わったら、1日の仕事が終了となります。

また、カーディーラーでは営業時間後に営業スタッフ、事務員を含めた店舗スタッフ全員でミーティングを行うことがあります。店舗ミーティングですので自動車整備に関係ない話も多々ありますが、店舗の利益を上げる為の大事なミーティングなので立派な仕事となります。

自動車整備士の1日の仕事の流れまとめ

(出典元 FreePik)

自動車整備工場内の仕事は時間に追われながら作業をすることが多いです。しかし、時間に追われているからといって雑な仕事をしてしまうとお客様の事故に繋がってしまう可能性があります。

テレビや映画に出てくる自動車整備士のように、自動車をゆっくり整備できたら楽なのにと思っている自動車整備士はいっぱいいると思います。

カーディーラーでは先行して分単位で自動車整備士の工程管理をしています。仕事の効率化のシステムを商売にしているベンチャー企業も沢山あります。

近い将来、民間の自動車整備工場でも分単位で自動車整備士の工程管理をする時がくるかもしれません。

仕事の効率化によって自動車整備の仕事が流れ作業に感じてしまう人もいるかもしれません。しかし、仕事の効率化によって現実に残業が少なくなりプライベートな時間が増えました。

これからの自動車整備士は時間管理をしっかりして仕事とプライベートの両立を図るのが正しい選択だと思います。