時代は令和になり社会の情勢は昔に比べると大きく変わってきました。インターネットの発達により個人の意見が反映され、コンプライアンスに取り組む企業が大多数を占めるようになってきました。今まで常識だったことが非常識となる時代がきています。
時代の流れに伴い、これまで男性社会と言われてきた職種でも女性が活躍できる環境が整い始めています。自動車業界でも女性が活躍できる環境が整い始めて、実際に活躍している女性も増えてきました。
(出典元 KURUMAYA NET)
自動車が好き、自動車整備士の仕事に興味があるけど、普段どんな仕事をしているんだろうと思っている女性の為に自動車整備士の仕事を簡単に紹介していきます。
「点検整備」は自動車整備工場でのメインとなる作業になります。点検記録簿の内容に沿って点検を行い、消耗部品等の交換作業を行います。
自動車整備工場に入社した際は先輩に教わりながら「点検整備」を覚えていくことが最初の仕事となります。「点検整備」を覚える過程で工具の使い方や消耗部品の交換等の基本的な作業をしっかりとマスターしていきます。
自動車整備工場の仕事は主に「点検整備」と「一般整備」に別れます。
「一般整備」は「点検整備」以外の自動車整備全般の呼称で作業内容は多岐にわたり、ナビゲーションやオーディオ等の用品取付けや不具合のある自動車の故障原因を探求して不具合部品を交換したりします。また、事故車を修理する板金塗装作業も「一般整備」に分類されますが自動車整備工場で作業をすることはほとんどなく、自動車板金塗装工場での作業となります。
「点検整備」に比べて「一般整備」は高い知識と技術力と経験力が求められます。また、自動車板金塗装業に就職を希望する場合は、自動車整備工場に併設されている自動車板金塗装工場に就職するか、単独で経営をしている自動車板金塗装工場に就職をして経験を積んでいくことになります。
「点検整備」、「一般整備」共に走る・曲がる・止まるの重要な保安部位の整備を行うことがあります。これを「分解整備」と言い、2級自動車整備士以上の資格を保有している者が作業をすることができます。無資格者や3級自動車整備士が「分解整備」を行う際は整備主任者の指導・検査が必要となります。
「分解整備」はお客様の命を守る重要な作業になるので、高い技術・知識・経験力が必要となります。
(出典元 フリー素材イラストや)
20年近く前まで自動車整備工場で働いている女性は事務職が殆どで、カーディーラー等では自動車整備士はおろか営業職も男性社員ばかりで男性の職場という感じでした。女性の自動車整備士が存在していなかったわけではないのですが、実家が自動車整備工場を営んでいる人が手伝いをしている程度でした。
近年になり自動車整備工場での働く環境が変わり女性社員も増えて、カーディーラー等では新車の見積もりを女性社員が行っていたり自動車の整備内容の説明を女性の自動車整備士が行う姿も目にするようになってきました。中には女性が店長や工場長を務めている店舗まであるようになってきました。
自動車整備士の全体の人数が約33万人に対して女性の自動車整備士の人数は約1万人となっており、自動車整備士の約3.3%が女性の自動車整備士となります。
現在、自動車整備工場では自動車整備士不足が深刻化しており、ここ数年自動車整備士の人数に変化が無く女性自動車整備士の人数も1万人前後を推移しています。
女性自動車整備士は10年前、20年前に比べて僅かながらに増えているものの前述の通り近年は大きな人数の変動は無く横這い状態となっております。
女性自動車整備士の人数は横這い状態が続いていますが、女性自動車整備士の活躍の場が広がっているのは確かです。実際にこれまでに自動車整備士資格を取得しているものの実務に就いている女性は少なかったのですが、自動車整備工場の仕事の効率化、整備機器・工具の進化により、力仕事がメインであった自動車整備工場での仕事も女性が活躍できる環境が整ってきました。
(出典元 長崎県自動車整備振興会)
自動車整備工場の仕事環境の変化に伴いカーディーラーを中心とした自動車整備工場では女性の自動車整備士を積極的に採用しています。近年では同期に数名の女性自動車整備士がいるなんてことも珍しく無くなってきました。
何故、積極的に自動車整備工場で女性自動車整備士を採用するのか?もちろん、自動車整備工場にとってメリットがあるからです。
自動車整備工場で積極的に女性自動車整備士を採用する理由の1つとして仕事が丁寧だからというのが挙げられます。
語弊があるように聞こえるかもしれませんが、男性の仕事が丁寧では無いという意味ではありません。お客様の車を丁寧に扱うことは男女問わず自動車整備士にとって当然の義務です。
では、女性自動車整備士の仕事のどこが丁寧かと言いますと、それは仕事効率化に関わる部分が丁寧なんです。自動車整備工場に関わらず整理・整頓・清潔・清掃は企業にとって大事なスローガンなのですが、男性社会だと雑になりがちになってしまいます。実は整理・整頓・清潔・清掃は仕事の効率化に大きく影響していて整理・整頓・清潔・清掃がきちんとできる女性は仕事全体を丁寧にこなし仕事の効率化を上げてくれる存在なのです。
