KANTO Industrial College

自動車整備士から転職したくなったら・・・どんな仕事なら転職できる?

上昇志向、職場への不満など人により理由はさまざまですが、転職したくなることは誰にでも、どんな業界でも常にあることです。

自動車整備業界であっても、根本的に変わったりはしません。

整備士として働いてきた人が別の職種に行きたい場合、どんな業界だったら転職可能でしょうか。

整備士の、異業種への転職を中心に追ってみます。

どんなとき転職したくなる?

仕事を、さらに整備士を辞めたくなる理由はいろいろです。前向きのものも、後ろ向きのものもあります。

特に自動車整備士の場合は、こんな理由が考えられます。

・向いていないと感じる(他の業界に適性があるかもしれない)

・給料が低く、今後上がる見込みが乏しい

・業界時代に停滞と、今後の可能性の薄さを感じる

・休日などシフト面の不満

・職場の人間関係への不満

・クルマ好きの資質を他の仕事で活かしたい

自動車整備業界の給与体系は、あらゆる調査を参照しても世間水準から見て低いのが事実です。

しかも残業が多く、休みも自由に取りづらいとなると、不満もたまるところです。

それでも整備士として順調にステップアップしていけて、給与や待遇が上がっていくなら辛抱し甲斐もあるわけです。先輩の姿を見て、理想と現実がほど遠いように思えたとき、仕事そのものに見切りを付けたくなる人も出てきます。

整備士のスキルに自信がなくて転職希望という人も、逆に自信があるからこそ転職したいという人もいます。

転職の理由を明確にする

自分自身にとっての転職活動を成功させるためには、「仕事が嫌」や「楽しくない」などでの勢いに任せた転職ではなく、しっかり目的を持った転職を行いましょう。

ディーラーでの転職理由として多いのは、「給料が低い」や「働く環境が悪い」などネガティブな理由が多く上がります。
その転職理由からもう一歩踏み込み、「給料をいくら以上にしたい」や「設備の整ったディーラーで働きたい」など、転職で自分の目的を明確にしましょう。
そうすることで、転職を闇雲に転職先を探し失敗をしてしまう確率を下げることに繋がります。


転職を考えた際には、勢いだければなくしっかり目的・やりたいことをしっかりと立ち止まって考えてみましょう。

転職しないならどうする?

働いていて、職場や仕事内容に不満を覚えるのは誰にでもあることです。

不満の解消を真剣に考えた場合、転職という選択肢は、唯一のものではありません。実際、多くの不満は新しい職場にも必ず存在します。

自動車整備士が、職場への不満を転職せずに解消しようとするなら、どんな選択肢があるでしょうか。

一例として次のステップアップ手段が考えられます。

・自動車検査員を目指す

・1級自動車整備士を目指す

それぞれ見てみます。

自動車検査員

自動車検査員は、車検をチェックする大事な職務です。

検査員は国の仕事を請け負うみなし公務員でもあり、社会的重要度も高い職種です。

検査員になるためには、次の条件を満たさないといけません。

・2級以上の自動車整備士(シャシを除く)として指定整備工場(民間車検場)で勤務している

 ・整備主任者として1年以上の実務経験と、整備主任者研修の受講を完了している

・自動車検査員教習を4回受講している

・自動車検査員教習試験を受験し、合格する

・地方運輸局に検査員として届出

このとおり検査員になるには、ステップとして職場において整備主任者に就任していないといけません。

「いきなり検査員になって転職する」ことはできません。職場で働き責任を任されつつ、しっかりとしたステップアップを目指しましょう。

1級自動車整備士

自動車整備工場においては、整備士の資格は2級があればほぼ十分です。

2級があれば、整備主任者にもなれ、試験を受けて検査員(2級シャシを除く)を目指すこともできます。

2級の上の1級自動車整備士は非常に難関ですが、現状整備工場においてはオーバースペック気味かもしれません。

とはいえ、業界でステップアップするつもりなら、1級を目指すのは決して悪くない考え方です。

1級があればすべてのクルマの整備ができますし、最近の複雑な電気系統もすべて見られます。自動車のコンサルティング要素も強い資格です。

若いうちに1級を取得しておけば、自動車メーカーの開発など、高度な仕事に就ける可能性もあります。

そうでないとしても、クルマについてわからない部分がないというのは、仕事を続けるうえで大きな自信になるでしょう。

転職をすることでのメリット

自動車整備士が転職するメリットをまとめました。
1、収入が増える可能性がある
2、新しい人間関係を作れる
3、新しいキャリアを積む事ができる

1.収入が増える可能性がある 別の企業や整備工場や、他業種へ転職する場合もですが、現在よりも給与が高い企業を選ぶことで収入はアップします。 自分が求める条件などを明確にして、給与の高い求人企業に向けて就職活動を検討してみましょう。

