ご自分の仕事の「職業分類」についてご存じですか。
日頃は気にしなくていいのですが、記載を求められる機会がたまにあります。実際のところ職業分類などといった難しいものでなく、「職種」と「業種」がわかれば十分です。
リクルートサイトに登録する際、クレジットカードやローンを申し込む際など、ご自分の従事する(あるいは志望する)職業について、分類された職種や業種を記載(選択)する必要があります。
日頃意識しない分、職業分類のどこに該当するのか、わからなくなっても不思議はありません。
そして自動車整備士の場合少々複雑な点もあります。自動車整備士の職業分類について確認していきましょう。
自動車整備士に限らないことですが、書類を書く際など、なにを求められているのか判断がつかないことがあります。
以下の3つの言葉の違いについて整理しましょう。
・職種
・業種
・職業分類
・(参考)産業分類
・職種・・・実際の仕事内容の区分(勤務する職場によって左右されない)
最初に「職種」です。
職種とは、実際に働く仕事の分類です。
自動車整備士として働いている人の職種は、そのまま「自動車整備士」です。履歴書の職歴において、今まで従事していた職種や、希望する職種については自動車整備士と書きます。
ところで、一口に自動車整備士と言っても、実際の勤務先は多岐に渡ります。
カーディーラー、整備工場、ガソリンスタンド、バス営業所、タクシー営業所、空港などさまざまですが、どんな職場であっても自動車整備業務をしていれば、職種はいずれも自動車整備士です。
派遣で働いていたとしても、自動車整備士です。
中にはひとつの職場で複数の業務を掛け持ちする人もいますが、その場合でも職種は「本業」について判断します。業務が半々でどちらともいえない場合もあるでしょうが、そんなときは都合のいいほうを記載しておいて構いません。
自動車整備士しか勤務していない職場というものは少なく、間接部門(経理等)をはじめとする、違う職種に従事している人もいるのが普通です。
カーディーラーなど、この典型例です。営業やサービスフロントといった人たちも働いています。
「サービスフロント」という、来客対応を最初に行う仕事は、職種の分類をすると「受付事務」となります。
受付事務と一口にいっても、世には様々な職種があるということがわかります。
・業種・・・勤務先の事業内容の区分(実際の仕事内容によって左右されない)
次に「業種」です。
職種も業種も似たようなものと思うかもしれません。
ほぼ同じ場合もあるのですが、多くの場合はまったく異なるものが該当するので気を付けてください。
業種とは、勤めている組織の分類であり、個人に付随する分類ではありません。
多数の業務を広く実施している企業もあるものの、それでも業種は通常、ひとつです。複数の業務がある場合、主たる業務について業種を判断します。
自分自身が自動車整備士であることと、業種とは直接関係ありません。
業種は、職場の営業目的ごとに変わります。自動車整備士の職場の場合、次のようになります。
・自動車整備工場・・・自動車整備業
・カーディーラー・・・小売業
・ガソリンスタンド・・・小売業
・カー用品店・・・小売業
・バス営業所・・・陸運業
・タクシー営業所・・・旅客輸送業
整備工場に勤める整備士なら、職種と業種が一致しますが、それ以外はバラバラです。
カーディーラーの場合、本来業務は自動車を販売することです。
そのため、自動車整備士の仕事をしていても、ディーラーに勤めているならその組織の業種は「小売業」となります。
職種を問わず、その従業員は勤務先の業種を「小売業」または「自動車小売業」と記載することになります。
派遣で働く自動車整備士の場合はどうなるかというと、業種は派遣会社について判断します。
つまり、人材派遣業となります。
クレジットカードやローンの申請の場合、正しくこう書かないとなりません。
・職業分類・・・職種を類型的に分類し、名称とコード番号を付けたもの
・自動車整備士の職業分類(項目名)・・・「自動車整備・修理従事者」
・自動車整備士の分類コード・・・553
この「職業分類」が必要な機会はほとんどないと思われます。
とはいえ、「自動車整備士である私の職業分類はなんだろう」と、調べる機会はあるかもしれません。
検索の結果、職種と業種ばかり出てきたと思っている方もいるかもしれませんがそれで充分です。
職業分類、正確に言うと「日本標準職業分類」とは、あらゆる職業を類型的に分類したものです。
こちらは「職種」についての分類であり、「業種」は直接関係ありません。
業種についても大分類があり、「日本標準産業分類」と言います。こちらは後述します。
あまり使う機会はない職業分類ですが、せっかくなので少し見てみます。
日本標準職業分離では、「自動車整備・修理従事者」の定義はこうあります。
≪自動車のエンジン・車体・シャシー・車体部品などの整備・修理の仕事に従事するものをいう。
ただし、内張関係の修理・塗装の塗り替え・ガラスの入替えの仕事に従事するものは含まれない。≫
これに該当する職種の「事例」は次の通りです。
・自動車整備工
・自動車シャシー整備工
・自動車車体整備工
・自動車エンジン整備工
・自動車整備士
・自動車電気装置整備士
・自動車車体整備士
・自動車タイヤ整備士
・自動車修理工
・自動車エンジン修理工
・オートバイ修理工
自動車整備士も細かく分けるといろいろな分野があるわけですが、それでもひとつの職種、ひとつのコードに収まるわけです。
いっぽうで、「自動車整備・修理従事者」に該当しない隣接職種の例も、日本標準職業分類に取り上げられています。次の通りです。
・板金加工職(526)
・タイヤ修理工(538)
・内張修理工(539)
・自動車塗装工(591)
・自動車ガラスはめ込工(669)
カッコ内は、該当する職業コードです。
これらの職種を兼任している自動車整備士は、もし職業分類が必要ならば業務の比重の高い方を選ぶことになります。
職種が職業分類と対応しているように、業務についても対応する分類があります。産業分類(日本標準産業分類)です。
こちらが必要になることは、職業分類以上にないので、興味がなければ読み飛ばしていただいて構いません。
自動車整備士の職場の産業分類は次のようになります。4桁のものは、末尾の1桁が細分類となります。
・自動車整備工場・・・自動車整備業(891)
・カーディーラー・・・自動車小売業(591)
⇒ 細分類だと、新車ディーラーは5911、中古ディーラーは5912
・ガソリンスタンド・・・燃料小売業(6051)
・カー用品店・・・各種商品小売業のうち、その他の管理,補助的経済活動を行う事業所(5609)
・バス営業所・・・一般乗合旅客自動車運送業(431)
・タクシー営業所・・・一般乗用旅客自動車運送業(432)
職業分類について調べたかった方もおいででしょう。
自動車整備士にとっては、職種と業種さえわかればほぼ用が足ります。 カーディーラーのような多くの職種の従業員が混在している職場の場合、職種と業種が異なる例が多いので、それだけ気を付けてください。
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