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日本では電気自動車が普及しない?その要因を徹底解説!

近年「電気自動車」という言葉が認知されてから瞬く間に世間に広まっていきました。ガソリン車からハイブリット車、ハイブリット車から電気自動車へ、そのような時代に日本もなっていくのでしょうか。ただ日本で電気自動車を普及させるのは現実的に厳しいといった声もあります。

「電気自動車を購入しようか迷っている方」「今後電気自動車が普及していくか気になっている方」も多いはずです。

今回はそんな方のために電気自動車の今後について徹底解説しておりますので、最後までご覧ください。

そもそも電気自動車って何?

電気自動車とは、電気をエネルギーにして走る車のことです。EV(Electric Vehcle)とも呼ばれています。電気自動車はバッテリーを搭載して走行しています。ガソリンがバッテリーになったと思ったらわかりやすいです。バッテリーが切れる前に必ず充電が必要になり、そこで蓄えた電力で車を走らせます。

ハイブリットやガソリンの違い

ハイブリッド車やガソリン車との大きな違いは燃料です。ガソリンやディーゼルは燃料が必要ですが、電気自動車は充電するだけで走ることができます。

10年後には全ての車が電気自動車に?

「2030年には全ての車を電気自動車にする方針」「ガソリン車の販売を今後禁止していく」このようなニュースが世を駆け巡り、多くの人を混乱させたのは記憶に新しいと思います。日本でも電気自動車の販売は始まっており、最近では軽のBEV(Battery Electric Vehicle=バッテリー式電気自動車)、「日産サクラ」が発売され、発表後3週間で1万1000台超の爆発的なヒットを打ち出しています。それでは、今後もサクラのように日本では電気自動車が普及していくのか?またニュースであったように全ての自動車が電気自動車になっていくのか?

結論、普及はしていくとは思いますが、全て電気自動車になることはないでしょう。

CO2削減に本当になるのか?

電気自動車の1番の魅力はCO2削減になることです。また普及させたい目的もCO2の排出量を減らしたいからです。ただCO2排出量を考える時、1つ注意しなくてはならないことがあります。それはリチウムイオンバッテリーです。リチウムイオンバッテリーを生産するには電力をたくさん作る必要があります。その電力が火力由来の場合は、生産する時に大量のCO2を排出してしまいます。またバッテリーが大きいほどCO2の排出量は多くなってしまうのです。これではCO2を削減するために電気自動車を普及させたいのに、普及してしまうと電気自動車に必要なリチウムイオンバッテリーの生産をすることでCO2を排出してしまうとなれば本末転倒です。

充電器の普及が進まない

電気自動車といえばガソリンスタンドにいく必要がなく、家や買い物先の駐車場でも充電ができる気軽さもメリットとしてあります。

ただ、ガソリンスタンドほど充電ができる場所の数がないので緊急時は非常に探すのが大変です。充電器には2種類があり、低圧受電と高圧受電です。現在日本では、低圧受電がほとんどで高圧受電の設置はあまり進んでいないのが現状です。

高圧受電の設置が進んでいない理由としては、電力会社との契約形態です。50kW未満であれば低圧受電契約となり、通常の200Vでの受電になります。50kWを超えると高圧受電契約となって6600Vでの受電となり、それを目的に応じて適切な電圧に変圧するためのキュービクルという設備が必要になってきます。50kWの充電器であれば約500万円で設置できるのですが、100kW級を設置しようとすれば約2500万円もの費用がかかってしまうのです。

設置費用だけでなく、受電の基本契約料も高圧受電のほうが高く、またキュービクルには定期的なメンテナンスが必要になるので専門業者と契約をしなくてはなりません。年間のランニングコストは、50kWであれば60万円程度ですが、100kWでは250万円程度かかってしまいます。

このことから、日本の充電スポットの多くが50kW以下で、かつ1基しか設置されていないところが多いという状況になっているのです。

電力逼迫問題

政府は2022年の5月、東京電力の管内に4日連続で「電力需給ひっ迫注意報」を出しました。この注意報は5月に新設されたばかりのものですが、あまりにも電力が逼迫していたため初めての発令がありました。ニュースでも大きく取り上げられていたので、覚えている方も多いはずです。

電力逼迫の要因は、6月としては記録的な暑さが連日続いたことです。あまりの暑さに冷房の使用が増えたことで電力需要が急増しました。電力需要は東日本大震災後、6月としてはもっとも高くなりました。政府も電力会社もまさかこんなに早く猛暑が来るとは考えておらず、備えが十分にできていなかったのが原因です。これは今後気温が上がっていくにつれて避けては通れない道になってきます。

