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1級自動車整備士と2級自動車整備士の違いとは?年収や仕事量の違いを徹底解説!

1級自動車整備士資格の試験が実施(小型自動車のみ)されるようになってから20年が経ち、カーディーラーや民間の自動車整備工場で1級自動車整備士を見かける機会も増えてきました。

今回は、1級自動車整備士が自動車整備工場内でどのような仕事をして年収がどれくらいになるのかを詳しく解説していきます。

自動車整備工場はまだまだ2級自動車整備士の方が多い?

(出典元 写真AC フリー素材)

20年前より実施されるようになった1級自動車整備士資格の試験ですが、実は1級自動車整備士は昭和26年に資格として制定されています。

現在、自動車整備工場の運営や工場の仕事の中心となっている40代以上の自動車整備士にとって、1級自動車整備士資格とは『1級自動車整備士は申請しただけで取得できる。』、『俺は申請して1級自動車整備士にしてもらった。』等と言う先輩が沢山いる都市伝説のような資格でした。

もちろん申請なんて無いのですが、『昔は本当に申請できた!』と真剣な顔で先輩が言うものだから、少し信じてしまうような不思議な資格でした。

なぜ1級自動車整備士資格の試験が20年以上前には実施されなかったのか?

1級自動車整備士資格は1級小型自動車整備士、1級大型自動車整備士、1級二輪自動車整備士の3種類に分かれています。

しかし、現在までに1級小型自動車整備士資格の試験しか実施されていない為、一般的に1級小型自動車整備士のことを1級自動車整備士と呼んでいます。

なぜ、20年以上前は1級自動車整備士資格の試験が実施されなかったのか?なぜ1級大型自動車整備士資格と1級二輪自動車整備士資格の試験は未だに実施されていないのか?

その答えを聞いて『えっ?』って思う人もいるかもしれませんが、実は1級自動車整備士と2級自動車整備士の明確な差別をつけることができないから試験が実施されてこなかったのです。

更に1級大型自動車整備士と1級二輪自動車整備士に関しては、現在も明確な差別をすることができないので、今尚、試験を実施することができないのです。

次世代カーの登場により1級自動車整備士資格の試験が実施されるようになった

自動車整備工場は2級自動車整備士が規定数在籍していれば運営を円滑に行うことができます。1級自動車整備士資格の試験が実施されるようになった現在でも、変わらず2級自動車整備士が規定数在籍していれば円滑な運営を行うことができます。

この為、長い間1級自動車整備士の必要性は無かったのですが、自動車のあらゆる部位で電子制御システムを使用している次世代カーの登場により、電子制御システムの修理のプロフェッショナルとなる資格として1級自動車整備士資格の試験が実施されるようになりました。

1級自動車整備士ってどれぐらいいるの?

1級自動車整備士資格の資格が実施されてから20年が経ちますが、自動車整備工場で働く1級自動車整備士の数はまだまだ少ない状況です。

自動車整備士全体の中で1級自動車整備士の数は10%にも満たない状況で、自動車整備工場では2級自動車整備士が仕事の中心として働いている状況となっています。

自動車整備工場で1級自動車整備士の価値はないのか?

(出典元 写真AC フリー素材)

自動車整備工場内で1級自動車整備士の価値はどれくらいあるのか?1級自動車整備士はどんな仕事をするのか?

結論を言ってしまうと自動車整備士工場内では、1級自動車整備士も2級自動車整備士も同じ自動車整備士なので同じ仕事を行います。

1級自動車整備士であっても仕事の段取りが悪かったり技術力がなければ他の自動車整備士から『仕事のできない人だ』と思われてしまいます。

逆に2級自動車整備士であっても仕事の段取りが良く技術力がある人は『凄い仕事のできる人だ』との評価を得ることができます。

自動車整備士の価値は資格よりも個人のスキルや知識、仕事の段取りにより上がります。

1級自動車整備士にメリットはないの?

これまでは、走る・曲がる・止まるに関わる部位の整備は分解整備と呼ばれていて整備中や整備後の検査を整備主任者が行ってきました。

整備主任者は2級自動車整備士資格を取得している人が事業所から任命を受けて運輸局に申請をすることで取得できる資格でした。

次世代カーの出現によって電子制御システムの整備においても途中過程や完了時の検査が必要になった為に、分解整備は特定整備と名称を変更し、自動車整備工場も特定整備を行うのに新たに特定整備工場の認証を受けなければ電子制御システムの整備を行うことができなくなりました。

特定整備工場の認証を受けるのには特定整備主任者が在籍していることが必須条件となるのですが、1級自動車整備士は特定整備主任者の試験を受けずに無条件で特定整備主任者に選任することができます。

特定整備主任者はこれから増え続ける次世代カーの整備において自動車整備工場の中心となるポジションとなるので、今後1級自動車整備士の需要は高くなると見られています。

転職の際の1級自動車整備士の価値は?