2.新しい人間関係を作れる 自動車整備士の転職理由比較的多い理由では、「人間関係でのストレス」があります。 職場の先輩や上司のパワハラや、スタッフ同士での不仲などがあります。 転職を期に、人間関係の悩みやストレスから開放される期待も持って転職活動を行いましょう。

3.新しいキャリアを積む事ができる 同じ業種での転職でも企業や工場によって、多少なり作業の進め方などが違いが出てくると考えられます。 場合によっては、新しい部署などへの配属も出てきます。 これまで培った技術に新しい手法などを身につけることで、スキルアップに繋がると考えます。

どんな職場になら転職できる?

整備士からどんな職場・職種に転職できるでしょうか。

検証しましょう。

整備士と関係ない職場に転職できる?

整備士とどれだけ関連の高い仕事に移りたいかは、人によってさまざまです。

まったく関係ない業種、職業でも構わない、むしろそちらに行きたい人もいるでしょう。

前職とまるで関係ない仕事に就くのはキャリアのムダ使いだし、もったいないと思う人もいるでしょう。これについては、必ずしもそうとは言えません。

組織に属し、指示命令を受けて働いた経験自体は、他の仕事でも役立ちます。

整備士にも他の仕事にも、次のような共通点が存在します。

・問題点を発見して速やかに解決する

・スケジュールを立てて、計画的に業務を遂行する

・チームワークで推進する

・部下や後輩の仕事を把握し、管理し適切なアドバイスをする

こういった経験を活かせば、転職のチャンスは十分あります。

ただし転職先で、自分よりもさらに若く、その道のキャリアを積んでいる人がいることは当然わきまえておいたほうがいいでしょう。

公務員

業界未経験でも転職できるのが公務員です。

公務員の仕事をすでに経験しているという人はいないので、気後れする必要はありません。整備士経験者が不利ということもありません。

公務員になるためには、試験を突破しなければならないので、勉強が必須です。

この点で頑張れる人なら、ハードルは比較的低いものです。

次のような公務員など、検討に値します。

・警察官や消防官、刑務官等

・市役所

整備士から転職したい理由の中に、「体育会系の風土自体が嫌い」「これ以上の体力に自信がない」という人もいます。

このような理由で転職したい人でないのなら、意外と警察などに適性があるかもしれません。典型的な上意下達の世界です。

サービスエンジニア

エンジニアにも様々な分野がありますが、機械のメンテナンスをするのがサービスエンジニアです。

オートメーション化で、製造や検査にかかわる人員を減らせば減らすほど、忙しくなるのがサービスエンジニアというものです。

扱うものは自動車ではないものの、自動車整備士との共通項は多いでしょう。機械の保守・メンテナンスを行い、そして機械がきちんと動かない原因を突き止めて、解決する仕事です。

この職種も、最新の技術を把握するため、常に勉強が必要です。この点も整備士と似ています。

ただ、自動車と大きく違う点があります。

顧客と、直接対面するのが仕事の大部分だということ。

コツコツ働く裏方に見えても、顧客サービスの最前線に出る仕事です。

カーディーラー

整備士の中でも、ディーラー整備士は比較的待遇もよく人気です。

残業や休日については、融通の利かない場合もあります。

転職でこちらを目指す道は、整備工場で働く人にも見通しやすいものです。職場には不満があるものの、整備士自体に不満があるわけではない人にとっては、最適な転職先ではないでしょうか。

ただ、整備士経験を活かす道はディーラー整備士だけではありません。

ディーラーの営業職にも、整備士の経験は活かせます。こちらを目指すのもいいでしょう。

ただし当然ながら、顧客との円滑なコミュニケーションが、他の職種以上に強く求められます。顧客に最適なクルマをすすめて喜んでもらう、コンサルティングのスキルも重要です。

当然、裏方だけやっていればいいという人には向きません。

新車だけでなく中古車ディーラーもまた、整備士経験が活きる職種のひとつです。

運転手

バス会社やタクシー会社、運送会社にも整備士の仕事があります。そちらに転職したい人もいるでしょう。

整備の仕事ももちろんいいのですが、クルマが好きで、運転が好きな人なら、自分で運転してしまうという手もあります。

タクシー、バス、トラック等、運転手の仕事はいろいろあります。運送主体のトラック運転手を含めていずれもサービス業なので、黙々と運転だけしていればいいというわけにはいきません。