電気自動車を充電するにも先ほどお伝えしたように電力を利用しなくてはなりません。例えば50kWの充電器がフル稼働しているときの電力は、エアコンの100台分に匹敵するのです。これが100kWなら200台分になります。これだけの電力を1基の充電器で消費してしまうのです。家庭での夜間充電であれば需要も少ない時間帯であり、出力も低いので問題はないのですが、急速充電は昼間の場合が多くなるので、電力需要の多い時間帯に大量の電気を必要とします。

これだけ電力を節約していこうとしているところに更に逼迫するような行動を起こすとは考えにくいでしょう。

電気自動車のメリット

電気自動車には最先端ならではのメリットが存在します。

・走行時の音が静か

・補助金が出る

・家でも充電ができる

・ガソリン代に比べて走行費用が少ない

などです。下記で詳しく解説していきます。

走行時の音が静か

やはり走行時の音はかなり静かです。ハイブリット車とはまた違った機械音がするので聞いていて癖になる方もいるはずです。乗っているだけで近未来を味わえるのも魅力の1つです。

補助金が出る

実は、電気自動車を購入すると国や地方自治体から補助金が出るんです。理由としては政府が電気自動車の普及に取り組んでいるからです。上限は85万円で軽の電気自動車の場合は55万円になります。交付条件は一定期間内に新車を購入すること、購入した電気自動車を原則4年間保有することです。地方自治体からの補助金は、現在住んでいる場所によって補助金の有無や条件が変わってくるのでしっかり確認しておきましょう。

ただ注意点もあります。

・交付の条件や金額は毎年変わる
2021年と2022年の条件は異なります。ネットにある古い情報を取り入れてしまうと誤った解釈で購入してしまう恐れがあるので必ず国や自治体のサイトで確認してから購入を検討しましょう。

・申し込みの受付は先着順
国や自治体にも決められた予算内で補助金を出していきます。そのため先着順でもらえない場合もあるので、こちらもサイトでしっかり確認しておきましょう。

・中古車・新古車は対象外

あくまでも補助金がもらえるのは、新車に限られますので覚えておきましょう。

家でも充電ができる

これは画期的です。これまでガソリンが切れそうになったら、スタンドまでいく必要がありました。これからの時代は家でスマホのように車を充電できるのです。もちろん家の電気代はかかってしまいますが、手軽さを考えると非常に便利が良いです。

ガソリン代と比べて走行費用が少ない

電気自動車はガソリン車に比べて、走行コストが安いこともメリットの一つです。ガソリン車とは異なり、電気自動車の燃料は電気なのでガソリンを入れる必要がありません。

また、電気自動車とガソリン車で同じ距離を走行した場合、一般的にガソリン代よりも電気代のほうが安くなります。

電気自動車のデメリット

続いては電気自動車のデメリットについて解説していきます。主なデメリットは

・車両価格が高い

・充電をする場所がない

・車両の種類が少ない

などが挙げられます。下記で詳しく解説していきます。

車両価格が高い

電気自動車はガソリン車と比べると車両の本体価格が高めに設定してあります。理由としては電気自動車に搭載されているバッテリーがかなり高額だからです。ただメリットでもあった補助金を駆使したり、そもそも走行費用が安いので、長い目で見ればお得になるかもしれません。どれほど車を走らせるかにもよりますね。

充電をする場所が少ない

やはり1番のデメリットは充電する場所が少ないことです。スーパーなどに充電できる場所があったりしますが、1つしかなかったりするのでお昼とかだと待ち時間が生まれることもあります。また冒頭でも述べたように設置するのにかなりのお金がいるので、一時は充電場所に困ることが増えそうです。

車両の種類が少ない

電気自動車はまだ普及段階なので、車両自体の種類が少ないのもデメリットといえるでしょう。ここ最近では電気自動車ならではの外見などが注目されてきています。こればかりはどうしようもないので我慢しましょう。

まとめ

現在、電気自動車はまだ発展途上です。今後のことははっきりと断言はできませんが、日本で完全に電気自動車に切り替えていくのは、いくら地球のためとはいえど、厳しいです。そもそもCO2に関しては、悪影響を及ぼす可能性もあります。電力の問題にしろ、新しい注意報が新設されています。夏場はかなり逼迫してきており、今後も地球温暖化の影響で気温が上がっていくことが予想されます。

このような流れの中で充電器を設置することによりさらに逼迫度が増していくようなことをするのは中々考えにくいです。よって電気自動車は完全に普及するのは難しいのが今の現状です。ただ電気自動車は国からの補助金や家で充電ができるといった便利な一面もあります。現在の環境などを考えてから検討することをおすすめします。