人にはそれぞれ得手不得手があります。
これまでに自動車整備工場では1人で1台の自動車を整備することが主だったのですが、カーディーラーを中心に作業効率を上げる為に複数人で1台の自動車を整備するようになってきました。その場で終わる待ち車検も複数人で作業をすることによって作業可能となりました。複数人で1台の自動車を整備することによって得手不得手をカバーし合えるようになったのです。
女性自動車整備士にとって得手不得手とは何か?もちろん力仕事では男性が優位になります。力仕事やスピード仕事が得意な男性自動車整備士ですが、細い作業が苦手という人が多数存在します。その細い作業こそ女性自動車整備士が男性自動車整備士に対抗できる武器になるのです。
自動車の整備には車の室内に潜って行う作業やセンサー類の配線の修理、室内の用品の取付け等、力を要さない作業が沢山あります。こういった細い作業を得意とする女性整備士を自動車整備工場は求めています。
男性の脳は結果を求めて、女性の脳は共有を求めると言われています。これは原始時代に男性は狩りを成功させる為に結果を求めて、集落に残された女性は獣が襲って来た時にすぐに逃げられるように他の人と会話をして共有していたことの名残だと言われています。
自動車を整備するうえで正常か異常かの判断をして結果を求めることは重要なことですが、お客様がこれも気になってるんじゃないかな?と気付いてお客様と共有することは企業の発展の為にはとても重要なことです。心配りが出来る女性は、今後の自動車整備工場の未来を左右する存在になるのです。
自動車について詳しく無い女性のお客様にとって、結果を求めてしまう男性自動車整備士の接客は圧を感じることでしょう。同じ目線で女性のお客様の相談にのってあげることで安心感与えることができる女性自動車整備士は、接客のプロフェッショナルになることができるのです。
また、女性のお客様に限らず男性のお客様に対しても気配りのできる女性自動車整備士は自動車整備工場で活躍の場を得ていくことになります。
自動車整備士を目指すには2つの方法があります。自動車整備士の養成施設の学校に入学するか、高校を卒業後に自動車整備工場に就職をして、実務経験を積みながら自動車整備士を目指すかになります。
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現在、自動車整備士を目指す人の大多数が自動車整備士の養成施設の学校に通い自動車整備士資格を取得して自動車整備工場に就職をしています。
自動車整備士の養成施設の学校ではいくつかのコースに分かれており、1年過程の3級自動車整備士コース、2年過程の2級自動車整備士コース、4年過程の1級自動車整備士コースに分かれている学校が多いです。
現状の自動車整備工場では、2級自動車整備士がいれば自動車整備工場の運営ができるので、自動車整備工場の求人のほとんどが2級自動車整備士以上の資格を保持している人となります。
女性が自動車整備士を目指す場合は接客に優位になる知識や、高難度の故障探求の技術が学べる1級自動車整備士コースをおすすめします。これまでに前述をしてきたように、力仕事をしないでも自動車整備工場での活躍の場を広げられる知識・技術は必須のものとなってきます。
関東工業自動車大学校ではなんと女子学生だけの女子レース部が有り、車好き女子が和気あいあいとした雰囲気で自動車について学ぶことができます。
高校を卒業した後、自動車整備工場に就職をして独学で自動車整備士になるには、普通科の高校を卒業した場合は1年、機械科の高校を卒業した場合は6ヶ月の実務経験を積んでから3級自動車整備士資格の試験を受けて合格する必要があります。
無資格者、3級自動車整備士は分解整備が行えない為に自動車整備工場の求人はほとんど無く、あったとしても仕事をしながらの資格取得となるので、独学の道はかなり厳しいものとなります。
また、無資格で自動車整備工場に就職した際はほとんどが力仕事となるので女性にはかなり辛い仕事になってしまう可能性があります。
自動車整備工場では女性が活躍できる環境が広がりつつありますが、正直な話をすると古いしきたりにこだわっている自動車整備工場もまだまだ沢山あります。
女性が自動車整備士を目指す場合は資格取得と共に希望する自動車整備工場をよく知る必要があります。企業見学とかがある時には積極的に参加をして自動車整備工場内の設備や仕事の流れをよく見て就職先を決めることが大事です。
企業見学に行った際に女性自動車整備士がいた場合は臆することなく話かけてみて下さい。きっと素晴らしいアドバイスがもらえると思います。それが自動車整備工場で需要が増えている女性自動車整備士の魅力ですからね。