大きなやりがいとともに、サービス業ならではのストレスが当然にある点はわきまえておきましょう。

自動車大学校等、専門学校の講師

専門学校に2年通い、自動車整備士2級を取得してから整備業界に入った人が増えてきています。

かつて学校に通った人なら、教える側に回るのも、面白いのではないでしょうか。

安定していますし、休みも比較的きちんと取れます。

求人の数は決して多くないものの、整備士資格を活かせる職場です。

気を付けたいのは、現代の教育機関は、頭ごなしではダメということ。広い意味ではサービス業であることを理解しておかねばなりません。

自動車教習所の教官

クルマ好きで、教え好きなら、誰でも通った教習所の教官を目指す道もあります。

自動車教習所の教官になるためには、まず教習所に採用される必要があります。指導員候補として求人が出ている場合が多いです。

入社してから多くの研修と試験を受ければ、晴れて指導員としてデビューできます。

自動車業界に関連したIT職種について

近年では自動車業界でもITスキルの需要が増えています。例えば、自動運転技術関連や車両診断ソフトのサポートエンジニア、データ解析職など整備士の経験が活かせるIT職種もあります。

自動運転技術の開発サポート

概要:自動運転技術の開発やテストでは、車両に関する深い知識が必要です。整備士の知識は、車の構造や動作についての理解が深いため、テストエンジニアや評価エンジニアとして活躍しやすいと考えられます。

求められるスキル:基本的なプログラミングスキル(Python、C++など)、センサー技術や通信技術の知識、データ処理のスキルが役立ちます。

業務内容:自動運転車両のセンサーやカメラの動作確認、試験走行データの収集と分析などが主な仕事です。トラブルシューティングやメンテナンスも含まれるため、整備士のスキルが活かせます。

車両診断ソフトウェアのサポートエンジニア

概要:診断ソフトは、車両の故障原因を特定するのに欠かせません。整備士は診断経験が豊富なため、ソフトウェア開発チームやサポートチームで、その経験を活かしてシステムのテストや導入支援を行えます。

求められるスキル:車両診断プロセスの知識、基本的なIT知識(OS、ネットワークの基礎)、デバイス設定のスキルなどが必要です。

業務内容:診断ソフトのサポートや、現場でのトラブル対応を行います。ソフトウェアやシステムの不具合対応や、お客様からの問い合わせに答える役割です。特に整備士としての経験が役立ちます。

データ解析エンジニア

概要:自動車の走行データや故障データを解析することで、予防整備や車両の改善に役立てる職種です。整備士の視点でデータを読み解くことで、効果的な対策を提案できるため需要があります。

求められるスキル:データ分析に関する知識(Excel、Python、Rなど)、統計の基礎知識、データベース管理(SQLなど)です。データ解析の実務経験があると強みになります。

業務内容:収集したデータから、故障パターンや最適なメンテナンス時期を分析します。ビッグデータを用いて車両のパフォーマンス向上や、安全性向上のための対策を立案します。

テレマティクス技術者

概要:テレマティクスは、車両の通信技術(GPS、通信モジュールなど)を利用し、車の状態や位置情報をリアルタイムで管理するシステムです。整備士としての知識を活かして車両やシステムのモニタリングや管理を行うことができます。

求められるスキル:ネットワークや通信技術(Bluetooth、Wi-Fi、セルラー通信)、基本的なIT知識(サーバー、クラウド)、GPSや地理情報システム(GIS)に関する知識です。

業務内容:車両に搭載されたセンサーやモジュールの状態をリアルタイムで監視し、不具合を検出します。車両と通信するシステムの設定や運用、問題発生時のトラブルシューティングも行います。

エンベデッドシステムエンジニア

概要:自動車の電子制御システム(エンジン制御、ブレーキ制御など)を設計・開発する仕事です。整備士は、車の構造やシステムの知識があるため、制御システムの設計やテストを担当するポジションで有利です。

求められるスキル:組み込み開発の知識(C言語、リアルタイムOS)、電気電子の基礎知識、車両構造の知識が役立ちます。

業務内容:車両制御用のソフトウェア設計やプログラムの実装、システムのテスト、トラブル対応などが主な業務です。

転職先は意外とあるが、決断は慎重に

整備士の仕事で転職する人も多数いるのですから、一度異なる業種に行ってみるのも長い人生、悪いことではありません。

ただし、転職は賭けで、失敗する人も多数います。

現状の不満が、転職以外で解決しないか、また前向きな転職かそうでないかも含め、じっくり後悔のない決断をするようにしてください。

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