自動車整備士として年収1,000万円到達は可能なのか?
年収1,000万円とは、なかなか素敵な響きですね。
好きな仕事をして年収がこの大台に到達するなら、言うことはないでしょう。
この記事では、自動車整備士で年収1,000万円を達成することが可能なのか、そして可能ならどんな方法があるかを考えます。
1,000万円の年収を得たいという目的に、肉付けをしてみましょう。
次のテーマについてそれぞれ考えます。
・本当に年収1,000万円欲しい?
・自動車整備士で年収1,000万円を本当に目指したい?
・年収を上げる前になにをすべき?
それぞれ見てみます。
お金持ちになりたいと思うのは、不自然なことではありません。
1,000万円の年収ではお金持ちといえるかどうか微妙ですが、それでも一般的な人よりは豊かです。
ところで、普通に働いていて年収1,000万円を突破できるでしょうか。
令和2年分の国税庁データによると、給与所得者の年収平均は、433万円です。
平均が400万円台ということは、300万円台の人も多数います。
そんな中、1,000万円という数字がどれだけ突出したものかおわかりでしょうか。
年収400万円の人が95人いて、1,000万円の人が5人いるときに、平均給与が430万円になる計算です。
もちろん実際にはこんなに単純ではありませんが、それでも年収1,000万円が平均からどれだけ抜けているのか、多少イメージがつくのではないでしょうか。
年収1,000万円以上の人の割合のデータも国税庁にあって、4.6%ということです。こちらは給与所得者に限定されていない数字のため、経営者が多く含まれます。
ちなみにこの恵まれていると思われる人たちが自分自身を豊かだと感じているかというと、そうでもないようです。
高い年収の人にとっては、高めの生活水準を維持する必要があるのです。
子供の教育費で生活を圧迫されてキツいという声は、この年収層からは意外なぐらい多いものです。
年収が高いと税金も高く、そして私学補助が下りなかったりもするので、一般人の想像ほど大きな差がついているわけでもありません。それは知っておくといいでしょう。
さて自動車整備士といえば、年収が低めのイメージがあります。
実際には、国が待遇を強化しようと懸命になっている職種であり、これから先は期待できる職種でもあります。
そして今でも、人気のディーラー整備士は決して悪くはありません。
自動車整備士の給与データです(2019年自動車整備白書)。
・自動車整備員全体の平均給与・・・392万円
・ディーラー整備士の平均給与・・・461万円
ディーラー勤務に関しては、日本の平均給与を上回っています。
とはいえカーディーラーであっても、給与所得者である以上、年収1,000万円ということはまずありません。
輸入車ディーラーの責任者になれれば、不可能ではないかもしれません。
整備士の地位向上のため頑張りたいといっても、無限に給与が上がっていくような業界ではないのです。そして、それは多くの業界と同じです。
真に年収1,000万円を目指すなら、次のいずれかが求められます。
・経営者になる
・高収入の得られる職種に転職する
どちらも、「自動車整備士」そのものではありません。
1,000万円には行かないでしょうが、カーディーラーで営業職に転じれば収入は上がることも多いでしょう。これもやはり、整備士そのものではありません。
つまり、自動車整備士経験を活かして次のステップに活かすのなら、年収1,000万円を得ることはあり得ない話ではありません。
いっぽう、自動車整備の仕事のまま1,000万円を得ようとするなら、それは目標がおかしいと言わざるを得ません。
お金持ちになりたいと思ったときは、そもそもなぜ自動車整備士を目指したのか、たまに思い出してみたほうがいいでしょう。
仕事を選択しようとした際に、お金のことばかり考えていたでしょうか?
好きな整備の仕事で高収入を得たいと思う方もいるでしょうが、そう簡単には行かないことを見てきました。
1,000万円という目標設定が妥当かどうかはさておいて、高い収入が欲しいのなら、最初に考えるべきことは次の通りです。
・自動車整備士になるなら、この業界でなんでもできるようになる
・整備士にとらわれず、経験を活かした将来設計を考える
・将来目標と、整備士の仕事がどうリンクするかを考える
夢を追うのもいいのですが、まずは目先の仕事をきちんとして、なんでもできるようになりましょう。
そして、出世コースから外れないよう、人間関係も重要です。
非常に危険な考え方をひとつご紹介します。「どうせ独立して、そちらで成功してお金持ちになるのだから、今の仕事や人間関係なんてどうでもいい」。
大きな間違いです。ひとつの分野で仕事を完璧にこなせなかった人が、別の分野に移って成功することはほぼありません。
仕事の向き不向きの問題以前です。中途半端な仕事のままだとどこに行っても結局同じことになり、そして投げ出すことになります。
ある業界で不十分なスキルしかない人が、高収入を得られることはありません。
逆に、ひとつの分野を極めた人は、別のジャンルでもやっていけるようになるものです。
安易に高収入を目指す前に考えるべきことを確認しました。
とはいえ、収入を高くする方法を考えておくのは悪いことではありません。現在の仕事をきちんと進めつつ、その延長線上で将来をとらえておけばいいのです。
整備士からステップアップして年収を上げる方法として、なにがあるでしょうか。見てみましょう。
整備士を続けながら経営もするというなら、整備工場の経営はいい方法でしょう。
ガソリンスタンドや中古車ディーラー併設というやり方もあります。
ただもちろん、経営は決して簡単ではありません。
顧客も、労働者も確保しなければなりません。
そして最も大事なことですが、労働者だけ働かせておいて高収入が得られるようなことはありません。自らがよく働き、きちんと給与を支払った上での高収入であることをお忘れなく。
自分だけでなく、労働者の面倒を見ないと経営は成り立ちません。
カーディーラーの整備士は、異動でしばしば営業に回ります。
クルマの構造に詳しい人が求められているためです。
多くの場合年収が上がるので、ここで異動を嫌がっていてはいけません。そしてどうせ営業になるなら、トップセールスマンを目指しましょう。
職種を変えるなら、サービスフロントもあります。カーディーラーを訪れた顧客への対応を最初にする仕事であり、整備士からの転身も多い仕事です。
そして、社内で出世していきましょう。現場から、経営にも目を向けていく必要があります。
自動車整備士からの転身先として人気があるのが、損保会社に勤めるアジャスターです。
保険事故の調査をする資格です。
資格には5つのランクがあり、最上級は2級です。
アジャスターは最終的には独立して働けるため、年収が上がる可能性もあります。
1,000万円とまではいかないかもしれませんが、経験を積めば平均的な給与所得者より多い600万円以上を得られる可能性もあります。
見てきた通り、あらゆる職種と同様ですが、安易に年収1,000万円を得る方法などありません。
地道にしっかり働いて、人からの評価を得ながら、さらに先を見据えて行動していきましょう。