特定整備主任者の人数が不足している自動車整備工場では、無条件で特定整備主任者に選任することのできる1級自動車整備士は貴重な存在となります。

ただし、1級自動車整備士を無条件で特定整備主任者に選任できるといっても、特定整備主任者は他の整備士が行った作業の確認・検査を行う責任ある立場となるので、経験を積んだ1級自動車整備士でなければ選任されることはありません。

10年程度の経験を積んだ1級自動車整備士であれば特定整備主任者として仕事を任せることができるので、他の自動車整備工場へ転職をする場合は好条件で迎えいれてもらえます。

1級自動車整備士に求められる特殊な知識と技能

1級自動車整備士は、2級整備士の業務に加え、より高度な技術や知識が求められ、次世代車両の整備や高度な故障診断、リーダーシップなど多岐にわたる役割を担います。

・高度なメカニクス知識
エンジンの内部構造や電子制御システムの深い理解。

・高度な電気電子系統の知識
車両の電子制御システム(ECU)、センサー、アクチュエーターなどの高度な理解と修理技術。

・ハイブリッドカーや電気自動車の知識
ハイブリッドシステム、バッテリーマネジメントシステム、高電圧システムの安全管理と修理技術。

・次世代車両技術
燃料電池車(FCV)や自動運転技術に関する基本知識と整備技術。

・高度な診断技術
最新の診断機器を使用して複雑なトラブルシューティングを行う技術。

・リーダーシップとマネジメントスキル
整備チームの管理、指導、教育に必要なリーダーシップスキル。

1級整備士になるためには、実務経験を積み、専門的な知識と技術を身に付けることが必要です。

1級自動車整備士と2級自動車整備士の給料の違いはどれぐらいなの?

(出典元 写真AC フリー素材)

日本人の働いている人の平均年収が約450万円となっていますが、自動車整備士の平均年収は約400万円となっております。

自動車整備士の年収が低い要因として自動車整備の仕事の利益率が低いことや、出来高払い制・歩合制とは異なり月給制なことがあげられます。

更に、自動車整備士は経験を積むごとに給与が上がっていくので若手の年収はかなり低い状態になっています。

1級自動車整備士だと給与が多くなるのか?

自動車整備士の給料は経験を積むごとに上がっていきます。

自動車整備士を目指す人は自動車整備士養成施設の専門学校に通い資格を取得してから自動車整備工場に入社するのが一般的となっています。

新卒で自動車整備工場に入社する場合、1級自動車整備士と2級自動車整備士の年収の差は約20〜30万円程度となっています。

月収で考えるとそれほど大きな差は無いように感じるかもしれませんが、新卒の自動車整備士の平均年収は300万円に満たないのでかなり大きな差となります。

1級自動車整備士が年収を上げるのにはどうすればいいの?

1級自動車整備士資格が年収を上げるには自信の知識や技術力を上げる以外に方法はありません。

これは1級自動車整備士に限らず、2級自動車整備士も同じで自動車整備工場内でいかに仕事をして自動車整備工場の利益をもたらすかによって年収も変わってきます。

新卒の1級自動車整備士より技術力・知識で勝るベテラン2級自動車整備士は沢山います。むしろ、自動車整備工場に入社して数年で追いつけるようなベテラン2級自動車整備士は、ほぼ、いません。

そのベテラン2級自動車整備士の人達に並び追い抜いて『流石、1級自動車整備士だ』と言われるようになった時に自然と年収も上がっているハズです。

1級自動車整備士資格と2級自動車整備士資格、取得するならどっちがいいの?

(出典元 写真AC フリー素材)

ここまでに1級自動車整備士のこれだというようなメリットをあげなかったのですが、現在の自動車整備工場において1級自動車整備士の大きなメリットは残念ながらありません。

しかし、自動車整備士として将来を見据えているならば、1級自動車整備士資格は間違いなく必要な資格となってきます。

空を飛ぶ自動車の開発や無人運転の自動車等、進化を遂げ続ける自動車。これらの自動車を整備するのに1級自動車整備士だけが整備できる部位等が今後増えてくると思われます。

なので、これから自動車整備士を目指す人は1級自動車整備士資格の取得を目指しましょう。

1級自動車整備士になるにはどうすればいいの?

1級自動車整備士資格を取得するには自動車整備士養成施設の専門学校に通うのが1番の近道となります。

自動車整備士養成施設の専門学校では4年制の1級自動車整備士コースに通うことで1級自動車整備士資格の試験合格を目指します。

関東工業自動車大学校は実技講習メインで1級自動車整備士資格の取得を目指す!

自動車整備士養成施設の専門学校の2級自動車整備士コースは2年制となっています。同じ年度に入学した2級自動車整備士は2年先に自動車整備工場に入社し、現場で知識・技術力を磨いていきます。

1級自動車整備士コースに通っている生徒が残り2年間専門学校で勉強している間に、2級自動車整備士コースを卒業した生徒は現場の仕事をこなすことによってもの凄いスピードでスキルアップしていきます。

そのスキルアップの差を最小限に抑えるには実技講習が多い専門学校を選ぶ他にありません。

関東工業自動車大学校では、1年間の授業の8割が実技講習になっているので、2級自動車整備士との差を最大限に抑えることができます。

1級自動車整備士と2級自動車整備士の違いまとめ

(出典元 写真AC フリー素材)

1級自動車整備士資格も2級自動車整備士資格も自動車を整備する為に必要な資格です。

自動車整備士としての成長は、資格を取得して終わりではなく資格を取得してからが始まりです。

プロ野球のドラフト1位が1級自動車整備士、ドラフト2位が2級自動車整備士、始まりの年俸に差はありますが10年後はどうでしょう?もちろんチームに貢献した人の方が年俸が高いですよね?

1級自動車整備士資格を取得しただけで満足して自身のスキルアップを怠れば年収が上がらないどころか、自分よりも後に入社した2級自動車整備士に年収が追い抜かれるなんてことも充分あり得ます。

そうならないように、1級自動車整備士として自動車整備工場で創意工夫しながらスキルアップをして、現場の中心人物となる。それこそが本物の1級自動車整備士だと思います。

関東工業自動車大学校について

関東工業自動車大学校では自動車整備に関するイベントを随時開催中。学校を卒業したOBからリアルなお話を聞ける機会も多数ご用意していますので、ご興味ある方は一度ウェブサイトを覗いてみてください。

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